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2021年02月13日

田山花袋「蒲団」本文23〜33/全58


★「蒲団」23〜33・・・http://14highschool.jugem.jp/?eid=2535

(^_-)-☆アスカミチル
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蒲団33

時雄は家に入った。
奥の六畳に通るや否、
「芳さんはどうしました?」

その答えより何より、姉は時雄の着物に夥しく泥の着いているのに驚いて、
「まア、どうしたんです、時雄さん。」

明らかな洋燈(ランプ)の光で見ると、なるほど、白地の浴衣に、肩、膝、腰の嫌いなく、夥しい泥痕!
「何アに、其処でちょっと転んだものだから。」

「だッて、肩まで粘(つ)いているじゃありませんか。また、酔っぱらったんでしょう。」
「何アに・・・・・・」
と時雄は強いて笑ってまぎらした。

さて時を移さず、
「芳さん、何処に行ったんです。」
「今朝、ちょっと中野の方にお友達と散歩に行って来ると行って出たきりですがね、もう帰って来るでしょう。何か用?」


「え、少し・・・・・・」と言って、「昨日は帰りは遅かったですか。」
「いいえ、お友達を迎えに行くんだって、四時過ぎに出かけて、八時ごろに帰って来ましたよ。」

時雄の顔を見て、
「どうかしたのですの?」
「何アに・・・・・・けれどねえ姉さん。」と時雄の声は改まった。「実は姉さんにおまかせしておいても、この間の京都のようなことが又あると困るですから、芳子を私の家において、十分監督しようと思うんですがね。」

「そう、それは好(い)いですよ。本当に、芳子さんにもね・・・・・・何処と悪いことのない、発明な、利口な、今の世には珍しい方ですけれど、一つ悪いことがあってね、男の友達と平気で夜歩いたりなんかするんですからね。

それさえ止すと好いんだけれどとよく言うのですの。すると芳子さんはまたお母さんの旧弊がはじまったって、笑っているんだもの。

いつかなぞも余り男と一緒に歩いたり何かするものだから、角(かど)の交番でね、不審にしてね、角袖巡査が家の前に立っていたことがあったと云いますよ。それはそんなことは無いんだから、構いはしませんけどもね・・・・・・」

「それはいつのことです?」
「去年の暮でしたかね。」



引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊



「蒲団」VOL,32


「矛盾でもなんでも為方(しかた)がない、その矛盾、その無節操、これが事実だから為方がない、事実!事実!」
と時雄は胸の中に繰り返した。

時雄は耐え難い自然の力の圧迫に圧せられたものpのように、再び傍のロハ台に長い身を横たえた。ふと見ると、赤銅のような色をした光芒(ひかり)の無い大きい月が、お濠(ほり)の松の上に音もなく昇っていた。

その色、その状(かたち)、その姿がいかにも侘びしい。その侘しさがその身の今の侘しさによく適っていると時雄は思って、また耐え難い哀愁がその胸に漲り渡った。

酔いは既に醒めた。夜露は置き始めた。
土手三番町の家の前に来た。

覗いてみたが、芳子の室に燈火の光が見えぬ。まだ帰って来ぬとみえる。時雄の胸はまた燃えた。この夜、この暗い夜に恋しい男と二人!何をしているか解らぬ。

こういう常識を欠いた行為を敢えてして、神聖なる恋とは何事?汚れたる行為の無いのを弁明するとは何事?

すぐ家に入ろうとしたが、まだ当人が帰っておらぬのに上がっても為方が無いと思って、その前を真直(まっす)ぐに通り抜けた。
女とすれ違うたびに、芳子ではないかと顔を覗きつつ歩いた。

土手の上、松の木陰、街道の曲がり角、往来の人に怪しまるるまで、彼方此方(あっちこっち)を徘徊した。もう九時、十時に近い。いかに夏の夜であるからと言って、そう遠くまで出歩いている筈が無い。もう帰ったに相違ないと思って、引き返して姉の家に行ったが、矢張りまだ帰っていない。

引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊



「蒲団」VOL,31


悲しい、実に痛切に悲しい。この悲哀は華やかな青春の悲哀でもなく、単に男女の恋の上の悲哀でもなく、人生の最奥に秘(ひそ)んでいるある大きな悲哀だ。

行く水の流れ、咲く花の凋落(ちょうらく)、この自然の底に蟠(わだかま)れる抵抗すべからざる力に触れては、人間ほど儚(はかな)い情けないものはない。



汪然(おうぜん)として涙は時雄の髭面を伝った。
ふとある事が胸に上った。時雄は立ち上がって歩き出した。もう全く夜になった。

境内の処々に立てられたガラス燈は光を放って、その表面の常夜灯という三字がはっきり見える。この常夜燈という三字、これを見てかれは胸を衝(つ)いた。この三字をかれは曽(かつ)て深い懊悩を以て見たことはないだろうか。

 今の細君が大きい桃割れに結って、このすぐ下の家に娘で居た時、渠(かれ)はその微かな琴の音(ね)の髣髴(ほうふつ)をだに得たいと思ってよくこの八幡の高台に登った。

 かの女を得なければ寧(いっ)そ南洋の植民地に漂白しようというほどの熱烈な心を抱いて、華表(とりい)、長い石段、社殿、俳句の懸け行燈8かけあんどん)、この常夜燈の三字にはよく見入って物を思ったものだ。

その下には依然たる家屋、電車の轟(とどろき)こそおりおり寂寞を破って通るが、その妻の実家の窓には昔と同じように、明らかに燈の光が輝いていた。何たる節操なき心ぞ、僅(わず)かに八年の年月を閲(けみ)した【意味=年月が経った。】ばかりであるのに、こうも変わろうとはだれが思おう。

その桃割姿を丸髷姿にして、楽しく暮らしたその生活がどうしてこういう荒涼たる生活に変わって、どうしてこういう新しい恋をかんずるようになったか。時雄は我ながら時の力の恐ろしいのを痛切に胸に覚えた。
けれどその胸にある現在の事実は不思議にも何等の動揺をも受けなかった。

引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊





「蒲団」VOL,30

氷屋の暖簾が涼しそうに夕風になびく。時雄はこの夏の夜景をおぼろげに目には見ながら、電信柱に突き当たって倒れそうにしたり、浅い溝に落ちて膝頭をついたり、職工体(てい)の男に、「酔払奴(よっぱらいめ)!しっかり歩け!」と罵られたりした。

急に自ら思いついたらしく、坂の上から右に折れて、市ヶ谷八幡の境内へと入った。境内には人の影もなく寂寞(ひっそり)としていた。
大きい古い欅(けやき)の樹と松の樹とが覆いかぶさって、左の隅に珊瑚樹の大きいのが茂っていた。

処々の常夜灯はそろそろ光を放ち始めた。時雄はいかにしても苦しいので、突如(いきなり)その珊瑚樹の蔭に身をかくして、その根元の地上に身を横たえた。

興奮した心の状態、奔放な情と悲哀の快感とは、極端までその力を発展して、一方痛切に嫉妬の念に駆られながら、一方冷淡に自己の状態を客観した。


初めて恋するような熱烈な情はなかった。盲目にその運命に従うと謂うよりは、寧ろ冷ややかにその運命を批判した。熱い主観の情と冷たい客観の批判とがより合わせた糸のように固く結び付けられて、一種異様の心の状態を呈した。


引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊







蒲団VOL,29


夏の日はもう暮れかかっていた。矢来(やらい=町の名前)の酒井の森には烏の声が喧しく聞こえる。どの家でも夕飯が済んで、門口に若い娘の白い顔も見える。ボールを投げている少年もある。官吏らしい泥鰌髭の髭の紳士が庇髪の若い細君を連れて、神楽坂に散歩に出かけるのにも幾組か邂逅(でっくわ)した。

時雄は激昂した身体とに烈しく漂わされて、四辺(あたり)に見ゆるものが皆別の世界のもののように思われた。両側の家も動くよう、地も脚の下に陥るよう、天も頭の上に覆いかぶさるように感じた。

元からさほど強い酒量でないのに、無闇にぐいぐいとあおったので、一時に酔いが発したのであろう。ふと露西亜の賤民の酒に酔って路傍に倒れて寝ているのを思い出した。

そしてある友人と露西亜の人間はこれだから豪(えら)い、惑溺するなら飽くまで惑溺せんければ駄目だと言ったことを思い出した。
馬鹿な!恋に子弟の別があって堪るものかと口へ出して言った。

中根坂を上って、士官学校の裏門から佐内坂の上まで来た頃は、日はもうとっぷりと暮れた。


引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊



「蒲団」VOL,28 


時雄は頻(しき)りに酒を呷(あお)った。酒でなければこの鬱を遣る(終える、の意味)に堪えぬといわぬばかりに。三本目に、
妻は心配して、

「この頃はどうか為(し)ましたね。」
「何故?」
「酔ってばかりいるじゃありませんか。」
「酔うということがどうかしたのか。」
「そうでしょう、何か気に懸ることがあるからでしょう。芳子さんのことなどはどうでも好いじゃありませんか。」
「馬鹿!」

と時雄は一喝した。
細君はそれにも懲りずに、
「だって、余り飲んでは毒ですよ、もう好い加減になさい、また手水場(ちょうずば)にでも入って寝ると、貴郎(あなた)は大きいから、私と、お鶴(下女)の手ぐらいではどうにもなりゃしませんからさ。」
「まア、好いからもう一本。」

で、もう一本を半分位飲んだ。もう酔いは余程回ったらしい。顔の色は赤銅色に染まって目が少しく据わっていた。急に立ち上がって、
「おい、帯を出せ。」

「何処へいらっしゃる。」
「三番町まで行ってくる。」
「姉の処?」
「うむ。」
「およしなさいよ、危ないから。」

「何アに大丈夫だ、人の娘を預かって監督せずに投遣りにしてはおかれん。男がこの東京に来て一緒に歩いたり何かしているのを見ぬ振りをしてはおかれん。

田川(姉の家の姓)に預けておいても不安心だから、今日、行って、早かったら、芳子を家に連れて来る。二階を掃除しておけ。」
「家に置くんですか。」
「勿論。」

細君は容易に帯と着物とを出そうともせぬので、
「よし、よし、着物を出さんのなら、これで好い。」と、白地の単衣(ひとえ)に唐縮緬(とうちりめん)の汚れたへこ帯、帽子も被らずに、そのままに急いで戸外へ出た。「今出しますから・・・・・・本当に困って了(しま)う。」という細君の声が後に聞こえた。

引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社








「蒲団」VOL,27


佐内坂を登り了(おわ)ると、人通りが少なくなった。時雄はふと振り返って、「それでどうしたの?」と突如として訊(たず)ねた。

「え?」
反問した芳子は顔を曇らせた。
「昨日の話さ、まだ居るのかね。」

「今夜の六時の急行で帰ります。」
「それじゃ送って行かなくってはいけないじゃないか。」
「いいえ、もう好いんですの。」

これで話は途絶えて、二人は黙って歩いた。
矢来町の時雄の宅、今まで物置にしておいた二階の三畳と六畳、これを綺麗に掃除して、芳子の住居(すまい)とした。

久しく物置・・・子供の遊び場にしておいたので、塵埃(ちり)が山のように積もっていたが、箒をかけ雑巾をかけ、雨のしみの附いた破れた障子を貼り更(か)えると、こうも変るものかと思われるほど明るくなって、裏の酒井の墓の大樹の繁茂(しげり)が心地良き翠(みどり)をその一室に漲(みなぎ)らした。

燐家の葡萄棚、打ち捨てて手を入れようともせぬ庭の雑草の中に美人草の美しく交わって咲いているのも今更に目につく。

時雄はさる画家の描いた朝顔の幅(ふく)を選んで床に懸け、懸花瓶(けんかびん)には遅れ咲きの薔薇の花を挿した。

昼頃に荷物が着いて、大きな支那鞄(しなかばん)、柳行李(やなぎごうり)、信玄袋(しんげんぶくろ=底が広い布製の大きな手下げ袋)、本箱、机、夜具、これを二階に運ぶのはなかなか骨が折れる。

時雄はこの手伝いに一日社を休むべく余儀なくされたのである。机を南の窓の下、本箱をその左に、上に鏡やら紅皿やら罎(びん)やらを順序良く並べた。

押入れの一方には支那鞄、柳行李、更紗(さらさ)の蒲団夜具の一組を一方にいれようとした時、女の移香(うつりが)が鼻を撲(う)ったので、時雄は変な気になった。




引用書籍
田山花袋「蒲団」新潮社刊










「蒲団」VOL,26

その田中という二十一の青年が現にこの東京に来ている。芳子が迎えに行った。何をしたかわからん。この間言ったこともまるで虚言(うそ)かもしれぬ。

この夏期の休暇に須磨で落ち合った時から出来ていて、京都での行為もその欲を満たす為め、今度も恋しさに堪えかねて女の後を追って上京したのかも知れん。

手を握ったろう。胸と胸とが相触れたろう。人が見ていぬ旅籠屋の二階、何を為ているか解らぬ。汚れる汚れぬのも刹那の間だ。こう思うと時雄は堪らなくなった。

「監督者の責任にも関する!」と腹の中で絶叫した。こうしてはおかれぬ、こういう自由を精神の定まらぬ女に与えておくことは出来ん。監督せんければならん、保護せんけりゃならん。私共は熱情もあるが理性がある!私共とは何だ!何故私とは書かぬ、何故複数を用いた?

時雄の胸は嵐のように乱れた。着いたのは昨日の六時、姉の家へ行って聞き糺(ただ)せば昨夜何時頃に帰ったか解るが、今日はどうした、今はどうしている?


引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊







「蒲団」VOL,25


田中は私の余りに狼狽した手紙に非常に驚いたとみえまして、十分覚悟をして、万一破壊の暁にはと言った風なことも決心して参りましたので御座います。万一の時にはあの時嵯峨に一緒に参った友人を証人にして、二人の間が決して汚れた関係の無いことを弁明し、別れて後互いに感じた二人の恋愛をも打ち明けて、先生に御すがり申して郷里の父母の方へも逐一言って頂こうと決心して参りましたそうです。

けれどこの間の私の無謀で郷里の父母の感情を破っている矢先、どうしてそんなことを申して遣わされましょう。今はしばらく沈黙して、お互いに希望を持って、専心勉学に志し、いつか折を見て、・・・或いは五年、十年の後かもしれません。打ち明けて願う方が得策だと存じまして、そういうことにいたしました。

せんせいのお話をも一切話して聞かせました。で、用事が済んだ上は、帰した方が好いのですけれど、非常に疲れている様子を見ましては、さすがに直ちに引き返すようにとも申しかねました。

  
(私の弱いのをお許し下さいまし。)勉学中、実際問題に触れてはならぬとの先生の御教訓は身に染みて守るつもりではございますが、一先(ひとまず)、旅籠屋に落ち着かせまして、折角出てきたものですから、一日くらいは見物しておいでなさいと、つい申して了(しま)いました。

どうか先生、お許し下さいまし。私共も激しい感情の中に、理性も御座いますから、京都でしたような、仮にも常識を外れた、他人から誤解されるようなことは致しません。誓って、決して致しません。末ながら奥様にも宜しく申し上げてくださいまし。

                                             芳子
  先生  御もと


この一通の手紙を読んでいる中、さまざまの感情が時雄の胸を火のように燃えて通った。


引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊



蒲団VOL,24


門をあけて入ると、細君が迎えに出た。残暑の日はまだ暑く、洋服の下襦袢がびっしょり汗にぬれている。
それを糊のついた白地の単衣(ひとえ)に着替えて、茶の間の火鉢の前に座ると、細君はふと思い付いたように、箪笥の上の一封の手紙を取り出し、

「芳子さんから」
と言って渡した。
急いで封を切った。巻紙の厚いのを見ても、その事件に関しての用事に相違ない。時雄は熱心に読み下した。
言文一致で、すらすらとこのうえない達筆。

先生
実はご相談に上がりたいと存じましたが、余り急でしたものでしたから、独断で実行いたしました。
昨日四時に田中から電報が参りまして、六時に新橋の停車場に着くということですもの、私はどんなに驚きましたかしれません。

何事も無いのに出て来るような、そんな軽率な男でないと信じておりますだけに、一層甚だしく気を揉みました。先生、許して下さい。私はその時刻に迎えに参りましたのです。

逢って聞きますと、私の一部始終を書いた手紙を見て、非常に心配して、もしこの事があった為め万一郷里に連れて帰られるようなことがあっては、自分が済まぬと言うので、学費をも捨てて上京して、先生にすっかりお打ち明け申して、お詫びも申し上げ、お情けにもすがって、万事円満に参るようにと、そういう目的で急に出て参ったとのことでございます。

それから、私は先生にお話し申した一部始終、先生のお情け深い言葉、将来までも私等二人の神聖な真面目な恋の証人とも保護者ともなって下さるということを話しましたところ、非常に先生の御情に感激しまして、感謝の涙に暮れました次第で御座います。


引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊




蒲団VOL,23

この力の為めに支配されるのを常に口惜しく思っているのではあるが、それでもいつか負けて了(しま)う。これが為め彼はいつも運命の圏外に立って、苦しい味を嘗(な)めさせられるが、世間からは正しい人、信頼するに足る人と信じられている。

三日間の苦しい煩悶、これでとにかく彼はその前途を見た。二人の間の関係は一段落を告げた。これからは、師としての責任を尽くして、わが愛する女の幸福の為めを謀るばかりだ。

これはつらい、けれどつらいのが人生(ライフ)だ!
と思いながら帰って来た。


引用書籍
田山花袋著「蒲団」新潮社刊

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