生まれる前から決まっているのが先天性、決めているのは神様、神様に逆らうようなことをするから罰を受けるのです。
神様、「誰か、生まれたい人はいるか?」
志願者、「僕、生まれたいです」
神様、「君はまだ合格点に達してないからダメだよ」
志願者、「どうしてもダメですか?」
神様、「どうしてもダメってことはないけど、合格点に達してない君の場合は?生まれても、将来、髪が禿げるよ」
志願者、「髪が禿げるなら構いません、生まれてみたいです」
神様、「本当に髪が禿げても良いの?」
志願者、「はい、生まれることが出来るなら、頭が禿げても構いません」
神様、「君がそこまで言うなら、生まれることを許可しよう」
志願者、「ありがとうございます、神様、この御恩は忘れません」
神様、「じゃあ、行って来い」
神様と生まれることを望んでいた志願者とのやり取りを間近で聞いていた別の神様が、
別の神様、「生まれるのに、どれくらい掛かるの?」
神様、「十月十日(とつきとおか)」
別の神様、「生まれるには、結構時間が掛かるな」
神様、「そうなんだよ、十月十日が経っても、母体から出る時には大変な思いをするんだよ」
オギャーオギャと泣き声が聞こえると
別の神様、「どうやら、無事に生まれたみたいだね」
神様、「あー良かった、これで一安心だよ」
神様は他の者の願いを聞いてあげるため忙しい、そのため、無事に生まれた者のことを、いつまでも構ってはいられない。
無事に生まれてから40年ほど経つと
別の神様、「お前のことを呼んでるよ」
別の神様が「呼んでるよ」と教えてくれたのは、誰かが神頼みをしたから。
神様は沢山いるため、
神様、「俺が呼ばれたの?」
別の神様、「お前だよ呼ばれたのは」
神頼みしている者を天上から見てみるのだが、見覚えがない。
神様、「俺に神頼みしているのかな?」
別の神様、「お前で間違いないよ、だって、神頼みしている禿げ、君が許可して生まれたじゃない」
神様、「俺がいつ許可した?」
別の神様、「40年くらい前だよ」
神様、「そんな昔のことは覚えてないよ、あの禿げ、何をお願いしに来たの?」
別の神様、「髪が生えるように、お願いしに来た、どうするの?」
神様、「あっ思い出した、あの禿げ、生まれることが出来るなら頭が禿げても構いませんと言ったヤツだ」
別の神様、「そうなら、お願いを聞いてあげる必要はないよ」
数カ月後
別の神様、「あの禿げ、また神頼みに来ているよ」
神様、「しつこい野郎だな」
別の神様、「どうするの?願いを聞いてあげるの?」
神様、「聞くわけないだろ、禿げても良いからと俺と約束して生まれることを許可したのだから」
別の神様、「でも、あの禿げ、前に比べ髪が濃くなってないか?」
神様、「あの禿げ、育毛剤を使いやがったな」
別の神様、「どうするの?」
神様、「育毛剤を使うということは、俺が決めた頭が薄くなる運命に逆らうのと同じことだろ?」
別の神様、「そうだな」
神様、「神である俺に逆らったのだから、罰を与えないと示しがつかないよ」
別の神様、「何をするの?」
神様、「育毛剤を沢山買わせて、お金を浪費させる」
別の神様、「その罰、好きだよね」
神様、「頭が薄くなるヤツには、この罰が最適なんだよ」
それから数十年後
別の神様、「お前のところに神頼みをしに来ている者がいるよ」
神様、「今、忙しいよ」
別の神様、「話だけでも聞いてあげなよ、若い子だから」
神様、「若くないじゃない、あの子、頭が禿げてるよ」
別の神様、「禿げてはいるけど、若い子だよ」
神様、「若い子が、俺に何を頼みに来たんだ?」
別の神様、「髪が生えるように、お前にお願いしてるぞ」
神様、「若い子だから、願いを聞いてやっても良いかな」
と思っていると
別の神様、「あの若い子、昔、お前が頭が禿げるうにした者に似てないか?」
神様、「あっ本当だ、親子だな」
別の神様、「どうするの?願いを聞いてあげるの?」
神様、「聞くわけないじゃない、あの若い子の親は俺に逆らって育毛剤を使ったのだから、罰として子孫も禿げる運命にしたから」