G7広島サミットが終わり、いよいよ解散・総選挙の雰囲気が漂う永田町だが、自民党ではすでに来年の総裁選を視野に入れた話題が出始めている。もっぱら最大派閥・安倍派の「新会長」がだれになるかに注目が集まるが、分裂を避けるためか、煮えきらない状況が続く。そんななかでにわかに浮上してきているのが、無派閥の高市早苗氏だという。
4月の衆参補欠選挙で当選した自民党の岸信千世、吉田真次、白坂亜紀の3氏が安倍派(清和会)に入った。そして、片山さつき参院議員も加わり、100人の大台に到達した。
第2派閥の麻生派は55人、岸田首相の岸田派は第4派閥で46人。安倍派の数、勢いが際立つ。
だが、3桁という大所帯がゆえに、安倍晋三元首相の後継となる会長がなかなか決まらない状態が続いている。
現在は、塩谷立、下村博文両会長代理のもとで、集団指導体制による運営が続く。
次期会長の有力候補の一人でもある、萩生田光一政調会長は、「5月には決めたい」との意向を語っていた。5月16日の安倍派のパーティーまでには決まるだろうという見方も多く出ていた。しかし、パーティーで「新会長」のあいさつはなかった。
新会長を狙う候補は、ほかにも松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、高木毅国会対策委員長、世耕弘成参院幹事長と多い。
かつての会長、森喜朗元首相の意向も大きく影響する。しかし、パーティーで森氏は、岸田首相のあいさつが終わると退席してしまい、安倍派についての考えなどは語られなかった。
安倍派の衆院議員は、
「今の状態で誰かに決めてしまうと、せっかく100人の大台になった派閥が二つ、三つと割れてしまいかねない。仮にだれかが強引に会長職に就いたとしても、割れたときには求心力を失う。だが、指をくわえてみているだけでは会長になれない。そういう微妙な駆け引きのなかでのパーティーだった。下馬評では有力とされる萩生田氏が会長になったら、松野氏はすぐに(派閥を)出ると言い出しかねないでしょうね」
混沌(こんとん)とする会長争い。その先に見ているのは、来年9月の自民党総裁選だ。
2021年の総裁選には候補者を出さなかった安倍派だが、安倍元首相は、高市早苗・経済安全保障担当相を推した。岸田首相や河野太郎デジタル相の推薦人になる議員もいたが、結果は岸田首相がトップ、高市氏が2位となった。安倍派こそが「キングメーカー」という“強さ”を見せつけた。
安倍派の国会議員は、
「最大派閥なのに、2回続けて総裁候補を出さないということは絶対にない」
と口々に言う。
とはいえ、最大派閥の安倍派が結束して選んだトップが総裁選に出れば、当然、首相の椅子まで視野に入る。だからこそ、そう簡単には決まらないのだ。
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