8月14日、岸田文雄首相が9月の自民党総裁選への不出馬を表明した。前日まで出馬を検討しているとも見られており、党内外に衝撃が走った。
今から思うと、岸田政権の末期症状は危機管理に出ていた。明確な綻びは、本コラムで何度も指摘したように、1月1日の能登半島地震で補正予算を打てなかったことだ。震度7の地震の補正予算に反対する野党はなく、政治家として絶好の見せ場なのに、そのチャンスを逃した。
最後のダメ押しとなったのが、8月8日の日向灘地震だ。南海トラフ地震への波及が懸念されるのは確かだが、ここは注意情報を出しても、地震への備えを再チェックするだけに留めて、日常生活や既に決めた予定を変更することはないと、総理の口から言っておくべきだった。
再び「高市旋風」が来るのか
いずれにしても、これで総裁選は事実上始まった。二人のキングメーカー、麻生太郎氏と菅義偉氏の争いになるだろう。手駒としては、菅氏が優勢だ。小石河といわれる石破茂氏、小泉進次郎氏、河野太郎氏は党内外で人気が高く、政官界の重要人物への影響力もある。
ただし、河野氏は麻生派所属で派閥を抜けていないので、菅氏の手駒とはいえないかもしれない。小泉氏は父親の小泉純一郎氏のアドバイスもあり、若すぎて出馬できないと言われていたが、ここにきて若さの魅力が復活している。さらに、菅氏は小石河のほかに加藤勝信氏にも近い。
また、麻生氏と菅氏の間に入って、岸田氏もキングメーカーを指向するだろう。その場合、林芳正氏を担ぐことになりそうだ。
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