2012年03月27日
出張先の夕食は麻婆豆腐定食
出張先で夕食に定食屋を利用することにした。
大通りから少し離れた静かなところ。
太郎が引き戸を開け中に入るとカウンター席が空いていた。
一人で食事をするときは都合がいい。
テーブル席だと混んでくると合い席になって気を使うから、カウンター席を優先して利用する。
「麻婆豆腐定食をください」
壁一面に張られたメニューを見てから、ホワイトボードに『今日のオススメ:麻婆豆腐定食』を見つけてそれを注文した。オススメ定食は待つ時間が短いし、値段的にも満足だし、あれこれ考えなくっていい。
パート勤めらしいオバサンが運んできたトレイを、太郎の右側からカウンターに置いた。
「お待ちどうさまでした。麻婆豆腐定食です」
太郎はトレイを正面に引き寄せた。
定食を見て複雑な想いが頭をよぎった。
麻婆豆腐は当然豆腐が入っているものだけれど、味噌汁にはワカメと大きなサイコロ状の豆腐がゴロゴロしているし、小鉢の品は大きめの器に「大きめの冷奴」が、いかにも本日のサービス品と言わんばかりの顔をしている。
「あのー、小鉢も豆腐ですか?」
「そうだよ、豆腐が余っちゃってね。奴もまるまる一丁つけといたよ」
店のオバサンは快活に応えて、健康そうな歯をみせて豪快に笑った。
― 普通は麻婆豆腐なんだから小鉢はもっと違うものにしない? たとえば酢の物とか、あるいはマグロの山かけとか。
―終―
大通りから少し離れた静かなところ。
太郎が引き戸を開け中に入るとカウンター席が空いていた。
一人で食事をするときは都合がいい。
テーブル席だと混んでくると合い席になって気を使うから、カウンター席を優先して利用する。
「麻婆豆腐定食をください」
壁一面に張られたメニューを見てから、ホワイトボードに『今日のオススメ:麻婆豆腐定食』を見つけてそれを注文した。オススメ定食は待つ時間が短いし、値段的にも満足だし、あれこれ考えなくっていい。
パート勤めらしいオバサンが運んできたトレイを、太郎の右側からカウンターに置いた。
「お待ちどうさまでした。麻婆豆腐定食です」
太郎はトレイを正面に引き寄せた。
定食を見て複雑な想いが頭をよぎった。
麻婆豆腐は当然豆腐が入っているものだけれど、味噌汁にはワカメと大きなサイコロ状の豆腐がゴロゴロしているし、小鉢の品は大きめの器に「大きめの冷奴」が、いかにも本日のサービス品と言わんばかりの顔をしている。
「あのー、小鉢も豆腐ですか?」
「そうだよ、豆腐が余っちゃってね。奴もまるまる一丁つけといたよ」
店のオバサンは快活に応えて、健康そうな歯をみせて豪快に笑った。
― 普通は麻婆豆腐なんだから小鉢はもっと違うものにしない? たとえば酢の物とか、あるいはマグロの山かけとか。
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