星とたんぽぽ＆生活スタイル

配達の時間は迫っていた。

最初にあそこに届けて、次はあそこ、その次は‥‥。

雨が降っているからルートを変えた方がいいかな？

まずいことにトイレにも行きたくなってきた。

トイレを探すのだけれど近くに見当たらない。

事務所のどこかでベルの音が鳴り響いている。

なにか始まりを知らせる合図に感じられる。



配達の時間は押している。

すれちがう者は知っているような知らないような。

どこかで、いつだか、一緒に仕事をしたような、しないような。


「お父さん！」

「お父さん！」

「何してるの、目覚まし鳴りっぱなしだよ！」


遠くの方から、ぼんやりと聞こえる。


その声は妻が階下から呼ぶ声だった。


朝方トイレを我慢していたのと、ベルの音を何かの始まりの音だと感じていたのが、目覚まし時計が鳴り響いても起きなかった原因かな？と想像する。

夢ってやつは、その場所がかつて働いていた場所と酷似しているがどこか違う、夢の中で出会う人それぞれは知っているのだが顔がボンヤリしていて鮮明ではない、過去何年かの間に知り合った者が、あたかも同じ職場で働いている。


そう夢ってやつは、いつも混沌としている。