2017年11月18日
名翻訳家・土屋政雄のお話3 ノーベル文学賞を超えた激励する人たち
日本語になり、読者が作品を読めることにな
るのですが、訳者の見解も面白いですね。
前ページでは出版関係の人が取材したので奥
の深い話が出たのかもしれません。普通では
翻訳家の言い分を聞くチャンスはほとんどあ
りません。いや、翻訳家が一般の読者へ話し
かけたりしないでしょう。
何十年と翻訳をしている名翻訳家土屋政雄氏
がカズオ・イシグロ作品を推薦しています。
「日の名残り」は文句なしの推薦です。イギ
リスのブッカー賞を受賞し、ノーベル文学賞
も受賞の対象となった作品です。自分がイギ
リス人でもあるということを確認したのでは
ないかと土屋氏。
次に、イチオシするのは「充たされざる者」
だそうです。その理由は以下の記事をお読み
ください。活字文化の玄人といった表現です。
土屋氏は今までノーベル文学賞を受賞した作
家がノーベル文学賞を受賞した後はあまりい
い作品を出していないという分析をしている
ようです。そうなんでしょうか。カズオ・イ
シグロ氏にはそうなって欲しくないという注
文をつけているようです。活字文化の信頼感
はノーベル文学賞をも超えてしまうような激
励になるようです。
カズオ・イシグロ「名翻訳家」が選ぶ、イチオシの作品とは?
10/20(金) 18:00配信
カズオ・イシグロの陰に名翻訳家あり――。ノーベル文学賞を受賞、いま話題のカズオ・イシグロ。その代表作『日の名残り』『わたしを離さないで』から最新刊『忘れられた巨人』はいずれもひとりの翻訳家の手によって、私たち日本の読者の元に届けられている。BEST T! MES編集部が、その翻訳家・土屋政雄氏に独占インタビュー。最終回は、カズオ・イシグロ作品の魅力、そしてカズオ・イシグロへの思いを聞いた。
〈第一回:カズオ・イシグロ「名翻訳家」の意外な過去。『日の名残り』に出会うまで〉
〈第二回:12~13。カズオ・イシグロを“数字”で読む。「名翻訳家」が出した数字の意味とは?〉
決して作品には没頭しない。翻訳家の冷静な目線
土屋さんとカズオ・イシグロさんの関係は、翻訳家と原作者。そこには適度な距離感があるという。一読者として、カズオ・イシグロの世界観にのめり込んでいるわけではない。しかし、だからこそ冷静なイシグロ評には説得力がある。読者へのオススメの1冊を聞いてみた。
「やっぱり『日の名残り』は最初に紹介したようなエピソードもありますし、内容の完成度も一番高いんじゃないかと思います。
他には『充たされざる者』でしょうか。これは私の家庭の事情があって、他の方に翻訳はやってもらったのですが。この作品は彼の作家活動のターニングポイントになったと思っています。
イシグロの最初の2作は日本が題材です。おそらくイシグロとしてはあそこで自分のルーツを再確認できたはず。そして『日の名残り』。全くイギリス小説らしいイギリス小説ですよね。ここで5歳以降に住んできたイギリスという国、最終的にはイギリス国籍もとるわけですが、自分はやっぱりイギリス人でもあるというもうひとつの根っこを確認した。ここでなんとなく、安心や自信を得たんじゃないでしょうか。
解き放たれて書いた『充たされざる者』
何でもできると解き放たれて書いたのが『充たされざる者』なんです。舞台は東ヨーロッパのどこかのまち。世界的音楽家のライダーという人物がそこにいく。どういう所か最初はよくわからない。でもだんだんそれが自分の故郷だということがわかるんですね。どうやら自分がコンサートをひらくことで危機が解決する、それを故郷の人たちは期待している。
でも結局、夢の中というか、闇の中をあちこち引っ張りまわされるような感じで物語は終わります。だから出た当時は酷評だったんです、何だこれはと。
だけど私としては、鼻面つかんで好きなように引き回される感じがなかなか面白くて。イシグロはそういう小説もあるんです」
この『充たされざる者』での吹っ切れた作風は、“賞”からのプレッシャーから解き放たれたことも大きいのではないかと分析する。
「イシグロは若い頃から有望視された作家でした。1作目の『遠い山なみの光』で王立文芸賞、2作目の『浮世の画家』ではウィットブレッド賞をとりました。これはブッカー賞の次に有名な賞だそうです。そして残るはブッカー賞…という所で出版社側からの期待も相当なものだったのではないでしょうか。万人受けする作品を、と書くことに制限があったかもしれない。それでブッカー賞を3作目の『日の名残り』でとれた。その点からも開放されたんでしょうね」
ーーーー
イシグロはノーベル賞をとりたくなかった!?
賞ということでは、今回カズオ・イシグロはついに最高の栄誉と言えるノーベル文学賞を受賞した。土屋さんはどう感じているのか。
「今回の受賞、随分イシグロは喜んでいたそうです。しかし実はイシグロはこれまでノーベル賞にはあまり関心がないような発言をしていました。なぜか。今までのノーベル文学賞受賞者の作品リストを見た時に、各作家の代表作がどれも若い頃に書かれていたことに衝撃を受けたそうなんです。つまり受賞後、目立つ作品を書いた作家がいない。ノーベル賞を取ることで、もう代表作は『残した』という評価をされてしまうのではないかと。私としてはイシグロには例外になってもらって、これから代表作を書いてもらえればありがたいです」
最後にとっておきの情報を教えてくれた。
「今なにか(新作を)書いているらしいということは聞いています。一昨年に彼が来日した時に言葉を交わしました。『また10年も待たされたら本当に私はいませんよ』と私が言ったら、イシグロは『いやあ3、4年で…』と苦笑いしていました。まあ、どうなるかわかりません(笑)」
『充たされざる者』1995年、『わたしたちが孤児だったころ』2000年、『わたしを離さないで』2005年、そして『忘れられた巨人』が2015年。過去作品の発売年だ。次はその5年先か10年先か。ノーベル賞作家カズオ・イシグロ、名翻訳者土屋政雄、黄金コンビによる傑作を楽しみに待ちたい。
カズオ・イシグロ「名翻訳家」が選ぶ、イチオシの作品とは?BEST TIMES10/20(金) 18:00
ボブ・ディランのノーベル文学賞関連の
記事、よかったら覗いてみてください。
以下からどうぞ。
http://tamawasa3nobelpr.seesaa.net/index-3.html
ボブ・ディラン 4p
3年前のマララさんの記事
ノーベル賞平和賞受賞
http://tamawasa3nobelpr.seesaa.net/
ベルタおばさん 1p
マララさん 15p となっています。
(以下をいいねと、お願いします。いつも感謝しています)
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