2019年08月17日
北朝鮮のミサイル、米国製と酷似で“機密漏洩”疑惑
北朝鮮のミサイル、米国製と酷似で“機密漏洩”疑惑浮上!
もし「某国」が横流しなら…東アジアの安保環境“激変”の大事態に
2019年08月17日 17時17分 夕刊フジ
北朝鮮のミサイルをめぐり、驚くべき分析が注目されている。東部・咸興(ハムフン)付近から10日、日本海に発射された短距離弾道ミサイルとみられる2発の飛翔(ひしょう)体が、米軍の戦術ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」に酷似しているというのだ。まさか、米国のミサイル技術が漏洩(ろうえい)したのか? それともミサイル本体が横流しされたのか? 識者が疑惑視する「某国」の存在とは。北朝鮮は16日朝も日本海に飛翔体を発射した。東アジアの安全保障環境を激変させかねない疑惑に迫った。
◇
「初めに画像を見たときは、非常に驚いた。軍事専門家が見れば、米軍のエイタクムスに似ていることは分かる。ミサイル本体が横流しされた可能性が濃厚ではないか」
こう語るのは、元防衛省の情報分析官で、軍事アナリストの西村金一(きんいち)氏だ。韓国海軍駆逐艦によるレーダー照射事件の際、韓国国防省が「海上自衛隊の哨戒機が威嚇飛行した」として公開した画像の“捏造(ねつぞう)疑惑”を暴いた人物である。
北朝鮮の朝鮮中央通信は11日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が前日、「新兵器」の試射を視察したことを、発射画像とともに報じた。正恩氏は「わが国の地形条件と戦法の要求に即して開発され、既存の兵器体系とは違う優れた戦術的特性を持つ」と評価したという。
今年5月以降、北朝鮮は短距離弾道ミサイルを繰り返し発射してきたが、北朝鮮が10日に発射したミサイルは、これまでとは違う別の新型戦術地対地弾道ミサイルとの見方が出ている。
韓国軍によると、問題のミサイルは約400キロ飛行し、高度は約48キロ。飛行速度はマッハ6・1以上という。ロシアの高性能弾道ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版の可能性が高いと分析しているが、前出の西村氏は違う見方をする。
「北朝鮮が画像を公開したミサイルの形状自体が、エイタクムスに似ている。加えて、ミサイル2発を搭載する発射機も、米軍以外に世界には存在しない。(サイバー攻撃などで)設計図やミサイル技術が流出した可能性もあるが、莫大(ばくだい)な開発時間と資金が必要となる。ミサイル本体が北朝鮮に渡ったのではないか」
2つのミサイルの写真を比べると、確かに似ている気がする。
米軍の戦術ミサイル「エイタクムス」は、全長約4メートル、直径約60センチ、射程約300キロ。対艦、対地攻撃に高い能力を有する。製造するロッキード・マーティン社のかつてのHPには、導入国として、米国や韓国、バーレーン、ギリシャ、トルコなどの名前が記されていた。
ちなみに、ロシアのミサイル「イスカンデルM」は、全長約7メートル、直径約95センチ、射程約400キロである。
ドナルド・トランプ米大統領は今月1日、北朝鮮の短距離ミサイル発射について、「状況は完全に制御されている」「短距離ミサイルであり、問題視しない」と、ホワイトハウスで記者団に語っていた。
しかし、9日後に北朝鮮が発射したミサイルが、万が一、自国のミサイルと酷似していると確認されれば、同じ対応をするだろうか。
実は、西村氏はネット上で「某国」に対する疑惑を指摘している。その推測が事実となれば大事件だ。西村氏は「米国はすでに気付いているのではないか」と推測する。
あまりに重大な疑惑だけに、別の識者の意見も聞いてみた。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「ロシア製のイスカンデルが応用されたとみる方が常識的ではある」といい、続けた。
「ただ、今回のミサイルは、途中でホップアップする軌道を描くなど、技術の飛躍が普通ではない。もし、『某国』による横流しが事実となればケタ違いの大問題になる」
今後の展開に注目したい。
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