2018年03月05日
越後屋波多利郎(2)怪盗からす小僧
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
昨日から始まっている「パタリロ!」の中の江戸もの紹介です
本日はコミックス53巻掲載の「怪盗からす小僧」です。文庫版だと選集28巻に掲載してますね。
この「怪盗からす小僧」が私は江戸ものの中では一番好きなエピソードです。ギャグもあり、テンポよくてほろりとします。これぞパタリロ!という感がいたします
パタリロ! (第53巻) (花とゆめCOMICS (1284))
町に最近出没する盗賊からす小僧。
大名や大店の商人の家から千両箱を盗み出し、貧しい人々に分け与える、江戸で大評判の義賊です。うわさ好きの町人たちもからす小僧の話で持ち切りです。最近の話題はもっぱらからす小僧が二人いるのではないか…という事でした。
そんなある日、越後屋の番頭と手代が仕事をさぼって蕎麦屋にいました。
外では瓦版売りが昨夜もからす小僧が出たと声高に叫んでいます。
番頭は手代に気になることを話します。
最近、主の波多利郎が夜に外出をすると、決まってからす小僧が出没するというのです。
「まさか…?」
しかしからす小僧の目撃談では怪盗はスラっと長身だそうで、波多利郎はスラっとチビデブだからそんな事はあるわけないよ〜と失礼な事を言って二人は笑っています
そんな二人の話をこっそり聞いている美青年がいました。
彼は店員を呼び止め気をそらした隙に、番頭と手代が注文したかけそばにそっと薬を混ぜ込みます。
その蕎麦を食べて急に苦しみだす番頭。
「どうしました?」
青年はすぐに駆け寄り、番頭を介抱しながら越後屋までやってきました。
そして番頭が倒れ人手が足りないのなら、自分を雇ってくれないか…と切り出します。
ソロバンをはじけるのが番頭しかいない、越後屋。助かります!とすぐにその青年、「梅吉」を雇う事になりました。
ソロバンをはじけるのが番頭しかいないんですが、実は越後屋には紅毛人が置いて行った南蛮渡来の電卓があるんです(笑)ちなみにラジオもあるようです
場所は変わり、江戸の町の平和を守る奉行所では、やはりからす小僧は二人いる!という判断を下していました。片方を1番、もう片方を2番とするならその盗みの手口が明らかに違うからです。1番の怪盗は盗みのプロフェッショナルで、錠前をきれいに開けて盗みだしそして鍵を閉めて帰っていく。2番は錠前もかんぬきも力任せに引きちぎり、捕り物に追われても当たるをさいわいと投げ飛ばして逃げていく。
奉行所ではさっそく2番専門の捕り物班を組織することになりました。
さらに数日後、越後屋にて。
皆が寝静まった夜中に、こっそりと母屋を出る波多利郎の後ろを梅吉がそっとついていきます。
波多利郎が土蔵を開けるとそこにはヒト型のからくり人形がありました。驚く梅吉
そのからくり人形は黒装束で、からす小僧にそっくりのいでたちだったのです。
波多利郎はそのからくり人形に乗り込むとすぐにどこかへ出かけていきました。もちろん、梅吉も敏捷な身のこなしで波多利郎の後を追います。
2番のからす小僧はやはり波多利郎だったのです
波多利郎のからす小僧は目当ての屋敷に到着すると土蔵の鍵を引きちぎります。
しかしそこには奉行所の捕り物班が待ち構えていました。
鎖であっという間にぐるぐる巻きにされる波多利郎。しかしその鎖も引きちぎり、捕り物班と死守攻防の戦いが繰り広げられます。しかしその最中、捕り物班の灯りの火が屋敷に燃え移ってしまいます。
江戸の火事は一大事です。捕り物班は賊はさておき、消火にとりかかります。
その混乱に乗じて梅吉は波多利郎を手助け、逃げ道を確保。ふたりは離れた場所へと避難しました。
なぜからす小僧のマネを?と問う梅吉に波多利郎は事情を話しました。
いつもの紅毛人がからくり人形を置いて行ったときに、このからくり人形に黒装束を着せ盗みを働けば、からす小僧のせいにしてこずかい稼ぎが出来ると思いついた事。
しかし盗んだ金をすべて自分のものにするには気が引けて、少しは貧しい人に分けてやろうと貧乏長屋をのぞいてみたら
「本当に貧しいひとが多いのに気がついたんだ…」
病気になっても医者にもかかれない、それどころか今日の食事にもことかく人たちのなんと多いことか…そこで本物のからす小僧を見ならって義賊に徹しようとしたが、今夜火事を出してしまいかえって迷惑をかけることになった…と波多利郎にしてはめずらしく肩を落とします。
そんな波多利郎に梅吉は、人ごとではない…とつぶやきます。
義賊だなんだと正義の味方を気取ってみても盗みを続けていけば、いつかは罪のない人に大変な迷惑をかけるかもしれない…そろそろ年貢の納め時か…。
梅吉は、色々とお世話になりました…と波多利郎に深々と頭を下げ風と共に去っていきました
翌朝、奉行所から出てきたお奉行様の前に梅吉はいました。
「人呼んでからす小僧梅吉、お縄をちょうだいにあがりました」
もう一人はどうした?と問うお奉行様に
「後にも先にもからす小僧は私ひとりでございます」そう告げるのです
このお話では波多利郎がめずらしく(笑)貧しい人にお金を分け与える義賊になるんですよ。普段は「りんしょくの悪魔」とか呼ばれていますからケチでせこくてつぶれ肉まん、そんな波多利郎がこっそり人のために動く、そして梅吉の潔さが胸に染み入る珠玉のお話になっております
このお話はコミックス53巻に載っているのですが、この巻には以前このブログでも取り上げた、名作「果てなき旅路」も掲載されています。素晴らしい巻ですね。ぜひみなさんも読んでみてください!
パタリロ!傑作選?など決められない話(4)果てなき旅路
あぁやっぱりパタリロ!は面白い!
次回も越後屋波多利郎です
ナツノナカノです。
昨日から始まっている「パタリロ!」の中の江戸もの紹介です
本日はコミックス53巻掲載の「怪盗からす小僧」です。文庫版だと選集28巻に掲載してますね。
この「怪盗からす小僧」が私は江戸ものの中では一番好きなエピソードです。ギャグもあり、テンポよくてほろりとします。これぞパタリロ!という感がいたします
パタリロ! (第53巻) (花とゆめCOMICS (1284))
怪盗からす小僧
町に最近出没する盗賊からす小僧。
大名や大店の商人の家から千両箱を盗み出し、貧しい人々に分け与える、江戸で大評判の義賊です。うわさ好きの町人たちもからす小僧の話で持ち切りです。最近の話題はもっぱらからす小僧が二人いるのではないか…という事でした。
そんなある日、越後屋の番頭と手代が仕事をさぼって蕎麦屋にいました。
外では瓦版売りが昨夜もからす小僧が出たと声高に叫んでいます。
番頭は手代に気になることを話します。
最近、主の波多利郎が夜に外出をすると、決まってからす小僧が出没するというのです。
「まさか…?」
しかしからす小僧の目撃談では怪盗はスラっと長身だそうで、波多利郎はスラっとチビデブだからそんな事はあるわけないよ〜と失礼な事を言って二人は笑っています
そんな二人の話をこっそり聞いている美青年がいました。
彼は店員を呼び止め気をそらした隙に、番頭と手代が注文したかけそばにそっと薬を混ぜ込みます。
その蕎麦を食べて急に苦しみだす番頭。
「どうしました?」
青年はすぐに駆け寄り、番頭を介抱しながら越後屋までやってきました。
そして番頭が倒れ人手が足りないのなら、自分を雇ってくれないか…と切り出します。
ソロバンをはじけるのが番頭しかいない、越後屋。助かります!とすぐにその青年、「梅吉」を雇う事になりました。
ソロバンをはじけるのが番頭しかいないんですが、実は越後屋には紅毛人が置いて行った南蛮渡来の電卓があるんです(笑)ちなみにラジオもあるようです
場所は変わり、江戸の町の平和を守る奉行所では、やはりからす小僧は二人いる!という判断を下していました。片方を1番、もう片方を2番とするならその盗みの手口が明らかに違うからです。1番の怪盗は盗みのプロフェッショナルで、錠前をきれいに開けて盗みだしそして鍵を閉めて帰っていく。2番は錠前もかんぬきも力任せに引きちぎり、捕り物に追われても当たるをさいわいと投げ飛ばして逃げていく。
奉行所ではさっそく2番専門の捕り物班を組織することになりました。
さらに数日後、越後屋にて。
皆が寝静まった夜中に、こっそりと母屋を出る波多利郎の後ろを梅吉がそっとついていきます。
波多利郎が土蔵を開けるとそこにはヒト型のからくり人形がありました。驚く梅吉
そのからくり人形は黒装束で、からす小僧にそっくりのいでたちだったのです。
波多利郎はそのからくり人形に乗り込むとすぐにどこかへ出かけていきました。もちろん、梅吉も敏捷な身のこなしで波多利郎の後を追います。
2番のからす小僧はやはり波多利郎だったのです
波多利郎のからす小僧は目当ての屋敷に到着すると土蔵の鍵を引きちぎります。
しかしそこには奉行所の捕り物班が待ち構えていました。
鎖であっという間にぐるぐる巻きにされる波多利郎。しかしその鎖も引きちぎり、捕り物班と死守攻防の戦いが繰り広げられます。しかしその最中、捕り物班の灯りの火が屋敷に燃え移ってしまいます。
江戸の火事は一大事です。捕り物班は賊はさておき、消火にとりかかります。
その混乱に乗じて梅吉は波多利郎を手助け、逃げ道を確保。ふたりは離れた場所へと避難しました。
なぜからす小僧のマネを?と問う梅吉に波多利郎は事情を話しました。
いつもの紅毛人がからくり人形を置いて行ったときに、このからくり人形に黒装束を着せ盗みを働けば、からす小僧のせいにしてこずかい稼ぎが出来ると思いついた事。
しかし盗んだ金をすべて自分のものにするには気が引けて、少しは貧しい人に分けてやろうと貧乏長屋をのぞいてみたら
「本当に貧しいひとが多いのに気がついたんだ…」
病気になっても医者にもかかれない、それどころか今日の食事にもことかく人たちのなんと多いことか…そこで本物のからす小僧を見ならって義賊に徹しようとしたが、今夜火事を出してしまいかえって迷惑をかけることになった…と波多利郎にしてはめずらしく肩を落とします。
そんな波多利郎に梅吉は、人ごとではない…とつぶやきます。
義賊だなんだと正義の味方を気取ってみても盗みを続けていけば、いつかは罪のない人に大変な迷惑をかけるかもしれない…そろそろ年貢の納め時か…。
梅吉は、色々とお世話になりました…と波多利郎に深々と頭を下げ風と共に去っていきました
翌朝、奉行所から出てきたお奉行様の前に梅吉はいました。
「人呼んでからす小僧梅吉、お縄をちょうだいにあがりました」
もう一人はどうした?と問うお奉行様に
「後にも先にもからす小僧は私ひとりでございます」そう告げるのです
このお話では波多利郎がめずらしく(笑)貧しい人にお金を分け与える義賊になるんですよ。普段は「りんしょくの悪魔」とか呼ばれていますからケチでせこくてつぶれ肉まん、そんな波多利郎がこっそり人のために動く、そして梅吉の潔さが胸に染み入る珠玉のお話になっております
このお話はコミックス53巻に載っているのですが、この巻には以前このブログでも取り上げた、名作「果てなき旅路」も掲載されています。素晴らしい巻ですね。ぜひみなさんも読んでみてください!
パタリロ!傑作選?など決められない話(4)果てなき旅路
あぁやっぱりパタリロ!は面白い!
次回も越後屋波多利郎です
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