2018年06月24日
越後屋波多利郎(7)「人事師波多利郎」の後半です!
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
前回の「人事師波多利郎」の後半ですね鞭打たれた美少年、菊丸は一体どうなってしまうのでしょうか。
【人事師波多利郎 前半】
いつもとは違う役どころのパタリロのキャストたち。波多利郎は越後屋ではなく人材派遣業の「人事師」。万古蘭は南町奉行ではなく、「寺社奉行」の邪鬼万古蘭ノ守式馬(じゃっくばんこらんのかみしきま)。マライヒは博打打ち、「音根の菊丸」となっております。
人事師の波多利郎が寄せ場(工事現場)に派遣したのは、いかさま博打打ちの美少年「音根の菊丸」でした。高い所が平気な菊丸は「銀次」という男に鳶の仕事を教わることになり、華奢で細っこいのに腕っぷしが強く、愛嬌もある菊丸は、荒くれ者だらけの寄せ場でもすぐに皆に馴れ親しんでいきます。そんな折、見張りの役人がこっそりと酒を飲もうとしているのを見た菊丸と罪人たち。仲間のために菊丸はちょっとした事故をわざと起こし、隙をついてまんまと酒をせしめます。ところが仲間たちで酒を飲んでいるところに監視役の役人に踏み込まれ酒を飲んだことがバレてしまうのでした。菊丸は「自分がひとりで飲んだ」と皆の罪までかぶり名乗り出ます。そしてその罰として菊丸は“百叩きの刑”を受け、最後には失神してしまうのでした…
【人事師波多利郎 後半】
皆の分までひとり罪を背負った菊丸。鞭打たれた背中が痛み、夜もなかなか寝付かれずにいました。そんな菊丸の枕元に銀次が音も立てずやってきてこう問いました。
「痛むか」
起き上がった菊丸に、さらに銀次はこう続けます。
「なぜ、みんなをかばった」
ツンとした美少年、菊丸はそっぽを向きながら言うのです。
「痛い目に会うのは一人で充分だろう」
すると銀次は「おれの名を知ってるか」と続けます。
「銀次さんだろう?」といぶかしげに尋ねる菊丸に銀次は驚くべきことを告げます。
「それは本名だ。裏の世界じゃ“黄金小僧”(こがねこぞう)で通ってる」
菊丸は驚きました。“黄金小僧”といえば名の知れた有名な大泥棒だったからです。しかし“黄金小僧”が捕まったなんて話は聞いたことはありません。いぶかしげに尋ねる菊丸に、銀次は盗みで捕まった訳じゃないと続けます。聞けば、半年前にケンカに巻き込まれて一人を殺めてしまった。島送りは免れたが、この分じゃ一生寄せ場送りだろう…と
「まぁさんざん世間を騒がせた身だからそれもやむをえねぇ。ただ一つ心残りがあってな」
「すげえ金もうけの話があるんだ」
金もうけの話と聞いて菊丸はぴくっとします。
これは自分だけの胸に秘めてだまって地獄へ行くつもりだったが…と続けた銀次の話は思いもよらないものでした。
捕まる一月ほど前に忍び込んだ“紀州公”の屋敷で、紀州が幕府を転覆させようとしている証拠をつかんだというのです。それはご禁制の品である鉄砲をひそかに買い集めているという記録を書き記した巻物でした。
紀州は幕府を相手に戦争を始めようとしている、しかしそれにはまだ時期尚早で、この巻物をもとに紀州公を脅せば五万両、いや十万両にはなると言うのです。
しかし、寄せ場送りになっている自分はその仕事をすることが出来ない、かわりに菊丸にそれをやってほしいという銀次。
「なぜあたしに?」と聞く菊丸。
「おめえは見かけによらず、度胸も男気もある。そしておめえなら俺の頼みを聞いてくれると思ってな…」
銀次の頼みとは、金を手に入れたらその金の半分、いや三分の一でいいから生活に困ってる連中に分けて欲しい…というものでした。
菊丸はハッとします。
「あんたは義賊だったけね…」
「金をあるところからないところに運んでいるだけだ。おめえなら信用できると思って話したんだ、どうだやってくれるか」
そう言う銀次に菊丸は「お金をまずしい人にわけてやるという話気に入った…やるよ!」と快諾します。そして菊丸は銀次と、紀州公を脅し金を奪う作戦を練るのでした。
場面は変わり朝方、どこぞの美少年としっぽりと一夜を過ごした寺社奉行の万古蘭のもとへ、波多利郎がばたばたとやってきます。
「たいへんです!菊丸が逃走しました!」
「逃走したといっても…」身づくろいをした万古蘭は忌々し気に波多利郎に問います。
「菊丸はおまえの部下であろう…」
そうなのです。
“人事師波多利郎”とばくち打ち“音根の菊丸”とは世を忍ぶ仮の姿で、本当は公儀お庭番伊賀組小頭“小銭の波多利郎”とその配下“美女隠れ菊丸”だったのです。
ふたりの本当の目的は紀州公の陰謀の証拠の巻物を手に入れることでした。巻物の在りかを知っている“黄金小僧”に信用されるよう、寄せ場にて一芝居うったのです。
なんとまぁ…
ところが肝心の菊丸が情報を持ってトンズラしてしまったのでした。
なぜ、菊丸がトンズラしたのかわからない二人を残し、菊丸は美しい着物を着てひとり空を見あげています。菊丸は銀次の言葉に心を打たれ、銀次のかわりにまずしい人たちのために義賊になることを決意していたのでした。
まずしい人たちのために頑張るぞ〜と明るくこぶしを振り上げる菊丸とは対照的に、この仕事が終わったら菊丸に一晩相手をさせる約束をしていた万古蘭は、抑えきれないイライラを波多利郎にぶつけるのでした。
「手打ちにしてくれる!」「アギャーン」
面白い!
最後のページで菊丸が美しいバラの柄の着物を着ているのですが、これがまた美しい。可愛らしい!
牢屋のシーンから始まったこの作品ですが、ストーリー展開がとても流れるようで素晴らしいですね。いやあ、すごい。やっぱりパタリロ!は面白いなぁとしみじみ思います。
この「人事師波多利郎」もシリーズ化してほしかったな〜。さぞや色々なお話があったのではないでしょうかね、妄想ですけど
ぜひ、みなさんも読んでみてください!この45巻は一冊まるごと傑作ですから!
ナツノナカノです。
前回の「人事師波多利郎」の後半ですね鞭打たれた美少年、菊丸は一体どうなってしまうのでしょうか。
【人事師波多利郎 前半】
いつもとは違う役どころのパタリロのキャストたち。波多利郎は越後屋ではなく人材派遣業の「人事師」。万古蘭は南町奉行ではなく、「寺社奉行」の邪鬼万古蘭ノ守式馬(じゃっくばんこらんのかみしきま)。マライヒは博打打ち、「音根の菊丸」となっております。
人事師の波多利郎が寄せ場(工事現場)に派遣したのは、いかさま博打打ちの美少年「音根の菊丸」でした。高い所が平気な菊丸は「銀次」という男に鳶の仕事を教わることになり、華奢で細っこいのに腕っぷしが強く、愛嬌もある菊丸は、荒くれ者だらけの寄せ場でもすぐに皆に馴れ親しんでいきます。そんな折、見張りの役人がこっそりと酒を飲もうとしているのを見た菊丸と罪人たち。仲間のために菊丸はちょっとした事故をわざと起こし、隙をついてまんまと酒をせしめます。ところが仲間たちで酒を飲んでいるところに監視役の役人に踏み込まれ酒を飲んだことがバレてしまうのでした。菊丸は「自分がひとりで飲んだ」と皆の罪までかぶり名乗り出ます。そしてその罰として菊丸は“百叩きの刑”を受け、最後には失神してしまうのでした…
【人事師波多利郎 後半】
皆の分までひとり罪を背負った菊丸。鞭打たれた背中が痛み、夜もなかなか寝付かれずにいました。そんな菊丸の枕元に銀次が音も立てずやってきてこう問いました。
「痛むか」
起き上がった菊丸に、さらに銀次はこう続けます。
「なぜ、みんなをかばった」
ツンとした美少年、菊丸はそっぽを向きながら言うのです。
「痛い目に会うのは一人で充分だろう」
すると銀次は「おれの名を知ってるか」と続けます。
「銀次さんだろう?」といぶかしげに尋ねる菊丸に銀次は驚くべきことを告げます。
「それは本名だ。裏の世界じゃ“黄金小僧”(こがねこぞう)で通ってる」
菊丸は驚きました。“黄金小僧”といえば名の知れた有名な大泥棒だったからです。しかし“黄金小僧”が捕まったなんて話は聞いたことはありません。いぶかしげに尋ねる菊丸に、銀次は盗みで捕まった訳じゃないと続けます。聞けば、半年前にケンカに巻き込まれて一人を殺めてしまった。島送りは免れたが、この分じゃ一生寄せ場送りだろう…と
「まぁさんざん世間を騒がせた身だからそれもやむをえねぇ。ただ一つ心残りがあってな」
「すげえ金もうけの話があるんだ」
金もうけの話と聞いて菊丸はぴくっとします。
これは自分だけの胸に秘めてだまって地獄へ行くつもりだったが…と続けた銀次の話は思いもよらないものでした。
捕まる一月ほど前に忍び込んだ“紀州公”の屋敷で、紀州が幕府を転覆させようとしている証拠をつかんだというのです。それはご禁制の品である鉄砲をひそかに買い集めているという記録を書き記した巻物でした。
紀州は幕府を相手に戦争を始めようとしている、しかしそれにはまだ時期尚早で、この巻物をもとに紀州公を脅せば五万両、いや十万両にはなると言うのです。
しかし、寄せ場送りになっている自分はその仕事をすることが出来ない、かわりに菊丸にそれをやってほしいという銀次。
「なぜあたしに?」と聞く菊丸。
「おめえは見かけによらず、度胸も男気もある。そしておめえなら俺の頼みを聞いてくれると思ってな…」
銀次の頼みとは、金を手に入れたらその金の半分、いや三分の一でいいから生活に困ってる連中に分けて欲しい…というものでした。
菊丸はハッとします。
「あんたは義賊だったけね…」
「金をあるところからないところに運んでいるだけだ。おめえなら信用できると思って話したんだ、どうだやってくれるか」
そう言う銀次に菊丸は「お金をまずしい人にわけてやるという話気に入った…やるよ!」と快諾します。そして菊丸は銀次と、紀州公を脅し金を奪う作戦を練るのでした。
場面は変わり朝方、どこぞの美少年としっぽりと一夜を過ごした寺社奉行の万古蘭のもとへ、波多利郎がばたばたとやってきます。
「たいへんです!菊丸が逃走しました!」
「逃走したといっても…」身づくろいをした万古蘭は忌々し気に波多利郎に問います。
「菊丸はおまえの部下であろう…」
そうなのです。
“人事師波多利郎”とばくち打ち“音根の菊丸”とは世を忍ぶ仮の姿で、本当は公儀お庭番伊賀組小頭“小銭の波多利郎”とその配下“美女隠れ菊丸”だったのです。
ふたりの本当の目的は紀州公の陰謀の証拠の巻物を手に入れることでした。巻物の在りかを知っている“黄金小僧”に信用されるよう、寄せ場にて一芝居うったのです。
なんとまぁ…
ところが肝心の菊丸が情報を持ってトンズラしてしまったのでした。
なぜ、菊丸がトンズラしたのかわからない二人を残し、菊丸は美しい着物を着てひとり空を見あげています。菊丸は銀次の言葉に心を打たれ、銀次のかわりにまずしい人たちのために義賊になることを決意していたのでした。
まずしい人たちのために頑張るぞ〜と明るくこぶしを振り上げる菊丸とは対照的に、この仕事が終わったら菊丸に一晩相手をさせる約束をしていた万古蘭は、抑えきれないイライラを波多利郎にぶつけるのでした。
「手打ちにしてくれる!」「アギャーン」
面白い!
最後のページで菊丸が美しいバラの柄の着物を着ているのですが、これがまた美しい。可愛らしい!
牢屋のシーンから始まったこの作品ですが、ストーリー展開がとても流れるようで素晴らしいですね。いやあ、すごい。やっぱりパタリロ!は面白いなぁとしみじみ思います。
この「人事師波多利郎」もシリーズ化してほしかったな〜。さぞや色々なお話があったのではないでしょうかね、妄想ですけど
ぜひ、みなさんも読んでみてください!この45巻は一冊まるごと傑作ですから!
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