2018年04月09日
越後屋波多利郎(3)闇の料理人
みなさん、こんにちは。
ナツノナカノです。
さて、舞台パタリロ!をまだまだ引きずっていながらも、今回から江戸ものパタリロのご紹介に戻ります
しかし迷いますね。江戸ものパタリロは義理人情に厚い話が多いので名作揃いなんです。で、その話を読み返しているとその巻の他の話も読み返し…一冊まるまる名作じゃん!!ってなる訳ですよ。そしてパタリロコミックスをめくる手がとまらなくなるという…
パタリロ! (78) (花とゆめCOMICS)
というわけで今回はコミックス78巻をご紹介いたします。78巻は以前にもちらりと書きましたが、名作揃いの巻ですね。
78巻には江戸ものとして、「八百比丘尼」「おいてけ掘り」「新選組異聞」「商いの天才」「闇の料理人」が掲載されています。その中から今日は「闇の料理人」を…選集だと46巻に掲載されています。
【闇の料理人】
越後屋波多利郎はお金儲けのために、本業である呉服問屋の他にもいろいろと副業をやっているんです。その中のひとつが“口入れ業”。
仕事を探している人に奉公先を紹介して、両方からあっせん料をもらうという商売です。ところが波多利郎は身元の確認もせず、それどころか身元を捏造して奉公先に送りこむといういい加減な商売をしているので、数ある副業の中でも一番儲けているのでした
そんなある日、波多利郎のもとにバンコランがやってきます。この時、タマネギ扮する番頭が波多利郎に「美少年の敵が来ました」と取りつぐんですよ。そして波多利郎は「おお、変態色魔下半身無節操男が」…と。パタリロではおなじみのバンコランに対する陰口なんですが、こういうちょっとした毒舌がいい。こういうのがすごくいいですww
バンコランの役どころは江戸ものでは大抵、南町奉行のお奉行様です。ちなみに邪鬼遊稚児之丞万古蘭(じゃっくゆちごのじょうばんこらん)といいます(笑)
万古蘭が今回波多利郎のもとを訪れたのは、関西で一家皆殺しの極悪事件を6回も起こした凶悪犯を捕らえるためでした。料理人として大きな料理屋に住み込み、家族奉公人を殺害し金を奪う手口です。そしてその凶悪犯が関西から逃れ現在は江戸に潜伏しているらしいという事でした
その凶悪犯を捕らえようと奉行所でも内偵をすすめると、どうやらその凶悪犯はすでにもぐりの周旋屋を通して目当ての料理屋へ潜んでいるらしい…という事が判明したというのです。そしてそのもぐりの周旋屋とは、波多利郎が副業で営んでいる口入れ屋だったのです…
身元の確認なんてろくにしてないですからね…
「もしも犯行が起きて一人でも被害者が出たら、おまえも同罪とみなして打ち首獄門だからそう思え!」と、万古蘭にこっぴどく怒られる波多利郎。ま、仕方ないですねぇ。
そして波多利郎と万古蘭は波多利郎の帳簿から、怪しげな男三人をピックアップして越後屋に呼び出しました。
凶悪な人相の男、長吉。凡庸な風体の男、与作。男前の優男、淀五郎。
長吉は農業を営んでいたと言っていましたが、南町奉行邪鬼遊稚児之丞万古蘭の目はきらりと光ります。長吉の手には農業とは無縁の、サイコロダコがあったのです。万古蘭にそれを指摘されると長吉は元はバクチ打ちであったこと、そのいざこざで一人を殺め、寄せ場送りになっていたこと。しかし寄せ場で料理を習い、心を入れ替えて料理で身を立てようと思った事などを告白します。
3人とも身元に嘘をつかなくてはいけない境遇にありました。
犯人を絞り込むために、波多利郎は男たちに料理をさせてみることにします。
長吉が作ったのは「さわらの蒸し煮」与作は「ふろふき大根」淀五郎は「八寸とワカメとミョウガの酢の物にきゅうりの小口切りを散らしたもの」
そうして、犯人が判明したのです。さて、誰でしょうか。
淀五郎ですね。
江戸の料理人はキュウリを小口切りにしないのが常識なのです。なぜなら切り口が徳川家の葵のご紋に似ているからです。関西で凶悪事件を起こし、江戸に出てきた淀五郎はその料理人としてあまりに当たり前のことを知らなかったのです…
とっさに刀に手をかけた万古蘭の目に淀五郎は毒を投げつけ逃げようとしますしかし、凶悪な人相の男、長吉が淀五郎にタックルしてくらいつきます。「てめえ、毒で何十人も殺ったって!とんでもねぇ野郎め!」そう叫びながら腰のあたりを抑え込んだ長吉に、淀五郎は小刀で背中をざっくりと刺しますがそれでも長吉は「離すもんか〜〜」としがみつくのです
そうして無事、淀五郎は万古蘭にお縄になり、長吉の見事な働きに万古蘭は「この先、身元引受人は私が引き受けよう。安心して料理修行に励むがよい」と情け深い言葉をかけるのです。
はぁ〜見事な一件落着
このお話はページ数でいうと10ページです。たった10ページで波多利郎の口入れ業のあらましから、事件の説明、犯人あぶり出し、事件解決までを追っているんですよ。すごい!すごいスピード感。そして一件落着した時の大団円の安堵感!ほんとに魔夜先生は稀代のストーリーテラーだなぁと思う回ですね
この78巻は以前にも書きましたが、ギャグあり、ミステリーあり、怪奇あり、アスタロト様あり、源氏物語ありの色とりどりの宝石箱のような構成になっています。
ぜひぜひみな様も読んでみてください!
次回も江戸ものです!
ナツノナカノです。
さて、舞台パタリロ!をまだまだ引きずっていながらも、今回から江戸ものパタリロのご紹介に戻ります
しかし迷いますね。江戸ものパタリロは義理人情に厚い話が多いので名作揃いなんです。で、その話を読み返しているとその巻の他の話も読み返し…一冊まるまる名作じゃん!!ってなる訳ですよ。そしてパタリロコミックスをめくる手がとまらなくなるという…
パタリロ! (78) (花とゆめCOMICS)
というわけで今回はコミックス78巻をご紹介いたします。78巻は以前にもちらりと書きましたが、名作揃いの巻ですね。
78巻には江戸ものとして、「八百比丘尼」「おいてけ掘り」「新選組異聞」「商いの天才」「闇の料理人」が掲載されています。その中から今日は「闇の料理人」を…選集だと46巻に掲載されています。
【闇の料理人】
越後屋波多利郎はお金儲けのために、本業である呉服問屋の他にもいろいろと副業をやっているんです。その中のひとつが“口入れ業”。
仕事を探している人に奉公先を紹介して、両方からあっせん料をもらうという商売です。ところが波多利郎は身元の確認もせず、それどころか身元を捏造して奉公先に送りこむといういい加減な商売をしているので、数ある副業の中でも一番儲けているのでした
そんなある日、波多利郎のもとにバンコランがやってきます。この時、タマネギ扮する番頭が波多利郎に「美少年の敵が来ました」と取りつぐんですよ。そして波多利郎は「おお、変態色魔下半身無節操男が」…と。パタリロではおなじみのバンコランに対する陰口なんですが、こういうちょっとした毒舌がいい。こういうのがすごくいいですww
バンコランの役どころは江戸ものでは大抵、南町奉行のお奉行様です。ちなみに邪鬼遊稚児之丞万古蘭(じゃっくゆちごのじょうばんこらん)といいます(笑)
万古蘭が今回波多利郎のもとを訪れたのは、関西で一家皆殺しの極悪事件を6回も起こした凶悪犯を捕らえるためでした。料理人として大きな料理屋に住み込み、家族奉公人を殺害し金を奪う手口です。そしてその凶悪犯が関西から逃れ現在は江戸に潜伏しているらしいという事でした
その凶悪犯を捕らえようと奉行所でも内偵をすすめると、どうやらその凶悪犯はすでにもぐりの周旋屋を通して目当ての料理屋へ潜んでいるらしい…という事が判明したというのです。そしてそのもぐりの周旋屋とは、波多利郎が副業で営んでいる口入れ屋だったのです…
身元の確認なんてろくにしてないですからね…
「もしも犯行が起きて一人でも被害者が出たら、おまえも同罪とみなして打ち首獄門だからそう思え!」と、万古蘭にこっぴどく怒られる波多利郎。ま、仕方ないですねぇ。
そして波多利郎と万古蘭は波多利郎の帳簿から、怪しげな男三人をピックアップして越後屋に呼び出しました。
凶悪な人相の男、長吉。凡庸な風体の男、与作。男前の優男、淀五郎。
長吉は農業を営んでいたと言っていましたが、南町奉行邪鬼遊稚児之丞万古蘭の目はきらりと光ります。長吉の手には農業とは無縁の、サイコロダコがあったのです。万古蘭にそれを指摘されると長吉は元はバクチ打ちであったこと、そのいざこざで一人を殺め、寄せ場送りになっていたこと。しかし寄せ場で料理を習い、心を入れ替えて料理で身を立てようと思った事などを告白します。
3人とも身元に嘘をつかなくてはいけない境遇にありました。
犯人を絞り込むために、波多利郎は男たちに料理をさせてみることにします。
長吉が作ったのは「さわらの蒸し煮」与作は「ふろふき大根」淀五郎は「八寸とワカメとミョウガの酢の物にきゅうりの小口切りを散らしたもの」
そうして、犯人が判明したのです。さて、誰でしょうか。
淀五郎ですね。
江戸の料理人はキュウリを小口切りにしないのが常識なのです。なぜなら切り口が徳川家の葵のご紋に似ているからです。関西で凶悪事件を起こし、江戸に出てきた淀五郎はその料理人としてあまりに当たり前のことを知らなかったのです…
とっさに刀に手をかけた万古蘭の目に淀五郎は毒を投げつけ逃げようとしますしかし、凶悪な人相の男、長吉が淀五郎にタックルしてくらいつきます。「てめえ、毒で何十人も殺ったって!とんでもねぇ野郎め!」そう叫びながら腰のあたりを抑え込んだ長吉に、淀五郎は小刀で背中をざっくりと刺しますがそれでも長吉は「離すもんか〜〜」としがみつくのです
そうして無事、淀五郎は万古蘭にお縄になり、長吉の見事な働きに万古蘭は「この先、身元引受人は私が引き受けよう。安心して料理修行に励むがよい」と情け深い言葉をかけるのです。
はぁ〜見事な一件落着
このお話はページ数でいうと10ページです。たった10ページで波多利郎の口入れ業のあらましから、事件の説明、犯人あぶり出し、事件解決までを追っているんですよ。すごい!すごいスピード感。そして一件落着した時の大団円の安堵感!ほんとに魔夜先生は稀代のストーリーテラーだなぁと思う回ですね
この78巻は以前にも書きましたが、ギャグあり、ミステリーあり、怪奇あり、アスタロト様あり、源氏物語ありの色とりどりの宝石箱のような構成になっています。
ぜひぜひみな様も読んでみてください!
次回も江戸ものです!
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