b.ここは牛窓町鹿忍(カシノ)地区、牛窓といい鹿忍といい、変わった地名や、
「牛と鹿 海をながめる 多島美の」、
a.本来なら、ここまで来て牛窓の歴史的町並みを見ないじゃ済まされんが、
b.「日本縦断こころ旅」の目的地も牛窓港やったなあ、火野さんが岸壁で読者からの手紙を読んでたけど、そこに出てくる親切なおじいさんも鹿忍のヒトやったなあ、
a.しかし、今回は牛窓というごちそうを目前にUターンしたい、
b.そのこころは?
a.他にもすばらしい景色がたくさんあることを、読者の方々に知ってもらいたいから、
b.じゃあ正面に見える神社の森の右手へ、海ぞいに進むと、
a.こちら側から進むと、左側通行が海ぞいという利点もあるし、高台を進むコースが多いから見晴らしもいい、
b.牛窓町は岡山を代表する野菜の産地、ならではの光景がここにも、
「青ばかり 島・海・畑 それぞれに」、
a.スッキリした風景、それぞれ直線で区切られて、
b.フェリーが残す白波の航跡(コウセキ)もまた直線、
「直線で すっきりえがく 瀬戸の海」、
b.ところで、正面は島すか、
a.牛窓の前に浮かぶから前島、そのまんまや、
b.じゃあ海をはさんで左手が牛窓中心部か、
a.昔ながらの港町らしく、ぎっしりと押し寿司のように家が立ちならぶ、
「押し寿司の 家ぎっしりの 港町」、
b.この辺は対照的にスカスカ、
a.スカスカで自転車には気持ちいい道、クルマも少ないし、瀬戸内は見晴らせるし、
b.いかにもバブル期に建てられたような別荘群のむこうに、先ほどの野菜畑が小さく見えてる、
a.拡大するとこんな感じか、
b.あのフェリーは小豆島(ショウドシマ)と牛窓をむすぶ定期便っすね、きっと、
a.あの船の中にどんな人間ドラマがあるんや、
b.「砂の器」の丹波哲郎演じる今西刑事が乗っていそうな、
a.「なに、本浦千代吉(モトウラ・チヨキチ)が(ハンセン病療養所で今も)生きてる!?」(映画「砂の器」終盤)、
b.そういえば、牛窓のすこし先にハンセン病療養所が、
a.細長い小島にふたつ、長島愛生園と邑久(オク)光明園・・・映画で今西刑事が本浦千代吉(モトウラ・チヨキチ)に面会したのはこの島かもなあ、
b.ところで、我々は現在標高60mもない小松が峠を越えたところですけど、がらっと雰囲気が変わりました、
a.峠を下ると西脇海水浴場、しっかり白い砂浜や、
b.真正面に小豆島(ショウドシマ)、きれいな稜線(リョウセン=山のライン)ですね、
a.近江舞子あたりからびわ湖ごしに近江八幡をながめると、ちょうどこんな感じや、
b.なるほど、そういえば似てますね、やはり、みずうみ風な海なんすね、瀬戸内海は、
「瀬戸内は みずうみ風な おだやかさ」、
a.おまけにびわ湖より圧倒的に島が多い、
b.瀬戸内特有の多島美(タトウビ)、そういえば忘れてたけど、瀬戸内海全体が国立公園、
「多島美の 海を旅する ちぎれ雲」、
a.ああ、なんもいらねえ、この景色だけでココロが満腹、
b.安上がりでいいっすね、
a.ホンマや、チャリはガソリンいらへんし、吸うてる空気はただやし、
b.しかし、ここもまだ鹿忍(カシノ)なんすね、
a.どこまで鹿忍(カシノ)なんや、
b.しかし、フラットな砂浜も終わって、今度はじわじわ登りはじめた、
a.息がつらいけど、だんだんドラマチックに、
b.これなんかシンプルかつドラマチック、
a.どんな情景が描けるかなあ、
b.やはり、ここでヒトとヒトが出会うっちゅうのが、エエんちゃいます、
a.立ち止まって会話するんか、
b.いや、立ち止まらんと無言ですれ違うほうが、広重の浮世絵みたいで旅情があるかもなあ、
a.チャリ同士でか、
b.そうすね、しかし、そうなると自転車メーカーのプロモーションビデオみたいかなあ、
「立ちこぎの 峠の2台 海ひかる」、