2016年08月10日
公務員には自殺者が多い
1.はじめに
男女ともに結婚相手の職業として人気のある公務員だが,意外と自殺者が多いってことは,知っていたほうがいいだろう,自殺する人は,ほぼ事前にウツ病を発症することが多いんだが,じゃ,なんで地位安定,給料安定,定年まで前途安泰な公務員が,ウツ病になってしまうかということであるが
2.なぜ公務員がウツ病になるのか
公務員の世界は階級社会のため上司の言うことは絶対である,平職員は主任や係長の言うことを絶対に聞かなければいけない,主任や係長は課長の言うことを絶対に聞かなければいけない,課長は部長の言うことを絶対に聞かなければいけない,そういう完璧なヒエラルキー社会なのである
いえ係長それは違うのでは,なんて言ってはいけないというか,業務をスムーズに進めるためにそれが言えないシステムになってる,個人の感情なんか関係ない,上司の職務命令で仕事が進んでいく,これはもう絶対的にそれに従い,規則通り手順通り淡々と業務を進めなくてはいけない
ちなみに職務命令ってのは,たとえそれが世間一般の常識から外れていても,法に触れない限り,公務員は従う義務が課せられている,正義とか真理とかまったく関係ない,こういう世界に身を置いてると,だんだん心が病んでしまう人が出てくる
3.公務員の自殺事例1
例として次のような案件があったとしよう,もう20年位前から住民の反対運動でゴタゴタして,一向に進まない,土地を買収してそこに箱物建設するという事業があったとしよう,その事業どう見たって反対してる住民の言ってることが正しいし,積算根拠なんかもむちゃくちゃで,とうてい建てた後の維持予算が確保できなくて遠からず破綻することが目に見えてる
これを係長のアナタが担当したら,いかに住民の皆さんに有益であり,かつそれは地域振興や活性化に繋がり,万々歳の状況になるんですよ,っていうような資料作りを要求される
あなたは,住民の言ってることが正しいと思っても,その反対してる住民を説き伏せる作業をしなくちゃいけない,しかももう20年も前からゴタゴタやってんだから,今年度中に君の責任で住民の合意を取り付けるようになんて言われる訳
で,係の職員と一緒になって,黒を白に見せかける資料やらパワポのプレゼンなんかを使って,住民説明会とかやるんだが,住民からは罵倒・面罵の嵐,そういう作業を何回も何回も繰り返す
今日,金曜日の何度目かの住民説明会の後,上司の課長に今日もダメでした,って報告すると,何やってんだ!もう一度説明資料を根本的に見直せ!係全員残業してでも,土日出勤してでも直しとけ!来週月曜の説明会は部長も同席だぞ,絶対に住民から反対意見出ないようにちゃんと根回しもしとけよ!な〜んてこと言われるわけですよ
で,明くる朝,電車に・・・
4.公務員の自殺事例2
上の例は一般行政職の話で書いたが技術系の部署の例を紹介しよう,国から予算が来てる,とある技術系開発部門で,もう10年位やってんのに,なにも成果が出てない,あたらしい技術の開発事業があったとしよう,こういう研究開発的な事業でも,お役所だから年度末には毎年,国や関係機関への実績報告や来年度の事業計画や予算資料作りがあるわけだ
もう,どう見たってその新技術の開発は無理だと担当者の間では周知の事実なのに,国からくる予算を消化しなきゃいけないから,なんとかかんとか,つじつまあわせをしなきゃいけない
ウソではない事実だけで,ありもしない成果を作り上げなくちゃいけない,こういう作業を延々とやってると,たいていの人はおかしくなる,特にこういう研究部門などは,専門性が高く簡単に交代ってわけにいかない,そのため異動サイクルが長く周りが気づいた時は手遅れということが多い
5.なぜ自殺とかの悲劇になるのか
上記のような例はこれは極端なお話では無い,こういうのが日常的に起きてるのが公務員の世界である,ではなぜこういうことが起きるかというと,公的機関は一度こうしましょうと決めた計画,つまりは事業でも方策でもその方向を変えることは無い,変えると言うことは当初の計画が間違ってたということになってしまう
基本的にお役所ってのは,計画だろうが事業だろうが施策だろうが間違わない,という前提で動いてる,だから最初の計画をなんとしてでも押し通す,そのためには,黒を白に見せかけるような不義な仕事もやらなきゃいけない,こういうことを続けてると,ほとんど精神やられます
6.なぜ自殺の前に逃げ出さないのか
よく言われるのが死ぬくらいなら,仕事辞めちゃえばいいのにっていう論法,これが通用しない,公務員になる人ってどちらかといえばお利口さんタイプ,公務員試験とかも難なくパスの優等生で,俗に言う勝ち組である,というわけで,あんまり失敗体験が無い,というか失敗を知らない
だから自分の中に,負ける自分というのは存在しないわけ,辞めるってことは自分の敗北であって自分自身の否定になってしまう,負けを認めることができないから,自分を消すことで負けから逃れる
7.自殺対策はないのか
そうならないように例1のような部署は3年程度で異動があるけど,間に合わないことも多いのが現実である,最近は大きな自治体ならカウンセリングとか無料で受けられたりするが,あんまり効果ないみたい,そもそも,自発的にカウンセリング受けるような状況なら自殺はしない
8.自殺が有ったときの組織の対応
ちなみにこういう公務員の自殺は,まず表に出ることは無い,直ちに箝口令が敷かれて直属の上司数人が知るだけ,まあ,家族も表沙汰にはしたくないだろうし,葬儀に出た同僚だって「事故だってよ」くらいしか知らないんだから,もう徹底的に隠される
ああ,あの人は仕事がんばったのにねぇ,残念な人を亡くしたなんてだれも思わない,上司なんか迷惑な野郎だった,とか心の中で思ってる,組織の安泰が一番大事,個人の死なんて関係ないのである
9.おわりに
公務員って8:30〜17:00だけ,楽して働いて税金で高給貰って,その上身分保障もあってお気楽でいいよなぁ,と思ってる人も多いだろう,でも,ほとんどの公務は,世間一般に言われてるようなお気楽ではない,たしかに昔の公務員は,横柄で威張ってたのは事実だが,今はそんなこと許されない,現代では,公務員は町民,市民,県民,国民の下部(シモベ)というのが一般認識である
意外と大変ですよ,公務員って,メンタルよわい人は絶対なったらいけない
10.関連記事
もう少し内容を掘り下げた記事もまとめてるので参考までに(詳細は→こちら)
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/5323933
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
この記事へのトラックバック