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2013年07月18日
「良え女子を入れてくれたな」経
「良え女子を入れてくれたな」経営者は佐古に一言だけ感謝の言葉を与えた。
 この一言がしかし佐古をぎくりとさせた。経営者の眼は多鶴子の胸から腰へ執拗に注がれていた。音を立てるような視線だった。(覘てけつかる)佐古はすっかり狼狽してしまった。


 実は佐古が村口多鶴子を「オリンピア」に招聘するために涙ぐましいほどの努力をはらったのは、慾得をはなれた考えからであった。電機工をしていた頃、彼の菜っ葉服のポケットには村口多鶴子のプロマイドがはいっていたこともあった。といって、はじめのうちはべつに取り立てて彼女ひとりに憧れていたわけではない。たいていの美しい女優ならいちように心をそそったものだ。むろん女優に限らなかったろう。ただ、偶然彼女のプロマイドを拾ったというだけの話だった。が、ポケットから出して、つくづく見れば良い女だと思った。こんな女をとひそかに夢を描き、悩ましく思いつめるようになった。トーキーで声をきいて一層心を惹きつけられた。無理にそんな声を出しているとしか思えぬ、しわがれた悩ましい声は、なにもかも知りつくしたような円熟した女の底の深さを囁いて、佐古の好奇心を刺戟した。 布団セット 激安 ベッドの布団 - 通販
Posted by salchan at 19:59 | この記事のURL
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