なんでもやろうよ

　
　本書の書名は“クレージー・ジーニアス”「世界を変える天才は君の中にいる」とありますが原題はMAD GENIUSです。
帯には、
リスクこそが安全！
君は凡人ではない！
「群れの思考」から抜け出せ！
とあります。
装丁は黄色と灰色の縦じまで、机の上に置くと「イラッ」ときます。

　帯や表題をからは普通の自己啓発本のように見えますが、サラリーマン向けの自己啓発本ではありません。
対象としているのはこれから起業しようとしている人です。
　数ページ毎に例を挙げどのように考えて行動すべきかを述べています。
私は会社員でこれから起業しようとも思わないのであまり参考にはなりませんでした。
アメリカ人著者なので、アメリカの社会で起業をした人が出てきます。
本文は基本的にアメリカ社会での起業するときの心構えです。

　内容からこの本の最適な読者としては、私は次のように考えます。
　　・社会経験がある人
　　・30歳前後の人
　　・体力、気力があり起業したい人

学生がこの本を読んでも多分、アウトロー的な行動へのあこがれのみを感じるのではないかと思われます。
社会経験があればこの本に書いてあることの、行間とは言いませんが虚構の部分と現実の部分が切り分けられます。
年齢はあまり関係ないように思いますが、社会経験があることからある程度の年齢になってしまいます。
また、会社員でも、個人経営でも40代以上になると家族などに対する社会的責任も果たさなければならず失敗は許されません。
やり直せる若い段階である必要があります。
起業をするのであれば、相当量の体力、気力、起業への熱意がないとだめだと思います。

　私にはあまり参考にならないと書きましたが、引かれた内容もありますので紹介します。
セミナーで参加者の自己紹介で一番最初に自己紹介した人と同じような話を次の人が行っていく例から、
“群れはリーダーにしたがうとはかぎらない。たまたま最初に話した者にしたがったりする”
これは日本でも同じです。学校でも、社会でも最初に話した人と同じくらいの長さで、同じくらいのくだけた（形式ばった）感じになります。
　
70歳くらいのスオッチ創業者の一人に記者が、いつごろ引退か、と聞いたときに
“起業家は芸術家だ。芸術家は引退などせん！”と答えた話。

　つぎに来るものはなにかということに関し
“メディアの境界（テレビ、ケーブルテレビ、インターネット）が消える。なぜなら消費者にはコンテンツがどこから届こうとどうでもよく、情報を得たり楽しんだりできればいいからだ。”

　成功する起業家と成功しない起業家の大きな違いについて失敗を恐れない心があるかどうかだ。に続いて、
“「成功」の反対は「失敗」ではなく「凡庸さ」だ。失敗しない起業家は何もできないのだ”

　私は起業するつもりがないので、「よみもの」として読みました。
起業することを考えていない人には薦めません。
ノウハウを期待する人にも薦めません。
若い人には、「これがすべてではないよ」と言って渡すかもしれません。
そのような本です。


【データ】
書名：クレージー・ジーニアス
著者：ランディ・ゲイジ
訳者：白井　準
発行所：早川書房
発行：2017年2月20日

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