2019年07月15日
世界の思春期HPVワクチン接種状況
日本だけが極端に低い!
先進国の中で、日本だけが子宮頸がんが増え続けるわけだが、
誰が責任を取るのだろうか?
政府?厚生労働省?マスコミ?
世界の思春期HPVワクチン接種状況
接種率回復した国も
2019年05月21日 06:10
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの「積極的勧奨中止」から6年がたとうとしている。
その間の接種率低迷が、日本の将来の子宮頸がん発症率にどう影響するのか、
他の国よりも悪い状況にならないかと懸念する向きも多い。
このような中、聖マリアンナ医科大学小児科講師の
勝田友博氏は第71回日本産科婦人科学会(4月11〜14日)で、
世界と日本の思春期小児へのHPVワクチン接種状況を報告、今後の課題を述べた。
日本では2000年以降の出生者で接種率ほぼ0%
2018年時点で、HPVワクチンは108カ国で導入されている。
最も接種率が高いのはマレーシア(2010年、98%)で、
ブータン(同、96%)、メキシコ(2008年、96%)と続き、
接種率の高い国では、学校で接種を受けられるケースが多くなっている。
ところが、日本は1%未満(2011年)と極端に低い。
日本では1994年に予防接種法が改正された。
それにより、予防接種政策の目的は「社会防衛」から「個人防衛」に移行し、
「義務接種」が「勧奨接種」「接種努力義務」へと転換された。
個人の意思が尊重されやすくなった反面、
責任を含めて保護者に判断を委ねるという状況が生まれている。
このような中、2009年に2価HPVワクチンが認可され、
2010年には国が13〜16歳女児への接種に対する助成を決めた。
2011年には4価HPVワクチンが認可され、
2013年4月には定期接種化されたが、
有害事象を疑う報道が先行し、
世論に押される形で同年6月には政府による積極的な勧奨が差し控えられた。
この流れが大きく影響し、
1994〜99年出生者の2010年における接種率は70%であったが、
2000年以降の出生者ではほぼ0%へと激減。
メディアで、一般向けにHPVワクチンの有用性に関する話題が取り上げられることも減っている。
他国に見る接種率回復への努力
海外での状況はどうか。
例えば米国の接種率は、2011年から右肩上がりに推移し、
2017年には48.6%(2回以上接種)まで上昇している。
特にロードアイランド州では
7年生(日本では中学1年生に相当)進学時に
HPVワクチンが強制接種となっており、
学校へ証明書を提示することが必要になっている。
これにより、同州の13〜17歳における接種率(2016年)は70%を超えたという。
一方、日本以外にも接種率が下がっている国があり、
例としてデンマークとアイルランドが挙げられた。
デンマークの接種率(初回)は2002年生まれの人で90%、2003年生まれの人で40%。
アイルランドの接種率(初回)は2015年の82.4%から2016年には50%へと低下した。
両国ともHPVワクチンへの反対運動や偏った報道が背景にあり、
この経緯は日本とよく似ている。
しかしその後、両国ともHPVワクチン接種率回復のための対策が取られ、
特にアイルランドでは2017年に61.7%まで回復している。
勝田氏は、接種の積極的な勧奨を促進する関連団体運営グループ設立の他、
医療者へのe-learning、
接種機会を逃した児に対するキャッチアップ、
領域を越えた強力な連携などの対策が、接種率回復の鍵になったという。
また、アイルランド政府がこういった積極的な取り組みを後押ししていた。
保護者に正確な情報を提供できる体制づくりを
勝田氏は、日本では積極的な接種勧奨の再開時期がまだ予測できないことに触れつつ、
日本でHPVワクチン接種率が低い理由は他にもあると指摘する。
それは、接種してもすぐに効果を実感できず、
ワクチンの信頼性が低下してしまうことだ。
即効性のあるワクチンであれば、接種率が下がるとその後疾患が増加し、
ワクチンの接種率は回復するが、
HPVワクチンでは効果が見えにくく、
接種率の向上につながりにくい。
また、接種する医師(小児科、内科)と
子宮頸がんという疾患を診察する医師(産婦人科)が
異なるケースが少なくないことも、
患者が疾患についてワンストップで情報を得にくくしており、問題だという。
同氏は「諸外国に比べて日本のHPVワクチン接種率は明らかに低い。
しかし、数十年後に日本だけ子宮頸がんで多くの人が亡くなるという危機が迫っており、
この状況を見過ごすことはできない」と指摘。
小児科医、内科医、産婦人科医が連携し、
正確な情報を保護者に提供できる体制づくりが重要であり、
たとえ"接種しない"という判断がなされるとしても、
正しい情報を知った上での判断であるようにすることが、医療者の責務だと締めくくった。
(鶴岡俊志)
先進国の中で、日本だけが子宮頸がんが増え続けるわけだが、
誰が責任を取るのだろうか?
政府?厚生労働省?マスコミ?
世界の思春期HPVワクチン接種状況
接種率回復した国も
2019年05月21日 06:10
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの「積極的勧奨中止」から6年がたとうとしている。
その間の接種率低迷が、日本の将来の子宮頸がん発症率にどう影響するのか、
他の国よりも悪い状況にならないかと懸念する向きも多い。
このような中、聖マリアンナ医科大学小児科講師の
勝田友博氏は第71回日本産科婦人科学会(4月11〜14日)で、
世界と日本の思春期小児へのHPVワクチン接種状況を報告、今後の課題を述べた。
日本では2000年以降の出生者で接種率ほぼ0%
2018年時点で、HPVワクチンは108カ国で導入されている。
最も接種率が高いのはマレーシア(2010年、98%)で、
ブータン(同、96%)、メキシコ(2008年、96%)と続き、
接種率の高い国では、学校で接種を受けられるケースが多くなっている。
ところが、日本は1%未満(2011年)と極端に低い。
日本では1994年に予防接種法が改正された。
それにより、予防接種政策の目的は「社会防衛」から「個人防衛」に移行し、
「義務接種」が「勧奨接種」「接種努力義務」へと転換された。
個人の意思が尊重されやすくなった反面、
責任を含めて保護者に判断を委ねるという状況が生まれている。
このような中、2009年に2価HPVワクチンが認可され、
2010年には国が13〜16歳女児への接種に対する助成を決めた。
2011年には4価HPVワクチンが認可され、
2013年4月には定期接種化されたが、
有害事象を疑う報道が先行し、
世論に押される形で同年6月には政府による積極的な勧奨が差し控えられた。
この流れが大きく影響し、
1994〜99年出生者の2010年における接種率は70%であったが、
2000年以降の出生者ではほぼ0%へと激減。
メディアで、一般向けにHPVワクチンの有用性に関する話題が取り上げられることも減っている。
他国に見る接種率回復への努力
海外での状況はどうか。
例えば米国の接種率は、2011年から右肩上がりに推移し、
2017年には48.6%(2回以上接種)まで上昇している。
特にロードアイランド州では
7年生(日本では中学1年生に相当)進学時に
HPVワクチンが強制接種となっており、
学校へ証明書を提示することが必要になっている。
これにより、同州の13〜17歳における接種率(2016年)は70%を超えたという。
一方、日本以外にも接種率が下がっている国があり、
例としてデンマークとアイルランドが挙げられた。
デンマークの接種率(初回)は2002年生まれの人で90%、2003年生まれの人で40%。
アイルランドの接種率(初回)は2015年の82.4%から2016年には50%へと低下した。
両国ともHPVワクチンへの反対運動や偏った報道が背景にあり、
この経緯は日本とよく似ている。
しかしその後、両国ともHPVワクチン接種率回復のための対策が取られ、
特にアイルランドでは2017年に61.7%まで回復している。
勝田氏は、接種の積極的な勧奨を促進する関連団体運営グループ設立の他、
医療者へのe-learning、
接種機会を逃した児に対するキャッチアップ、
領域を越えた強力な連携などの対策が、接種率回復の鍵になったという。
また、アイルランド政府がこういった積極的な取り組みを後押ししていた。
保護者に正確な情報を提供できる体制づくりを
勝田氏は、日本では積極的な接種勧奨の再開時期がまだ予測できないことに触れつつ、
日本でHPVワクチン接種率が低い理由は他にもあると指摘する。
それは、接種してもすぐに効果を実感できず、
ワクチンの信頼性が低下してしまうことだ。
即効性のあるワクチンであれば、接種率が下がるとその後疾患が増加し、
ワクチンの接種率は回復するが、
HPVワクチンでは効果が見えにくく、
接種率の向上につながりにくい。
また、接種する医師(小児科、内科)と
子宮頸がんという疾患を診察する医師(産婦人科)が
異なるケースが少なくないことも、
患者が疾患についてワンストップで情報を得にくくしており、問題だという。
同氏は「諸外国に比べて日本のHPVワクチン接種率は明らかに低い。
しかし、数十年後に日本だけ子宮頸がんで多くの人が亡くなるという危機が迫っており、
この状況を見過ごすことはできない」と指摘。
小児科医、内科医、産婦人科医が連携し、
正確な情報を保護者に提供できる体制づくりが重要であり、
たとえ"接種しない"という判断がなされるとしても、
正しい情報を知った上での判断であるようにすることが、医療者の責務だと締めくくった。
(鶴岡俊志)
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