2019年07月09日
新常識! ニューロンは運動で増える
新常識! ニューロンは運動で増える
なぜ、運動をすると頭が良くなるのか?
運動が「脳の神経細胞を育てる」からだというのは、
『脳を鍛えるには運動しかない!』(NHK出版)の著者、
ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士だ。
「運動すると、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が脳の中でさかんに分泌されます。
このBDNFが、脳の神経細胞(ニューロン)や、脳に栄養を送る血管の形成を促す
ことが明らかになりました」
以前は「脳のニューロンの数は生まれたときに決まっており、
その後は加齢とともに減っていく一方で、増えることはない」と考えられていた。
だが最近では、さまざまな要因で後天的に増えることが科学的な常識となっている。
「ニューロンの数を増やすために最も効果が期待できるのは、運動です。
さらにものを覚えたり認知能力を高めるために必要な神経結合を増やしたり、
ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといった
思考や感情にかかわる神経伝達物資の分泌を促す
効果も、運動にはあります」と、レイティ氏は言う。
たとえばいくつかの研究では、有酸素運動によるトレーニングを行うことで、
記憶をつかさどる海馬が大きくなることがわかっている。
また、継続的な運動によって、脳の認知能力が強化されることも明らかになってきた。
2001年に米カリフォルニア州教育局が9年生(日本での中学3年生に相当)28万人に行った大規模調査の結果。基礎体力や心肺機能などを総合し、受検者の体力スコアを1〜6に分類。
各体力スコア層のリーディングと数学の平均点を算出したもの。
学業成績と運動との関連性については、
アメリカでは1980年代から研究が進められてきた。
有名なものの1つは、カリフォルニア州教育局が
2001年、同州の小学5年生約35万人、中学1年生約32万人、中学3年生約28万人を対象
に行った大規模な調査だ。
この調査ではまず、「フィットネスグラム」と呼ばれる総合的な体力調査で、
子供たちの心肺能力や筋力、持久力、体脂肪率などを調べる。
そして、体力と標準学力テストの数学およびリーディング(英文読解)の成績の、関連性を分析した。
すると、体力調査での成績が高い子供ほど、学業成績も優秀な傾向があることが確認された。
では、どういう運動が、脳を育てるために効果的なのか。
レイティ氏が勧めるのは、一定時間にわたって心拍数を上げるタイプの運動だ。
研究によると、数ある体力の評価基準のうち、
とくに心肺機能が学業成績と強い相関関係を示しているという。
具体的な心肺機能の高め方は、
速足でのウオーキングやランニング、
エアロビクスやエアロバイクを使った運動など。
週に2日は最大心拍数(注)の75.90%まで上がる運動を短めに、
残り4日は65.75%までの運動をやや長めに、というのが脳のためには理想的だという。
心拍数の目安としては、ランニングでたとえると、
最大心拍数に対して80%以上というのはかなりきつい全力疾走、
70%はやや息が上がる走り込みといった具合だ。
心拍計を使って測ってみるのもよいだろう。
ジョン・J・レイティ
ハーバード大学医学部准教授。精神医学を専門として幅広く活躍。
イリノイ州ネーパーヴィルの事例を研究し、
運動が脳を活性化することを広く世に知らしめた。
「ただ、子供たちの場合は、
本人が好きで楽しいと感じることをやらせてください。
かけっこ、ボール遊び、ダンスや体操など、
なんでも構いません。
毎日、運動させるのはとても大変なことですから、
無理をしないことが大切です」(レイティ氏)
なぜ、サッカーやバスケットボールなどでは駄目なのか。
その理由をレイティ氏はこう語る。
「チームスポーツの場合、運動に苦手意識を持っている子は、体を動かしにくい。
ですから、頭を良くする運動の観点からは、競争や勝負を排除したほうが良い
というのが、私の考えなのです」
さらに、体を動かしながら頭も使うような運動はより効果的だとも、
レイティ氏はアドバイスする。
「ヨガのポーズ、空手の形といったように、
自らの動きを意識させる運動は脳に良い刺激になります。
また、複雑な動きをし、普段使わない筋肉を意識的に使うことも有効でしょう」(レイティ氏)
とはいえ、運動だけで成績が上がるわけではないとも、レイティ氏は指摘する。
「運動はあくまで、脳が学習するための準備を整える役割です。
成績を上げるためには、そのあとの学習とセットで考える必要があります。
運動を終えるとまもなく脳の血流が増しますが、
このときこそが、思考力や集中力が飛躍的に高まるチャンス。
勉強を始める前、できれば朝にやることをお勧めします」
できれば毎朝体を動かし、心拍数を上げてから勉強に向かう。
これが最新科学が解明した「運動で頭を良くする」極意。
こうしたレイティ氏の理論を基に米国でboks(ボックス)と呼ばれる運動プログラムが開発された。
(注)最大心拍数:一般的には成人男性の場合、220から自分の年齢を引いた値を理論上の最大心拍数とみなす。
レイティ氏の理論を基に米国で行われている運動プログラム(boks)
子供の脳細胞を増やす運動「3大条件」
1.準備体操(標準時間5〜10分)
運動前に体と心をほぐす輪になっての準備運動。
声を意識して出すことで、積極的に体を動かせるようにする。
2.ランニングアクティビティ(標準時間10分〜)
体を動かし体温を上げるジグザグ走やジャンプなどを
取り入れたランニングで、体を温める。
3.グループゲーム(標準時間15分〜)
体だけでなく、頭も使って楽しむ遊びをベースとした、
作戦やチームワークが必要とされるゲームに取り組む。
4.クールダウン
整理運動をし、徐々にクールダウン体操などで
参加者全員に同じ動きをさせ、気持ちを一つにするのも目的。
なぜ、運動をすると頭が良くなるのか?
運動が「脳の神経細胞を育てる」からだというのは、
『脳を鍛えるには運動しかない!』(NHK出版)の著者、
ハーバード大学医学部のジョン・J・レイティ博士だ。
「運動すると、脳由来神経栄養因子(BDNF)という物質が脳の中でさかんに分泌されます。
このBDNFが、脳の神経細胞(ニューロン)や、脳に栄養を送る血管の形成を促す
ことが明らかになりました」
以前は「脳のニューロンの数は生まれたときに決まっており、
その後は加齢とともに減っていく一方で、増えることはない」と考えられていた。
だが最近では、さまざまな要因で後天的に増えることが科学的な常識となっている。
「ニューロンの数を増やすために最も効果が期待できるのは、運動です。
さらにものを覚えたり認知能力を高めるために必要な神経結合を増やしたり、
ドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンといった
思考や感情にかかわる神経伝達物資の分泌を促す
効果も、運動にはあります」と、レイティ氏は言う。
たとえばいくつかの研究では、有酸素運動によるトレーニングを行うことで、
記憶をつかさどる海馬が大きくなることがわかっている。
また、継続的な運動によって、脳の認知能力が強化されることも明らかになってきた。
2001年に米カリフォルニア州教育局が9年生(日本での中学3年生に相当)28万人に行った大規模調査の結果。基礎体力や心肺機能などを総合し、受検者の体力スコアを1〜6に分類。
各体力スコア層のリーディングと数学の平均点を算出したもの。
学業成績と運動との関連性については、
アメリカでは1980年代から研究が進められてきた。
有名なものの1つは、カリフォルニア州教育局が
2001年、同州の小学5年生約35万人、中学1年生約32万人、中学3年生約28万人を対象
に行った大規模な調査だ。
この調査ではまず、「フィットネスグラム」と呼ばれる総合的な体力調査で、
子供たちの心肺能力や筋力、持久力、体脂肪率などを調べる。
そして、体力と標準学力テストの数学およびリーディング(英文読解)の成績の、関連性を分析した。
すると、体力調査での成績が高い子供ほど、学業成績も優秀な傾向があることが確認された。
では、どういう運動が、脳を育てるために効果的なのか。
レイティ氏が勧めるのは、一定時間にわたって心拍数を上げるタイプの運動だ。
研究によると、数ある体力の評価基準のうち、
とくに心肺機能が学業成績と強い相関関係を示しているという。
具体的な心肺機能の高め方は、
速足でのウオーキングやランニング、
エアロビクスやエアロバイクを使った運動など。
週に2日は最大心拍数(注)の75.90%まで上がる運動を短めに、
残り4日は65.75%までの運動をやや長めに、というのが脳のためには理想的だという。
心拍数の目安としては、ランニングでたとえると、
最大心拍数に対して80%以上というのはかなりきつい全力疾走、
70%はやや息が上がる走り込みといった具合だ。
心拍計を使って測ってみるのもよいだろう。
ジョン・J・レイティ
ハーバード大学医学部准教授。精神医学を専門として幅広く活躍。
イリノイ州ネーパーヴィルの事例を研究し、
運動が脳を活性化することを広く世に知らしめた。
「ただ、子供たちの場合は、
本人が好きで楽しいと感じることをやらせてください。
かけっこ、ボール遊び、ダンスや体操など、
なんでも構いません。
毎日、運動させるのはとても大変なことですから、
無理をしないことが大切です」(レイティ氏)
なぜ、サッカーやバスケットボールなどでは駄目なのか。
その理由をレイティ氏はこう語る。
「チームスポーツの場合、運動に苦手意識を持っている子は、体を動かしにくい。
ですから、頭を良くする運動の観点からは、競争や勝負を排除したほうが良い
というのが、私の考えなのです」
さらに、体を動かしながら頭も使うような運動はより効果的だとも、
レイティ氏はアドバイスする。
「ヨガのポーズ、空手の形といったように、
自らの動きを意識させる運動は脳に良い刺激になります。
また、複雑な動きをし、普段使わない筋肉を意識的に使うことも有効でしょう」(レイティ氏)
とはいえ、運動だけで成績が上がるわけではないとも、レイティ氏は指摘する。
「運動はあくまで、脳が学習するための準備を整える役割です。
成績を上げるためには、そのあとの学習とセットで考える必要があります。
運動を終えるとまもなく脳の血流が増しますが、
このときこそが、思考力や集中力が飛躍的に高まるチャンス。
勉強を始める前、できれば朝にやることをお勧めします」
できれば毎朝体を動かし、心拍数を上げてから勉強に向かう。
これが最新科学が解明した「運動で頭を良くする」極意。
こうしたレイティ氏の理論を基に米国でboks(ボックス)と呼ばれる運動プログラムが開発された。
(注)最大心拍数:一般的には成人男性の場合、220から自分の年齢を引いた値を理論上の最大心拍数とみなす。
レイティ氏の理論を基に米国で行われている運動プログラム(boks)
子供の脳細胞を増やす運動「3大条件」
1.準備体操(標準時間5〜10分)
運動前に体と心をほぐす輪になっての準備運動。
声を意識して出すことで、積極的に体を動かせるようにする。
2.ランニングアクティビティ(標準時間10分〜)
体を動かし体温を上げるジグザグ走やジャンプなどを
取り入れたランニングで、体を温める。
3.グループゲーム(標準時間15分〜)
体だけでなく、頭も使って楽しむ遊びをベースとした、
作戦やチームワークが必要とされるゲームに取り組む。
4.クールダウン
整理運動をし、徐々にクールダウン体操などで
参加者全員に同じ動きをさせ、気持ちを一つにするのも目的。
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