2019年03月30日
卵巣囊胞には手術より経過観察
卵巣嚢腫・・・
追跡時間が2年と短いが、自然消退が2割、
学生の頃、捻転や破裂が心配と講義を受けたが、
今回4cmの嚢胞径で1%以下の発生率、
卵巣癌、境界病変が0.7%
「『熟練の超音波検査技師』が確実にがんを除外するという前提で、非がん性卵巣囊胞に対する手術を少なくするというパラダイムシフトにつながる可能性がある」に賛成!
卵巣囊胞には手術より経過観察
国際前向きコホート研究IOTA5の中間解析
2019年02月21日 06:10
卵巣囊胞は良性でも捻転や破裂、将来の発がんリスクなどが高いとされ、手術による除去が勧められてきた。
しかし、欧米14カ国の卵巣嚢胞患者約2,000例を対象とした前向きコホート研究IOTA5(International Ovarian Tumor Analysis Phase 5)の追跡2年の中間解析から、
超音波検査で良性に分類された卵巣囊胞は
悪性腫瘍、捻転や破裂のリスクが低く、手術よりも経過観察が適していることが示唆された。
ベルギー・University Hospitals LeuvenのWouter Froyman氏らが、Lancet Oncol(2019年2月5日オンライン版)に発表した。
卵巣囊胞の自然経過を前向きに調査
卵巣囊胞は非常に頻度が高く、通常症状はない。
しかし、囊胞の増大に伴い捻転や破裂など重篤な合併症リスクが高まり、超音波検査で良性(非がん性)に分類された囊胞が同じ部位に残存する場合は悪性化や誤判定の懸念も生じる。
このため、良性と考えられる囊胞でもしばしば摘出術が勧められる。
一方、嚢胞は多くが消退するか長期間変化しないことから、摘出せず慎重に経過観察すべきという意見もある。
卵巣囊胞を長期間観察した大規模な前向き研究はほとんどない。
そこでFroyman氏らは、超音波で良性と判定された付属器腫瘤の合併症および悪性腫瘍発生率を前向きに検討した。
捻転や破裂のリスクは1%未満
国際前向きコホート研究IOTA5では、2012年1月〜15年3月に付属器腫瘤1個以上を有し、超音波検査で良性に分類され保存療法が選択された18歳以上の患者を14カ国36施設で登録した。
今回、登録時に新規の嚢胞が認められた『1,919例』を対象に、『追跡2年』の中間解析を行った。経過観察では、最初は3カ月および6カ月間隔で、その後は12カ月ごとに超音波検査を実施。
主要評価項目は囊胞の自然消退、捻転または破裂、
または外科的に確認された悪性腫瘍(境界型/浸潤性)の累積発生率とした。
1,919例の平均年齢は48歳、
嚢胞の大きさは平均4cmで、
観察期間の中央値は27カ月(四分位範囲14〜38カ月)。
2年以内の自然消退率は20.2%(95%CI 18.4〜22.1%)で、16%が手術を受けた。
浸潤性卵巣がんが0.4%(同0.1〜0.6%)、
境界型腫瘍が0.3%(同<0.1〜0.5%)で外科的に確認された。
捻転と囊胞破裂の発生率は、
それぞれ0.4%(同0.1〜0.7%)と
0.2%(同<0.1〜0.4%)となっていた。
超音波診断の正確さが前提条件に
今回の結果を受け、Froyman氏らは「最初の超音波検査で良性に分類された付属器腫瘤が保存的に管理された場合、
悪性腫瘍および急性合併症リスクは低いことが示唆された。
これらのデータは、患者へのカウンセリングに役立つだろう」と述べている。
卵巣がんの発見率が0.4%だった点については、
「良性腫瘍の悪性化よりも、最初の超音波検査で非がん性と誤診された可能性がある」と警告している。
同氏らは、保存療法と外科的治療のリスクは比較検討されるべきと指摘。
50〜74歳の女性では、囊胞摘出術による腸穿孔などの合併症リスクは3〜15%とされている。
「今回の対象集団では8割以上が保存療法を選択したことで外科的合併症の多くを回避できた」としている。
共同研究者で同院のTom Bourne氏は
「今回、最初に良性に分類された卵巣囊胞のほとんどは慎重な経過観察が適していることが示唆された。
この結果は、熟練の超音波検査技師が確実にがんを除外するという前提で、非がん性卵巣囊胞に対する手術を少なくするというパラダイムシフトにつながる可能性がある」と述べている。
(坂田真子)
追跡時間が2年と短いが、自然消退が2割、
学生の頃、捻転や破裂が心配と講義を受けたが、
今回4cmの嚢胞径で1%以下の発生率、
卵巣癌、境界病変が0.7%
「『熟練の超音波検査技師』が確実にがんを除外するという前提で、非がん性卵巣囊胞に対する手術を少なくするというパラダイムシフトにつながる可能性がある」に賛成!
卵巣囊胞には手術より経過観察
国際前向きコホート研究IOTA5の中間解析
2019年02月21日 06:10
卵巣囊胞は良性でも捻転や破裂、将来の発がんリスクなどが高いとされ、手術による除去が勧められてきた。
しかし、欧米14カ国の卵巣嚢胞患者約2,000例を対象とした前向きコホート研究IOTA5(International Ovarian Tumor Analysis Phase 5)の追跡2年の中間解析から、
超音波検査で良性に分類された卵巣囊胞は
悪性腫瘍、捻転や破裂のリスクが低く、手術よりも経過観察が適していることが示唆された。
ベルギー・University Hospitals LeuvenのWouter Froyman氏らが、Lancet Oncol(2019年2月5日オンライン版)に発表した。
卵巣囊胞の自然経過を前向きに調査
卵巣囊胞は非常に頻度が高く、通常症状はない。
しかし、囊胞の増大に伴い捻転や破裂など重篤な合併症リスクが高まり、超音波検査で良性(非がん性)に分類された囊胞が同じ部位に残存する場合は悪性化や誤判定の懸念も生じる。
このため、良性と考えられる囊胞でもしばしば摘出術が勧められる。
一方、嚢胞は多くが消退するか長期間変化しないことから、摘出せず慎重に経過観察すべきという意見もある。
卵巣囊胞を長期間観察した大規模な前向き研究はほとんどない。
そこでFroyman氏らは、超音波で良性と判定された付属器腫瘤の合併症および悪性腫瘍発生率を前向きに検討した。
捻転や破裂のリスクは1%未満
国際前向きコホート研究IOTA5では、2012年1月〜15年3月に付属器腫瘤1個以上を有し、超音波検査で良性に分類され保存療法が選択された18歳以上の患者を14カ国36施設で登録した。
今回、登録時に新規の嚢胞が認められた『1,919例』を対象に、『追跡2年』の中間解析を行った。経過観察では、最初は3カ月および6カ月間隔で、その後は12カ月ごとに超音波検査を実施。
主要評価項目は囊胞の自然消退、捻転または破裂、
または外科的に確認された悪性腫瘍(境界型/浸潤性)の累積発生率とした。
1,919例の平均年齢は48歳、
嚢胞の大きさは平均4cmで、
観察期間の中央値は27カ月(四分位範囲14〜38カ月)。
2年以内の自然消退率は20.2%(95%CI 18.4〜22.1%)で、16%が手術を受けた。
浸潤性卵巣がんが0.4%(同0.1〜0.6%)、
境界型腫瘍が0.3%(同<0.1〜0.5%)で外科的に確認された。
捻転と囊胞破裂の発生率は、
それぞれ0.4%(同0.1〜0.7%)と
0.2%(同<0.1〜0.4%)となっていた。
超音波診断の正確さが前提条件に
今回の結果を受け、Froyman氏らは「最初の超音波検査で良性に分類された付属器腫瘤が保存的に管理された場合、
悪性腫瘍および急性合併症リスクは低いことが示唆された。
これらのデータは、患者へのカウンセリングに役立つだろう」と述べている。
卵巣がんの発見率が0.4%だった点については、
「良性腫瘍の悪性化よりも、最初の超音波検査で非がん性と誤診された可能性がある」と警告している。
同氏らは、保存療法と外科的治療のリスクは比較検討されるべきと指摘。
50〜74歳の女性では、囊胞摘出術による腸穿孔などの合併症リスクは3〜15%とされている。
「今回の対象集団では8割以上が保存療法を選択したことで外科的合併症の多くを回避できた」としている。
共同研究者で同院のTom Bourne氏は
「今回、最初に良性に分類された卵巣囊胞のほとんどは慎重な経過観察が適していることが示唆された。
この結果は、熟練の超音波検査技師が確実にがんを除外するという前提で、非がん性卵巣囊胞に対する手術を少なくするというパラダイムシフトにつながる可能性がある」と述べている。
(坂田真子)
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