2019年01月05日
「便潜血陽性」は大腸がん以外の疾患の徴候? 多岐にわたる疾患による死亡リスクが約1.6倍
「便潜血陽性」は大腸がん以外の疾患の徴候?
多岐にわたる疾患による死亡リスクが約1.6倍
国際医学短信2018年7月30日 (月)配信 一般内科疾患消化器疾患癌検査に関わる問題
大腸がん検診では、便に血が混じっていないかを調べる便潜血検査が広く行われている。
今回、新たな研究で、便潜血反応が陽性であると大腸がん以外にも深刻な疾患が隠れている可能のあることが示された。
大腸がん検診を受けた13万人を超える男女を分析した結果、便潜血反応が陽性だった人では、循環器疾患や呼吸器疾患、アルツハイマー病など多岐にわたる疾患による死亡リスクが高いことが分かったという。
詳細は「Gut」7月16日オンライン版に掲載された。
今回の研究では、英スコットランドで2000年3月から2016年3月にかけて、便潜血検査による大腸がん検診を受けた50〜74歳の男女13万4,192人を対象に、2016年3月まで追跡して便潜血検査の結果(陽性または陰性)と死亡率との関連を調べた。
参加者のうち2,714人で便潜血検査の結果が陽性であった。
解析の結果、便潜血反応が陽性だった人では、陰性だった人と比べて大腸がんによる死亡リスクが7.79倍であったほか、
大腸がん以外の原因で死亡するリスクも1.58倍であることが分かった。
また、便潜血反応が陽性だった人では
循環器疾患や
呼吸器疾患、
大腸がん以外の消化器疾患のほか、
アルツハイマー病や精神神経疾患、
血液疾患、
内分泌系の疾患、
大腸がん以外のがんによる死亡リスクが上昇していることも明らかになった。
なお、
高齢者や
所得が低い人、
男性、
アスピリンなどの抗血小板薬を服用している人で
便潜血反応が陽性となる確率が高かったという。
研究を率いた英ダンディー大学ナインウェルズ病院外科教授のRobert Steele氏は、
今回の研究は観察研究であるため因果関係を証明するものではないが、
体内に起こる炎症が腸管出血の引き金になっているのではとの見方を示している。
同氏によれば、慢性的な全身性の炎症は多くのがんやアルツハイマー病を引き起こすというエビデンスがあるという。
米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター内科臨床教授のMarc Siegel氏も、Steele氏の考えに同意し、
「過体重やインスリン抵抗性、運動不足、栄養不足などが体内の炎症に関与することも分かっている」と指摘している。
一方で、研究論文の付随論評を執筆した米スタンフォード大学医学部内科教授のUri Ladabaum氏は
「便潜血検査の実施は大腸がん検診に限定すべきだ」と強調する。
便潜血検査は初期の大腸がんや前がん病変を発見し、大腸がんによる死亡リスク低減を目的とするもので、
それ以外の疾患については便潜血検査以外の情報で十分評価できるという。
同氏は「大腸がん以外の疾患のリスクを評価するには、便潜血検査を用いるのではなく、プライマリケア医が日常診療で対処すべきだ」と話している。
HealthDay News 2018年7月16日
多岐にわたる疾患による死亡リスクが約1.6倍
国際医学短信2018年7月30日 (月)配信 一般内科疾患消化器疾患癌検査に関わる問題
大腸がん検診では、便に血が混じっていないかを調べる便潜血検査が広く行われている。
今回、新たな研究で、便潜血反応が陽性であると大腸がん以外にも深刻な疾患が隠れている可能のあることが示された。
大腸がん検診を受けた13万人を超える男女を分析した結果、便潜血反応が陽性だった人では、循環器疾患や呼吸器疾患、アルツハイマー病など多岐にわたる疾患による死亡リスクが高いことが分かったという。
詳細は「Gut」7月16日オンライン版に掲載された。
今回の研究では、英スコットランドで2000年3月から2016年3月にかけて、便潜血検査による大腸がん検診を受けた50〜74歳の男女13万4,192人を対象に、2016年3月まで追跡して便潜血検査の結果(陽性または陰性)と死亡率との関連を調べた。
参加者のうち2,714人で便潜血検査の結果が陽性であった。
解析の結果、便潜血反応が陽性だった人では、陰性だった人と比べて大腸がんによる死亡リスクが7.79倍であったほか、
大腸がん以外の原因で死亡するリスクも1.58倍であることが分かった。
また、便潜血反応が陽性だった人では
循環器疾患や
呼吸器疾患、
大腸がん以外の消化器疾患のほか、
アルツハイマー病や精神神経疾患、
血液疾患、
内分泌系の疾患、
大腸がん以外のがんによる死亡リスクが上昇していることも明らかになった。
なお、
高齢者や
所得が低い人、
男性、
アスピリンなどの抗血小板薬を服用している人で
便潜血反応が陽性となる確率が高かったという。
研究を率いた英ダンディー大学ナインウェルズ病院外科教授のRobert Steele氏は、
今回の研究は観察研究であるため因果関係を証明するものではないが、
体内に起こる炎症が腸管出血の引き金になっているのではとの見方を示している。
同氏によれば、慢性的な全身性の炎症は多くのがんやアルツハイマー病を引き起こすというエビデンスがあるという。
米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン医療センター内科臨床教授のMarc Siegel氏も、Steele氏の考えに同意し、
「過体重やインスリン抵抗性、運動不足、栄養不足などが体内の炎症に関与することも分かっている」と指摘している。
一方で、研究論文の付随論評を執筆した米スタンフォード大学医学部内科教授のUri Ladabaum氏は
「便潜血検査の実施は大腸がん検診に限定すべきだ」と強調する。
便潜血検査は初期の大腸がんや前がん病変を発見し、大腸がんによる死亡リスク低減を目的とするもので、
それ以外の疾患については便潜血検査以外の情報で十分評価できるという。
同氏は「大腸がん以外の疾患のリスクを評価するには、便潜血検査を用いるのではなく、プライマリケア医が日常診療で対処すべきだ」と話している。
HealthDay News 2018年7月16日
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