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2018年12月06日

テオフィリン(気管支拡張の飲み薬)が推奨されない理由が、よくわかった! テオフィリンは過去のクスリか?

テオフィリン(気管支拡張の飲み薬)が推奨されない理由が、よくわかった!
テオフィリンは過去のクスリか?
(解説:倉原 優 氏)−940
提供元:臨床研究適正評価教育機構 公開日:2018/10/29

倉原 優( くらはら ゆう ) 氏 近畿中央呼吸器センター

オリジナルニュース/JAMA(2018/10/29掲載)
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 テオフィリンを安定期COPDに用いて1秒量が少し上がった人はいるが、
症状が劇的に改善したりCOPD増悪を抑制したり、という経験は個人的にはない。

吸入薬が台頭している現在、
安定期COPDに対してテオフィリンを処方する医師は減ったが、
それでも内服という手軽さもあって、ベテラン医師からの人気は根強い。

 ちなみに、海外ではキサンチン誘導体の処方はかなり減っている。
これには明確な理由がある。

効果と副作用のバランスがとれていないからだ。
効果が少ないわりに副作用リスクが大きいのである。

 少し古いが、16年前のコクランレビュー1)では、
安定期COPDに対するテオフィリンは、プラセボと比較して肺機能改善をもたらしたものの、
COPD増悪を抑制できるほどの効果は認められなかった
そして、残念ながら嘔気のリスクが有意に上昇することが示されたのである。

 このTWICS試験は、
吸入ステロイドに低用量テオフィリンを加えることの是非を問うものだ。

テオフィリンを低用量にすることで、
血中濃度の上昇を抑えることができるため、
嘔気などの副作用が出にくくなる。

また、ステロイドとテオフィリンの間にはシナジー効果があることがわかっており(テオフィリンの効果を何倍にも上げるらしい)、
副作用が出ない状態でCOPD増悪を抑制できるかもしれない。
そういう理念で立案された研究だ。

 結果、
低用量テオフィリンを吸入ステロイドと併用しても、
プラセボと比較して1年間のCOPD増悪数を減らすことはできなかった


つまり、テオフィリンのCOPD増悪に対する有効性はほぼ否定された形となり、
積極的に投与すべき薬剤とは言えなくなった。

ただ、1秒量に対する有効性は、まだ議論の余地があるとは思う。

 しかしながら、
テオフィリンの血中濃度を測定せずに、
漫然と投与されている高齢者のCOPD患者をよくみかける(実際、紹介されてくる)が、
下手をすればリスクを与えているだけということになりかねないので注意が必要だ。

参考文献はこちら
1)Ram FS, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2002;4:CD003902.
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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