2018年11月27日
「鼻炎薬または抗ヒスタミン成分を含む薬剤は、 6歳未満児に処方すべきではなく、 6〜12歳児には慎重
「鼻炎薬または抗ヒスタミン成分を含む薬剤は、
6歳未満児に処方すべきではなく、
6〜12歳児には慎重に処方
オーストラリア・University of QueenslandのMieke L. van Driel氏らは、
かぜの治療に用いられる各種薬剤の効果をランダム化比較試験(RCT)のシステマチックレビューで検証し、
「鼻粘膜充血除去薬(鼻炎薬)は6歳未満児に処方すべきでない。
小児では鼻症状を緩和するという明確なエビデンスがなく、安全性は不明」
との結果をBMJ(2018; 363: k3786)に発表した。
「薬を飲まなくてもかぜの症状は数日で消えると説明して、患者や保護者を安心させるのがよい」としている。
成人でも効果は小さく副作用の懸念
一般にかぜはウイルスによって引き起こされ、その大半は7〜10日で症状が消失して自然に治癒するが、
就労や学業、医療サービスの利用、薬剤費に大きな影響を及ぼす可能性がある。
1年当たりの発症回数は小児で6〜8回、成人で2〜4回に上るという。
van Driel氏らはCochrane reviewに登録された研究を用いてメタ解析を実施。
その結果、成人に関しては、最長3〜7日間の鼻炎薬の単独使用または抗ヒスタミン薬や鎮痛薬との併用が鼻症状に有効である可能性を示唆するエビデンスが認められた。
ただし、その効果は小さく、副作用として不眠、傾眠、頭痛、胃不調のリスクが上昇する可能性があり、
長期使用は難治性の慢性鼻閉塞を引き起こす可能性もあることが示された。
さらに、同氏らは「疼痛緩和のためにアセトアミノフェン(パラセタモール)および非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が処方される場合があるが、
これらは鼻閉塞や鼻水を改善しないと思われる」と指摘。
蒸気吸入、エキナセア(キク科の多年草でハーブとしてかぜ治療に広く用いられている)、ヴィックス ヴェポラッブ、ユーカリオイル、水分摂取量増加などはかぜ症状に効果がないか、全く検討されていなかった。
他の薬剤や家庭療法も含めエビデンスが不足
一方、かぜによる負担が最も大きい12歳未満児に関しては試験が不足していた。
そのため、van Driel氏らは「鼻炎薬または抗ヒスタミン成分を含む薬剤は、
6歳未満児に処方すべきではなく、
6〜12歳児には慎重に処方した方がよい。
これらの治療薬には鼻症状を緩和するというエビデンスがなく、
傾眠や消化器不調などの副作用を生じる可能性があり、
2歳未満児では痙攣、心拍数増加、死亡との関連が認められる」との見解を示している。
さらに同氏は「その他によく用いられる一般用医薬品をはじめ、加温加湿器、鎮痛薬、ユーカリオイル、エキナセアなどの家庭で用いられる治療法を支持するエビデンスはなかった。
生理食塩液による鼻洗浄やドロップは安全に使用できるが、期待するような症状緩和効果は得られない可能性がある」と述べている。
その上で現在進行中の研究がかぜの治療に関する新たなエビデンスを提供したり、疑問を解明したりする可能性は低いとし
「成人では短期間の鼻炎薬使用により鼻閉塞が多少軽減する可能性はあるが、
現時点のエビデンスに基づき、かぜの症状は数日で自然に消えると説明して患者や保護者を安心させることが最善策だ」と結論している。(太田敦子)
6歳未満児に処方すべきではなく、
6〜12歳児には慎重に処方
オーストラリア・University of QueenslandのMieke L. van Driel氏らは、
かぜの治療に用いられる各種薬剤の効果をランダム化比較試験(RCT)のシステマチックレビューで検証し、
「鼻粘膜充血除去薬(鼻炎薬)は6歳未満児に処方すべきでない。
小児では鼻症状を緩和するという明確なエビデンスがなく、安全性は不明」
との結果をBMJ(2018; 363: k3786)に発表した。
「薬を飲まなくてもかぜの症状は数日で消えると説明して、患者や保護者を安心させるのがよい」としている。
成人でも効果は小さく副作用の懸念
一般にかぜはウイルスによって引き起こされ、その大半は7〜10日で症状が消失して自然に治癒するが、
就労や学業、医療サービスの利用、薬剤費に大きな影響を及ぼす可能性がある。
1年当たりの発症回数は小児で6〜8回、成人で2〜4回に上るという。
van Driel氏らはCochrane reviewに登録された研究を用いてメタ解析を実施。
その結果、成人に関しては、最長3〜7日間の鼻炎薬の単独使用または抗ヒスタミン薬や鎮痛薬との併用が鼻症状に有効である可能性を示唆するエビデンスが認められた。
ただし、その効果は小さく、副作用として不眠、傾眠、頭痛、胃不調のリスクが上昇する可能性があり、
長期使用は難治性の慢性鼻閉塞を引き起こす可能性もあることが示された。
さらに、同氏らは「疼痛緩和のためにアセトアミノフェン(パラセタモール)および非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が処方される場合があるが、
これらは鼻閉塞や鼻水を改善しないと思われる」と指摘。
蒸気吸入、エキナセア(キク科の多年草でハーブとしてかぜ治療に広く用いられている)、ヴィックス ヴェポラッブ、ユーカリオイル、水分摂取量増加などはかぜ症状に効果がないか、全く検討されていなかった。
他の薬剤や家庭療法も含めエビデンスが不足
一方、かぜによる負担が最も大きい12歳未満児に関しては試験が不足していた。
そのため、van Driel氏らは「鼻炎薬または抗ヒスタミン成分を含む薬剤は、
6歳未満児に処方すべきではなく、
6〜12歳児には慎重に処方した方がよい。
これらの治療薬には鼻症状を緩和するというエビデンスがなく、
傾眠や消化器不調などの副作用を生じる可能性があり、
2歳未満児では痙攣、心拍数増加、死亡との関連が認められる」との見解を示している。
さらに同氏は「その他によく用いられる一般用医薬品をはじめ、加温加湿器、鎮痛薬、ユーカリオイル、エキナセアなどの家庭で用いられる治療法を支持するエビデンスはなかった。
生理食塩液による鼻洗浄やドロップは安全に使用できるが、期待するような症状緩和効果は得られない可能性がある」と述べている。
その上で現在進行中の研究がかぜの治療に関する新たなエビデンスを提供したり、疑問を解明したりする可能性は低いとし
「成人では短期間の鼻炎薬使用により鼻閉塞が多少軽減する可能性はあるが、
現時点のエビデンスに基づき、かぜの症状は数日で自然に消えると説明して患者や保護者を安心させることが最善策だ」と結論している。(太田敦子)
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
https://fanblogs.jp/tb/8326307
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
この記事へのトラックバック