2018年07月04日
糖尿病が発病した際,がんをまず除外;膵がん,腎がん、肝がん、胆のうがん、肺がん、血液がん、乳がん、胃がん、甲状腺がんの順 外科医としては常識 内科の先生の常識?
糖尿病はがん発症のリスク因子であるが、がんが糖尿病発症のリスク因子となるかどうかはまだ結論が出ていない。
韓国・National Cancer CenterのYul Hwangbo氏らは、韓国人52万人超を対象に、がんが糖尿病の発症リスク因子となるかどうかを検討した。
その結果、がんは糖尿病発症の独立したリスク因子であるとJAMA Oncol(2018年6月7日オンライン版)で報告した。
9種類のがんが関連
韓国には単一支払者制度による医療制度が存在し、全ての入院、外来患者記録はNational Health Insurance Service(NHIS)が管理している。
Hwangbo氏らは今回、NHISの記録を用いて韓国国民の2.2%を代表するサンプルのデータから2003年1月1日〜13年12月31日に最低1回検診を受けた患者のうち、ベースライン時に糖尿病がなく、がんの既往がない52万4,089人(年齢20〜70歳)を抽出し、がん発症と将来の糖尿病発症リスクの上昇との関連を検討した。
349万2,935.6人・年(追跡期間中央値7.0年、四分位範囲4.0〜10.0年)の追跡期間中に1万5,130例ががんを発症した。がん発症者は非発症者よりも高齢で、女性、毎日飲酒、BMI高値、併存症の割合が高かった。
追跡期間中に2万6,610例が糖尿病を発症した。このうち、がん発症後に糖尿病を発症した者は834例(発症率17.4/1,000人・年)で、2万5,776例はがん発症前に糖尿病を発症またはがん非発症者であった(同7.5/1,000人・年)。
年齢、性、がん/糖尿病リスク因子、内分泌因子、併存症を調整後、がんに関連した糖尿病のハザード比(HR)は1.35(95%CI 1.26〜1.45、P<0.001)だった。
がん発症後の糖尿病発症のHRは、1〜2年後が1.47 (95%CI 1.35〜1.60)、3〜5年後が1.14(同 0.97〜1.33)、6〜10年後が1.19 (同1.00〜1.43)と、2年後までの上昇幅の度合いが最も高く、その後も高値を維持していた。
糖尿病発症リスクの上昇と有意に関連したがんは9種類で、
膵がん(HR 5.15、95%CI 3.32〜7.99)が最も高く、
次いで腎がん(同2.06、1.34〜3.16)、
肝がん(同1.95、1.50〜2.54)、
胆のうがん(同1.79、1.08〜2.98)、
肺がん(同, 1.74、 1.34〜2.24)、
血液がん(同1.61、1.07〜2.43)、
乳がん(同1.60、1.27〜2.01)、
胃がん(同1.35、1.16〜1.58)、
甲状腺がん(同1.33、1.12〜1.59)の順だった。
精巣がんと脳腫瘍の発症は糖尿病発症リスクの上昇と関連していたが、症例数が少なく、統計学的に有意ではなかった。
子宮、卵巣、大腸、頭頸部、食道、前立腺がんの発症は糖尿病発症リスクの上昇とは関連していなかった。
Hwangbo氏らは「今回の研究から、一部のがんは既存のリスク因子とは独立して、将来の糖尿病発症リスクの上昇に関連していることが分かった。がん患者はそうでない人よりも糖尿病を発症するリスクが高いことを認識し、ルーチンに糖尿病のスクリーニングを行うことを考慮すべきである」と結論している。
(大江 円)
韓国・National Cancer CenterのYul Hwangbo氏らは、韓国人52万人超を対象に、がんが糖尿病の発症リスク因子となるかどうかを検討した。
その結果、がんは糖尿病発症の独立したリスク因子であるとJAMA Oncol(2018年6月7日オンライン版)で報告した。
9種類のがんが関連
韓国には単一支払者制度による医療制度が存在し、全ての入院、外来患者記録はNational Health Insurance Service(NHIS)が管理している。
Hwangbo氏らは今回、NHISの記録を用いて韓国国民の2.2%を代表するサンプルのデータから2003年1月1日〜13年12月31日に最低1回検診を受けた患者のうち、ベースライン時に糖尿病がなく、がんの既往がない52万4,089人(年齢20〜70歳)を抽出し、がん発症と将来の糖尿病発症リスクの上昇との関連を検討した。
349万2,935.6人・年(追跡期間中央値7.0年、四分位範囲4.0〜10.0年)の追跡期間中に1万5,130例ががんを発症した。がん発症者は非発症者よりも高齢で、女性、毎日飲酒、BMI高値、併存症の割合が高かった。
追跡期間中に2万6,610例が糖尿病を発症した。このうち、がん発症後に糖尿病を発症した者は834例(発症率17.4/1,000人・年)で、2万5,776例はがん発症前に糖尿病を発症またはがん非発症者であった(同7.5/1,000人・年)。
年齢、性、がん/糖尿病リスク因子、内分泌因子、併存症を調整後、がんに関連した糖尿病のハザード比(HR)は1.35(95%CI 1.26〜1.45、P<0.001)だった。
がん発症後の糖尿病発症のHRは、1〜2年後が1.47 (95%CI 1.35〜1.60)、3〜5年後が1.14(同 0.97〜1.33)、6〜10年後が1.19 (同1.00〜1.43)と、2年後までの上昇幅の度合いが最も高く、その後も高値を維持していた。
糖尿病発症リスクの上昇と有意に関連したがんは9種類で、
膵がん(HR 5.15、95%CI 3.32〜7.99)が最も高く、
次いで腎がん(同2.06、1.34〜3.16)、
肝がん(同1.95、1.50〜2.54)、
胆のうがん(同1.79、1.08〜2.98)、
肺がん(同, 1.74、 1.34〜2.24)、
血液がん(同1.61、1.07〜2.43)、
乳がん(同1.60、1.27〜2.01)、
胃がん(同1.35、1.16〜1.58)、
甲状腺がん(同1.33、1.12〜1.59)の順だった。
精巣がんと脳腫瘍の発症は糖尿病発症リスクの上昇と関連していたが、症例数が少なく、統計学的に有意ではなかった。
子宮、卵巣、大腸、頭頸部、食道、前立腺がんの発症は糖尿病発症リスクの上昇とは関連していなかった。
Hwangbo氏らは「今回の研究から、一部のがんは既存のリスク因子とは独立して、将来の糖尿病発症リスクの上昇に関連していることが分かった。がん患者はそうでない人よりも糖尿病を発症するリスクが高いことを認識し、ルーチンに糖尿病のスクリーニングを行うことを考慮すべきである」と結論している。
(大江 円)
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