2018年11月06日
結核菌の培養に時間がかかるので(4週以上)、安価でできるようになる日が待ち遠しい! DNA 配列決定による一次抗結核薬に対する感受性の予測
結核菌の培養に時間がかかるので(4週以上)、安価でできるようになる日が待ち遠しい!
DNA 配列決定による一次抗結核薬に対する感受性の予測
Prediction of Susceptibility to First-Line Tuberculosis Drugs by DNA Sequencing
The CRyPTIC Consortium and the 100,000 Genomes Project
背 景
世界保健機関は,治療決定の指針とすることと,転帰を改善することを目的として,
すべての結核患者への結核菌群の薬剤感受性検査を推奨している.
一次抗結核薬に対する感受性プロファイルの正確な予測に
DNA 配列決定を用いることが可能かどうかは,まだ明らかになっていない.
方 法
6 大陸 16 ヵ国の分離株について,
全ゲノム配列を決定し,
一次抗結核薬であるイソニアジド,リファンピン(rifampin),エタンブトール,ピラジナミド
に対する耐性または感受性の表現型を関連付けた.
各分離株について,
9 遺伝子の薬剤耐性および薬剤感受性に関連する変異を同定し,
関連が不明の変異も存在する場合を除き,個々の表現型を予測した.
全ゲノム配列決定によって
どの程度一次抗結核薬療法が方向付けられうるかを明らかにするために,
4 剤すべての感受性プロファイルを予測した.
これらのプロファイルは,
イソニアジドとその他の薬剤のそれぞれに対し感受性があると予測された場合,
あるいはその他の薬剤に対する感受性に影響を及ぼす遺伝子に関連が不明の変異が含まれていた場合に,
4 剤すべてに対して感受性がある(全感受性 [pansusceptible])と予測された.
薬剤耐性の保有率によって陰性反応適中度がどのように変化するかをシミュレーションした.
結 果
10,209 株の分離株を解析した.表現型をもっとも多く予測できたのは,
リファンピン(10,130 株中 9,660 株 [95.4%])で,
もっとも少なかったのは
エタンブトール(9,794 株中 8,794 株 [89.8%])であった.
イソニアジド,リファンピン,エタンブトール,ピラジナミドに対する耐性は,
それぞれ 97.1%,97.5%,94.6%,91.3%
の感度で正確に予測され,
これらの薬剤に対する感受性は,
99.0%,98.8%,93.6%,96.8%
の特異度で正確に予測された.
4 剤すべての表現型の薬剤感受性プロファイルが得られた 7,516 株の分離株のうち,
完全な遺伝子型予測が揃っていたのは 5,865 株(78.0%)で,
そのうち 5,250 株(89.5%)のプロファイルが正確に予測されていた.
全感受性であると予測された 4,037 株の表現型プロファイルのうち,
3,952 株(97.9%)のプロファイルが正確に予測された.
結 論
一次抗結核薬に対する結核菌の感受性の遺伝子型による予測は,
これらの薬剤に対する感受性の表現型と相関することが見出された.
(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.)
DNA 配列決定による一次抗結核薬に対する感受性の予測
Prediction of Susceptibility to First-Line Tuberculosis Drugs by DNA Sequencing
The CRyPTIC Consortium and the 100,000 Genomes Project
背 景
世界保健機関は,治療決定の指針とすることと,転帰を改善することを目的として,
すべての結核患者への結核菌群の薬剤感受性検査を推奨している.
一次抗結核薬に対する感受性プロファイルの正確な予測に
DNA 配列決定を用いることが可能かどうかは,まだ明らかになっていない.
方 法
6 大陸 16 ヵ国の分離株について,
全ゲノム配列を決定し,
一次抗結核薬であるイソニアジド,リファンピン(rifampin),エタンブトール,ピラジナミド
に対する耐性または感受性の表現型を関連付けた.
各分離株について,
9 遺伝子の薬剤耐性および薬剤感受性に関連する変異を同定し,
関連が不明の変異も存在する場合を除き,個々の表現型を予測した.
全ゲノム配列決定によって
どの程度一次抗結核薬療法が方向付けられうるかを明らかにするために,
4 剤すべての感受性プロファイルを予測した.
これらのプロファイルは,
イソニアジドとその他の薬剤のそれぞれに対し感受性があると予測された場合,
あるいはその他の薬剤に対する感受性に影響を及ぼす遺伝子に関連が不明の変異が含まれていた場合に,
4 剤すべてに対して感受性がある(全感受性 [pansusceptible])と予測された.
薬剤耐性の保有率によって陰性反応適中度がどのように変化するかをシミュレーションした.
結 果
10,209 株の分離株を解析した.表現型をもっとも多く予測できたのは,
リファンピン(10,130 株中 9,660 株 [95.4%])で,
もっとも少なかったのは
エタンブトール(9,794 株中 8,794 株 [89.8%])であった.
イソニアジド,リファンピン,エタンブトール,ピラジナミドに対する耐性は,
それぞれ 97.1%,97.5%,94.6%,91.3%
の感度で正確に予測され,
これらの薬剤に対する感受性は,
99.0%,98.8%,93.6%,96.8%
の特異度で正確に予測された.
4 剤すべての表現型の薬剤感受性プロファイルが得られた 7,516 株の分離株のうち,
完全な遺伝子型予測が揃っていたのは 5,865 株(78.0%)で,
そのうち 5,250 株(89.5%)のプロファイルが正確に予測されていた.
全感受性であると予測された 4,037 株の表現型プロファイルのうち,
3,952 株(97.9%)のプロファイルが正確に予測された.
結 論
一次抗結核薬に対する結核菌の感受性の遺伝子型による予測は,
これらの薬剤に対する感受性の表現型と相関することが見出された.
(ビル&メリンダ・ゲイツ財団ほかから研究助成を受けた.)
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