2018年11月03日
急性虫垂炎には手術か抗菌薬治療か?
急性虫垂炎には手術か抗菌薬治療か?
穿孔していないかCTで確認して,抗菌剤投与で約6割は切らずに治療できる!?
提供元:HealthDay News 公開日:2018/10/11
単純性急性虫垂炎は、
手術ではなく抗菌薬治療だけで治せる可能性があることが、
トゥルク大学病院(フィンランド)のPaulina Salminen氏らによる研究で示された。
抗菌薬治療による初期治療を行った急性虫垂炎患者を追跡した結果、
5年後でも約60%に再発はみられなかったことが明らかになった。
詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」9月25日号に掲載された。
Salminen氏らは今回、単純性急性虫垂炎患者「530人」を対象に、
虫垂切除術を実施する群(273人)と
抗菌薬治療のみを実施する群(257人)に
「ランダムに割り付け」て
比較検討したAppendicitis Acuta(APPAC)の参加者を
「5年間追跡」する観察研究を実施した。
その結果、抗菌薬治療群では最初の1年以内に
27.3%(70人)が虫垂切除術を施行され、
治療開始1年後から5年以内には
さらに30人が虫垂切除術を施行されていたことが分かった。
5年後の虫垂炎の「累積再発率」は「39.1%」であり、約60%の患者は治療開始から5年以内に再発には至らなかったことが明らかになった。
これらの結果を踏まえて、Salminen氏は「急性虫垂炎患者の約20〜30%には虫垂に穿孔が認められるため手術が必要となるが、
70〜80%は穿孔がない単純性虫垂炎であるため、
抗菌薬のみで治療できると考えられる。
虫垂切除術が必要か否かはCT画像で簡単に判断できる」と説明している。
また、今回の結果では抗菌薬の使用に関連した重篤な合併症はみられなかったことから、
「急性虫垂炎に対する抗菌薬治療は安全な治療選択肢だ」と同氏は述べている。
しかし、急性虫垂炎を抗菌薬のみで治療することについて否定的な考えを持つ専門家もいる。
米レノックス・ヒル病院の救急医であるRobert Glatter氏は
「40%近くの患者が5年以内に再発する可能性があるという事実を、
医師や患者が受け入れられるのかどうかは疑問だ」と話す。
また、「抗菌薬は60〜70%の確率で急性虫垂炎を効果的に治療できるが、
効果が得られずに手術が必要になる可能性もあることを患者は理解しておくべきだ」と付け加えている。
急性虫垂炎に対する抗菌薬治療への一般の関心は高まりつつあるが、
Glatter氏は「今回の試験で対象から除外された虫垂結石を伴う患者など、
よりリスクが高い患者群についても抗菌薬治療の有効性を検証する必要がある」と述べている。
さらに、同氏は、抗菌薬治療では院内での3日間の静脈注射に加えて、
経口薬を7日間服用する必要があったのに対し、
腹腔鏡下虫垂切除術では術後の入院期間がたった1日だったことも指摘している。
その上で、「急性虫垂炎の治療を手術ではなく抗菌薬で始めるという決断を下す際には、
医師と患者、その家族が十分に話し合う必要がある」と同氏は話している。
なお、米ノースダコタ大学による最近の調査では、
もし自分が急性虫垂炎になったら手術と抗菌薬治療のどちらを選ぶかという問いに対し、
米国人の圧倒的多数が手術を選び、抗菌薬治療を選択した回答者は10人中1人に過ぎなかったことが報告されている。
[2018年9月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay.
原著論文はこちら
Salminen P, et al. JAMA. 2018; 320: 1259-1265.
穿孔していないかCTで確認して,抗菌剤投与で約6割は切らずに治療できる!?
提供元:HealthDay News 公開日:2018/10/11
単純性急性虫垂炎は、
手術ではなく抗菌薬治療だけで治せる可能性があることが、
トゥルク大学病院(フィンランド)のPaulina Salminen氏らによる研究で示された。
抗菌薬治療による初期治療を行った急性虫垂炎患者を追跡した結果、
5年後でも約60%に再発はみられなかったことが明らかになった。
詳細は「Journal of the American Medical Association(JAMA)」9月25日号に掲載された。
Salminen氏らは今回、単純性急性虫垂炎患者「530人」を対象に、
虫垂切除術を実施する群(273人)と
抗菌薬治療のみを実施する群(257人)に
「ランダムに割り付け」て
比較検討したAppendicitis Acuta(APPAC)の参加者を
「5年間追跡」する観察研究を実施した。
その結果、抗菌薬治療群では最初の1年以内に
27.3%(70人)が虫垂切除術を施行され、
治療開始1年後から5年以内には
さらに30人が虫垂切除術を施行されていたことが分かった。
5年後の虫垂炎の「累積再発率」は「39.1%」であり、約60%の患者は治療開始から5年以内に再発には至らなかったことが明らかになった。
これらの結果を踏まえて、Salminen氏は「急性虫垂炎患者の約20〜30%には虫垂に穿孔が認められるため手術が必要となるが、
70〜80%は穿孔がない単純性虫垂炎であるため、
抗菌薬のみで治療できると考えられる。
虫垂切除術が必要か否かはCT画像で簡単に判断できる」と説明している。
また、今回の結果では抗菌薬の使用に関連した重篤な合併症はみられなかったことから、
「急性虫垂炎に対する抗菌薬治療は安全な治療選択肢だ」と同氏は述べている。
しかし、急性虫垂炎を抗菌薬のみで治療することについて否定的な考えを持つ専門家もいる。
米レノックス・ヒル病院の救急医であるRobert Glatter氏は
「40%近くの患者が5年以内に再発する可能性があるという事実を、
医師や患者が受け入れられるのかどうかは疑問だ」と話す。
また、「抗菌薬は60〜70%の確率で急性虫垂炎を効果的に治療できるが、
効果が得られずに手術が必要になる可能性もあることを患者は理解しておくべきだ」と付け加えている。
急性虫垂炎に対する抗菌薬治療への一般の関心は高まりつつあるが、
Glatter氏は「今回の試験で対象から除外された虫垂結石を伴う患者など、
よりリスクが高い患者群についても抗菌薬治療の有効性を検証する必要がある」と述べている。
さらに、同氏は、抗菌薬治療では院内での3日間の静脈注射に加えて、
経口薬を7日間服用する必要があったのに対し、
腹腔鏡下虫垂切除術では術後の入院期間がたった1日だったことも指摘している。
その上で、「急性虫垂炎の治療を手術ではなく抗菌薬で始めるという決断を下す際には、
医師と患者、その家族が十分に話し合う必要がある」と同氏は話している。
なお、米ノースダコタ大学による最近の調査では、
もし自分が急性虫垂炎になったら手術と抗菌薬治療のどちらを選ぶかという問いに対し、
米国人の圧倒的多数が手術を選び、抗菌薬治療を選択した回答者は10人中1人に過ぎなかったことが報告されている。
[2018年9月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay.
原著論文はこちら
Salminen P, et al. JAMA. 2018; 320: 1259-1265.
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