2018年10月31日
自分で貼るワクチンでインフル予防接種が可能に?
自分で貼るワクチンでインフル予防接種が可能に?
提供元:HealthDay News 公開日:2018/10/02
(日本以外、予防接種は筋肉注射です)
インフルエンザの予防接種で病院を受診すると
鼻水をすすり、くしゃみをする患者で溢れかえった待合室で
呼ばれるのを待たなければならない。
しかし、
代わりにパッチ型のインフルエンザワクチンを自宅に郵送してもらい、
自分でワクチンを接種できる日は近く実現するかもしれない−。
米感染症研究所のDarrick Carter氏らは、
そのようなコンセプトで微小な針を備えた絆創膏状のワクチンを開発し、
その予備的な臨床試験の結果を「Science Advances」9月12日号に報告した。
Carter氏らは今回、病院を受診しなくても自分で接種できるように、
パッチ型の新たなインフルエンザワクチンを開発した。
このパッチはマイクロニードルと呼ばれるごく微小の針を備え、
これを通してワクチンが接種される仕組みになっている。
同氏によれば、
かすり傷や浅い傷を負うと皮膚表面の免疫システムが反応するメカニズムを応用することで、
筋肉注射が不要となった。
また、ワクチン抗原には、
別の企業から提供されたウイルス様の粒子を産生するように
リプログラミングされた植物細胞を用いたという。
さらに、Carter氏らは、
今回のワクチンに使用した効果増強のために添加されるアジュバントの液状製剤を、
ワクチンとともにフェレットに投与する実験を行った。
その結果、
1回のワクチン投与で
フェレットを完全にインフルエンザ感染から守ることができたとしている。
このパッチ型ワクチンの安全性を検証するために
100人の健康な成人を対象に実施した臨床試験では、
ワクチンの重大な副作用は認められず安全性が確認された。
また、この臨床試験はヒトにおける有効性の検証を目的としたものではなかったが、
ワクチン接種群では非接種群と比べてより強い免疫応答が示されたことが分かった。
以上の結果を受けてCarter氏らは
「このワクチンであれば郵送することもできるため、
使用者は自分で皮膚に貼ってインフルエンザの感染から身を守ることができるだろう」
と説明している。
この臨床試験は概念実証試験の段階であるため、
同氏らは今後、ヒトを対象に次の段階の臨床試験に進みたいとしている。
同氏によれば、全ての臨床試験がうまくいけば5年以内にもワクチンは承認される可能性があると展望している。
この試験には関与していない米ボゲス医療センターのDavid Davenport氏は、今回の報告を受けて
「このワクチンは“ゲーム・チェンジャー”になるかもしれない」と期待を示す。
同氏によれば、
ニワトリの卵を用いた現行の手法はワクチンの大規模な製造には不向きだが、
植物ベースであれば3カ月以内に大量生産することも可能だという。
また、Carter氏らが開発したワクチンは郵送も可能で自分で接種できることから、
「接種率の向上にもつながる可能性がある」と話している。
なお、米疾病対策センター(CDC)の推計によると、
米国で季節性インフルエンザの予防接種を毎年受けているのは国民の半数以下とみられている。
〔10月2日 記事の一部を修正いたしました〕
[2018年9月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Carter D, et al. Sci Adv. 2018 Sep 12. [Epub ahead of print]
提供元:HealthDay News 公開日:2018/10/02
(日本以外、予防接種は筋肉注射です)
インフルエンザの予防接種で病院を受診すると
鼻水をすすり、くしゃみをする患者で溢れかえった待合室で
呼ばれるのを待たなければならない。
しかし、
代わりにパッチ型のインフルエンザワクチンを自宅に郵送してもらい、
自分でワクチンを接種できる日は近く実現するかもしれない−。
米感染症研究所のDarrick Carter氏らは、
そのようなコンセプトで微小な針を備えた絆創膏状のワクチンを開発し、
その予備的な臨床試験の結果を「Science Advances」9月12日号に報告した。
Carter氏らは今回、病院を受診しなくても自分で接種できるように、
パッチ型の新たなインフルエンザワクチンを開発した。
このパッチはマイクロニードルと呼ばれるごく微小の針を備え、
これを通してワクチンが接種される仕組みになっている。
同氏によれば、
かすり傷や浅い傷を負うと皮膚表面の免疫システムが反応するメカニズムを応用することで、
筋肉注射が不要となった。
また、ワクチン抗原には、
別の企業から提供されたウイルス様の粒子を産生するように
リプログラミングされた植物細胞を用いたという。
さらに、Carter氏らは、
今回のワクチンに使用した効果増強のために添加されるアジュバントの液状製剤を、
ワクチンとともにフェレットに投与する実験を行った。
その結果、
1回のワクチン投与で
フェレットを完全にインフルエンザ感染から守ることができたとしている。
このパッチ型ワクチンの安全性を検証するために
100人の健康な成人を対象に実施した臨床試験では、
ワクチンの重大な副作用は認められず安全性が確認された。
また、この臨床試験はヒトにおける有効性の検証を目的としたものではなかったが、
ワクチン接種群では非接種群と比べてより強い免疫応答が示されたことが分かった。
以上の結果を受けてCarter氏らは
「このワクチンであれば郵送することもできるため、
使用者は自分で皮膚に貼ってインフルエンザの感染から身を守ることができるだろう」
と説明している。
この臨床試験は概念実証試験の段階であるため、
同氏らは今後、ヒトを対象に次の段階の臨床試験に進みたいとしている。
同氏によれば、全ての臨床試験がうまくいけば5年以内にもワクチンは承認される可能性があると展望している。
この試験には関与していない米ボゲス医療センターのDavid Davenport氏は、今回の報告を受けて
「このワクチンは“ゲーム・チェンジャー”になるかもしれない」と期待を示す。
同氏によれば、
ニワトリの卵を用いた現行の手法はワクチンの大規模な製造には不向きだが、
植物ベースであれば3カ月以内に大量生産することも可能だという。
また、Carter氏らが開発したワクチンは郵送も可能で自分で接種できることから、
「接種率の向上にもつながる可能性がある」と話している。
なお、米疾病対策センター(CDC)の推計によると、
米国で季節性インフルエンザの予防接種を毎年受けているのは国民の半数以下とみられている。
〔10月2日 記事の一部を修正いたしました〕
[2018年9月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Carter D, et al. Sci Adv. 2018 Sep 12. [Epub ahead of print]
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