2018年06月30日
血液1滴で13種類の癌が分かる検査 実現に向けて進行中 血液中に出現した“癌の分身”を捉えるリキッドバイオプシー(liquid biopsy:液体生検)
血液1滴で13種類の癌が分かる検査 実現に向けて進行中
血液中に出現した“癌の分身”を捉えるリキッドバイオプシー(liquid biopsy:液体生検)として注目を集めているのが、
血液中の細胞小胞体(エクソソーム)を調べる手法だ。国立がん研究センター研究所プロジェクトリーダーの落谷孝広氏らが開発した。
エクソソームは、直径約100nmのごく微少なカプセル状の粒で、内部にリボ核酸(RNA)であるマイクロRNAが含まれていることが、2007年にスウェーデンの研究者により発見された。
落谷氏のチームが2010年、エクソソームが細胞同士の情報伝達の役割を担っており、癌の発症や進行と関わりがあることを解明。さらにそれを応用し、癌の判別の有無を調べる仕組みの開発に成功した。
エクソソーム中のマイクロRNAは20〜25個の塩基が連なった分子で、正常細胞もエクソソームに包含されたマイクロRNAを分泌している。
癌細胞に特有のマイクロRNAは、正常細胞に入り込み、正常細胞のメッセンジャーRNAと結合することで、正常細胞をアポトーシスにも導く。
各臓器の癌には、それぞれ特徴的なマイクロRNAが複数存在し、癌に罹患すると、血液や尿など細胞外にも分泌されてくる。その量を測定することで、各臓器の癌の罹患の有無が判別できるようになるわけだ。
現在、胃癌、食道癌、肺癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、乳癌、肉腫、神経膠腫の13種類の癌の有無が判別できるという。
さらに、免疫チェックポイント阻害薬の効果予測が可能であることも確認している。
メカニズムが明確であり、癌については、感度・特異度とも90%以上と極めて高いのが特徴。
確定診断にはなり得ないものの、1次スクリーニングとしては十分な精度である。
ただ、検診の1次スクリーニングとして用いるには、癌のマイクロRNAが検出された集団での癌罹患率などの検討が必要だろう。
落谷氏は、「人間ドックで13種類の検査を受けるのは時間を要するとともに、苦痛も伴い費用もかさむ。
この検査は100μLほどの血液があれば十分なので、簡易血糖測定器のような簡便な検査にすることができる」と語る。
現在、体外診断薬の承認申請に向けた臨床性能試験や多施設での臨床試験を計画中だという。
ヒトのマイクロRNAは2588種類あるが、これをトータルで見る高感度DNAチップは、日本には東レの3D-Geneシステムしかなかったため、それを採用しており、検査費用は2万円前後になるのではないかと見積もられている。
もっとも癌の判別に、2588種類を全て調べる必要はなく、1つの癌種当たり3〜5種類程度で済む。
現在開発中の13種類でも100種類以下に抑えられることから、コストダウンが図れるのではないかと考えられる。
東レ以外に東芝、アークレイ、プレシジョン・システム・サイエンスなどもプロジェクトに参加してバイオチップの性能を競っており、さらにコストを抑えつつ精度を高められる可能性もある。
「人間ドックで13種類の検査を受けるのは時間を要するとともに、苦痛も伴い費用もかさむ。
この検査で癌を早期発見できれば、医療経済全体にもたらすメリットも大きい」と語る国立がん研究センター研究所の落谷孝広氏。
落谷氏は、「体外診断薬として、きちんと治験をして、国民が年1回安価に受けられるような検査になってほしい。
早期で発見できれば、患者個人の負担が軽いだけでなく、医療経済全体にもたらすメリットも大きい」と期待する。
さらに侵襲性の全くない尿や唾液についても検証中だ。「腎臓、膀胱、前立腺など、泌尿器系の癌は尿で判別できるかもしれないが、
肺や肝臓など、主要臓器の癌のマイクロRNAを尿中で測定して判別することもできれば、もっと優しい検査になる」と話す。
前田氏も消化器内科医として、リキッドバイオプシーに大きく期待する1人だ。「胃癌や大腸癌では検診システムが確立しているが、膵癌には早期発見する有効な方法がないため、感度が高い検査であれば有用だろう」と語る。
リキッドバイオプシーの究極の使い道は疾患予防だと落谷氏は考えている。
「将来的には、マイクロRNAプロファイルに基づいて、病気にならないようにするために、食生活などでどのような介入ができるかを検証していくつもりだ」と話している。
血液中に出現した“癌の分身”を捉えるリキッドバイオプシー(liquid biopsy:液体生検)として注目を集めているのが、
血液中の細胞小胞体(エクソソーム)を調べる手法だ。国立がん研究センター研究所プロジェクトリーダーの落谷孝広氏らが開発した。
エクソソームは、直径約100nmのごく微少なカプセル状の粒で、内部にリボ核酸(RNA)であるマイクロRNAが含まれていることが、2007年にスウェーデンの研究者により発見された。
落谷氏のチームが2010年、エクソソームが細胞同士の情報伝達の役割を担っており、癌の発症や進行と関わりがあることを解明。さらにそれを応用し、癌の判別の有無を調べる仕組みの開発に成功した。
エクソソーム中のマイクロRNAは20〜25個の塩基が連なった分子で、正常細胞もエクソソームに包含されたマイクロRNAを分泌している。
癌細胞に特有のマイクロRNAは、正常細胞に入り込み、正常細胞のメッセンジャーRNAと結合することで、正常細胞をアポトーシスにも導く。
各臓器の癌には、それぞれ特徴的なマイクロRNAが複数存在し、癌に罹患すると、血液や尿など細胞外にも分泌されてくる。その量を測定することで、各臓器の癌の罹患の有無が判別できるようになるわけだ。
現在、胃癌、食道癌、肺癌、肝臓癌、胆道癌、膵臓癌、大腸癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、乳癌、肉腫、神経膠腫の13種類の癌の有無が判別できるという。
さらに、免疫チェックポイント阻害薬の効果予測が可能であることも確認している。
メカニズムが明確であり、癌については、感度・特異度とも90%以上と極めて高いのが特徴。
確定診断にはなり得ないものの、1次スクリーニングとしては十分な精度である。
ただ、検診の1次スクリーニングとして用いるには、癌のマイクロRNAが検出された集団での癌罹患率などの検討が必要だろう。
落谷氏は、「人間ドックで13種類の検査を受けるのは時間を要するとともに、苦痛も伴い費用もかさむ。
この検査は100μLほどの血液があれば十分なので、簡易血糖測定器のような簡便な検査にすることができる」と語る。
現在、体外診断薬の承認申請に向けた臨床性能試験や多施設での臨床試験を計画中だという。
ヒトのマイクロRNAは2588種類あるが、これをトータルで見る高感度DNAチップは、日本には東レの3D-Geneシステムしかなかったため、それを採用しており、検査費用は2万円前後になるのではないかと見積もられている。
もっとも癌の判別に、2588種類を全て調べる必要はなく、1つの癌種当たり3〜5種類程度で済む。
現在開発中の13種類でも100種類以下に抑えられることから、コストダウンが図れるのではないかと考えられる。
東レ以外に東芝、アークレイ、プレシジョン・システム・サイエンスなどもプロジェクトに参加してバイオチップの性能を競っており、さらにコストを抑えつつ精度を高められる可能性もある。
「人間ドックで13種類の検査を受けるのは時間を要するとともに、苦痛も伴い費用もかさむ。
この検査で癌を早期発見できれば、医療経済全体にもたらすメリットも大きい」と語る国立がん研究センター研究所の落谷孝広氏。
落谷氏は、「体外診断薬として、きちんと治験をして、国民が年1回安価に受けられるような検査になってほしい。
早期で発見できれば、患者個人の負担が軽いだけでなく、医療経済全体にもたらすメリットも大きい」と期待する。
さらに侵襲性の全くない尿や唾液についても検証中だ。「腎臓、膀胱、前立腺など、泌尿器系の癌は尿で判別できるかもしれないが、
肺や肝臓など、主要臓器の癌のマイクロRNAを尿中で測定して判別することもできれば、もっと優しい検査になる」と話す。
前田氏も消化器内科医として、リキッドバイオプシーに大きく期待する1人だ。「胃癌や大腸癌では検診システムが確立しているが、膵癌には早期発見する有効な方法がないため、感度が高い検査であれば有用だろう」と語る。
リキッドバイオプシーの究極の使い道は疾患予防だと落谷氏は考えている。
「将来的には、マイクロRNAプロファイルに基づいて、病気にならないようにするために、食生活などでどのような介入ができるかを検証していくつもりだ」と話している。
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