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2018年09月09日

がんゲノム医療は驚異的なスピードで進展を続けている。

がん遺伝子検査が収載目前、課題は?
がん関連3学会合同ゲノム医療推進タスクフォースの活動報告
2018年08月21日 06:05

 わが国でのがんゲノム医療の実装に向けて、
今年(2018年)4月、がん関連遺伝子パネル検査システムを用いた検査が先進医療として承認された。

同検査は、来年度には保険診療として中核拠点病院などで開始される見込みである。
保険収載を目前に控え、がんゲノム医療への期待が高まる一方、実施に当たっての問題が次々と明らかになっている。

そこで、わが国におけるがんゲノム医療の諸課題を解決し、臨床および社会実装に導くため、日本癌学会(JCA)、日本臨床腫瘍学会(JSMO)、日本がん治療学会(JSCO)の3学会による合同のゲノム医療推進タスクフォースが設置された。
第16回日本臨床腫瘍学会(JSMO 2018、7月19日〜21日)では、初の3学会合同のシンポジウムが開催され、慶應義塾大学一般・消化器外科専任講師の林田哲氏がタスクフォースの活動について報告した。

コスト算定が保険診療の成否を左右
 タスクフォースでは、昨年3月からがんゲノム医療に関わる諸問題を抽出し、これを是正する目的で既に3つの事業を開始している。

1つ目は、がんゲノム医療に関する正確な情報を国民に発信すること。
個々の患者の遺伝情報を治療に生かすことから、がんゲノム医療は患者をはじめ社会一般から万能感を持って受け止められている。
しかし実際には、遺伝子異常が判明しても治療薬は存在しないケースがあり、その場合でも費用負担は生じる。
こうしたネガティブな内容を含めた正確な情報発信の場として、がんゲノムネット(仮称)の設立を進めている。

 2つ目は、がんゲノム医療を保険診療として適切に運用するよう、科学性を担保しながらコストや枠組みなどについての提言を3学会合同で行うこと。
昨年11月には厚生労働省に対し、未承認診断薬を用いた検査に保険償還がなされている点の是正や遺伝子パネル検査に対する適正なコスト算定を求める要望書を提出している。

特にコストはその算定法を誤ると、がんゲノム医療の推進を阻むどころか保険収載と同時に衰退させかねない懸念があることから、タスクフォースでは保険承認に向けた厚労省の取り組みを注視しているという。

 3つ目は、がんゲノム医療を担う医師やメディカルスタッフの育成と教育。その一環として、3学会合同でゲノム医療に関するガイダンス・データベースの策定を進めている。
完成後もタスクフォースの管理下で、継続的なアップデートとアノテーション情報との統合作業を進め、ガイダンスを分かりやすく効率的に活用することを目指している。

 がんゲノム医療は驚異的なスピードで進展を続けている。
それ故、新たな問題が次々に現れ、解決すべき課題は刻々と形を変えていく。
それらにすばやく対処するタスクフォース(機動部隊)として、「今後もがんゲノム医療の課題解決と社会実装に取り組んでいきたい」と林田氏は意欲を示した。
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田中松平
元消化器外科医で,頭からつま先まで診れる総合診療科医です. 医学博士 元日本外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器外科学会認定指導医・専門医, 元日本消化器内視鏡学会専門医, 日本医師会認定産業医, 日本病理学会認定剖検医,
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