カニとマグロとFX

その昔、おれが派遣でとある営業の管理職をやっていたころ
そこにはいろんなところからあふれた人間がたくさんいた
マルチ商法で借金作った若者からリストラされたおっさん、おれと同じように商売に失敗して生活費＋借金返済費用を稼ぎに来た人などなど

その中に某証券会社勤務のおっさんがいた
我々が扱っている商品は非常に説明しやすい商品で騙したりしなくてもほいほい契約が取れるのにそのおっさんはどうしても商品説明をしないで勢いで押し切ってしまうのでトラブルが耐えなくてフォローが大変だった
そのおっさん、お酒が大好きでよく飲みにいったのだがあるときマルチ崩れの若者達がまた新しいマルチにハマりそうになってるのを見て珍しく説教をしはじめた
「いいかお前達、100万円もし手元にあるなら株をやれ！いいか、100万円で倍になる株を買え、すれば200万円になる、その200万円でさらに倍になる株を買え、400万円になる、これを6回繰り返せば1億越えるぞ。話半分としても10回続ければ1億になるだろ？」
おかげで若者達はマルチを再びやる気をなくしたわけですが、問題がないわけでもない説明なわけですよね、この人この調子で証券会社で株売ってたのか？と思うと恐ろしくて仕方ない

ＦＸ関係のサイトやブログなんかでも大体はＦＸで脱サラとか1万円を100万円にとかいうタイトルが目立ちます
ハイレバ業者でスプレッドも小さい業者が増えましたから確かに1万円からはじめることも可能でしょうが数年ＦＸをやってきた身として10万円はないとまともに勝てないと思うんですよ、だから1万円なんらカニ買えと、3万円なら有馬記念買えというわけです
さらにいえば脱サラとか専業になりたいって、現状に不満やストレスがあって言ってるだけならサラリーマンのよさを思い出せボケと言いたくなるのです

脱サラについてはまた後日熱く語るとして

ＦＸにおいてレバレッジとか証拠金とか聞きなれない言葉なのでちょっと調べただけの場合陥りやすいのがシステムの説明とマネージメントの説明がごっちゃになってしまって本当に1万円でも勝てるかもって思ってしまうところでしょうか？
確かに1万円でいまだとレバレッジ２００とか４００の設定ができる業者ならば1万通貨のポジションを持てますが、あくまでも持てるだけです
相場ってのはポジションを立てた時点では必ず損します、最小でスプレッド分、最大でギリギリのＭＣラインの損失、いやこのご時世ならば証拠金割り込んで追証くらう可能性まで含めての損失を覚悟しなくちゃいけないのかな？
その損失リスクへの耐性がどこまであるのかって話

実際に1万通貨をポジる話をすればいい
レバレッジ200の業者でポジる仮定の話をしますね
1万円の場合、ドル円で大体証拠金が5000円程度になると思われます、つまり1枚ポジったら残りのリスク許容度は50pipsしかないわけです、50銭ですね
90円は割れない！と思って90.25でロングをぶちかましたとしてストップは89.80くらいに置きたいとなればもうこの勝負、ストップを踏まれたら次ポジれないですよね
結果あなたは証拠金分だけ残して5000円弱を損したということで相場から退場してしまうかもしれません
10万円の場合、同じく証拠金は5000円程度ですからポジった時点で950pipsの余裕が生まれるんです
これ結構重要で、同じようなポジションを取ったとして5000円弱の損失を出してもまだ残り95000円あるので違うチャレンジができるんですよ、つまり89.80のストップを踏まれた場合そのまま89.80でドテンショートを発射したりとか他のペア通貨にチャレンジするとかね

テクニカルも万能ではありません、当然相場には振幅の幅がある程度あるわけで行き過ぎてから戻るってことばかりです
ピッタリテクニカルで出た数値通りで動くなら、そして自分の思い通りに相場が動くならば1万円でもいいのですがそんなわけがない
ＦＸを始めるという友人には必ずこういうアドバイスをしております
「始めるならばなくなっても痛くない10万円を用意しろ」
日足が大好きなんですが、日足レベルでポジションを取ろうとすればドル円ならば100pips単位の誤差があると考えてます、つまり1万円単位の含み損が出るかもってことです、これが枚数重なればもっと大きな数字になりますね
生活費で絶対に減らせない金であった場合、例えこの後反転するだろうと思っていてもこの含み損には耐えられなくなります
例えば下値が87円だと仮定し、ポジションを取れないリスクを考えて88.50から50pipsごとに買い下がり、87円割れで損切りのストップを置いていた場合
88.50で1枚、88.00で1枚87.50で1枚と3枚のポジションを持つわけですが例えば現在のレートが87.30だった場合、いくらの含み損があると思いますか？そしてそれに耐えれますか？
耐えられない場合、たとえ反転しても元値に戻った時点でなぜか決済をしてしまいます、本当はもっと上昇すると思ってポジったのにです、これがリスク許容度とかなんとかって言うもんです、つまり自分にはその含み損は耐えられなかったということ
方向性は合っていても利益が伸ばせないパターンってやつですね

どんなテクニカルの曲線もそれは投資家の心理を反映している

自分が含み損だ含み益だと右往左往してからテクニカルを勉強してその線を見ていると本当に身に染みる言葉です
ある意味究極の数学と言えなくもないわけですが、だから相場は面白いとも言えますし、だから相場は怖いとも言われます
この常習性は間違いなくギャンブル性から来る中毒みたいなもんです
日常小遣いが足りないならば相場で増やしてみればいいじゃないと、減っても飲み代減らせばいいだけならばやってみればいいじゃないと
その程度の気持ちで始めるのがいいと思いますよ、ただポジション取る前には結構真剣に検討してくださいね、あなたのその場の気持ちってのはすべてチャートの中に表示されてますから　うひひ