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新国立劇場のタンホイザー鑑賞

今日は新国立劇場へ行ってきました。
先日から行きそびれていた、ワーグナーのオペラ、
タンホイザーを鑑賞してきました。

全5日間の日程の楽日(千秋楽)に当たる本日は、平日の2時からの上演
にもかかわらず、チケットはS席以外は完売、ほぼ満員状態でした。

上演前に「皇太子殿下御臨席」のアナウンスが流れて、フラッシュが
パチパチ光っておりました。
舞台は撮影禁止だけど、客席はいいのでしょうかねぇ?
オペラグラスで2階席を覗く人も沢山いました。

他のホールでは皇族方が臨席しても、こうしたアナウンスを
聞いた記憶がないのですが。


今回注目していたのは、指揮者のコンスタンティン・トリンクス氏。
1975年生まれで、指揮者としては若手です。
今年2013年のバイロイト音楽祭で初上演されるオペラ「恋愛禁制」を
指揮することが決まっています。
どんな演奏を聴かせてくれるのか楽しみですね。

オーケストラは、東京交響楽団でした。
東京フィルハーモニー交響楽団ではありません。

いつも東京フィルなのに何故?!と思ったのですが、
たまには違うオケの音を聴くのもいいかもしれません。


上演前のチューニングの時に、東京フィルと音が違う!と
気づいてしまいました。本当にチューニングに違いがあるのか、
私の思い込みなのかは不明です。


オケのチューニングはAの音(ラの音)ですね。
ちなみにブラスバンドのチューニングは、Bフラット(シ♭)の音です。

私は絶対音感は持ち合わせていないので、Aの音を覚えておいて、
その音から最初の曲の音を心の中で掴んで、始まりを待ちます。
聴こえて来た音と、頭の中の音がピシャッと合うと心地良いです。
今回はドンピシャ! 

短い間に気が散って他の事を考えていたりするとハズします。


指揮は悪く言えば平坦でやや情熱不足に感じられました。
2幕ラストの「nach Rom」の前のテンポの落とし方は
かなりいただけなかったです。


東京交響楽団は金管が不安定でした。
はっきり言ってしまうとホルンが…
弦もしっくり音が揃ってなかったです。


静かで落ち着いて見られる演出には、好感が持てました。
昨今のバイロイトの演出の様に、忙しくないのがいい!
じっくり曲に集中できます。


舞台全体としては、1幕のバレエがどうも…
ヴェーヌスベルクの雰囲気に合っているとは思えませんでした。
なんだか健全・健康的な踊りなのです。
ヴェーヌスベルクの住人が、健康促進の為に体を鍛えているみたいで。

ヴェーヌスベルクは、行った事がバレると大顰蹙を買い、
剣を向けられ追放されてしまう位の、いかがわし〜い場所です。
そんないかがわしさが、バレエからは感じられませんでした。
もっと場の雰囲気に合った官能的な踊りにして欲しかったです。

一言「やっぱりドレスデン版がいいなぁ…」


そして一番気になったのが、タイトルロールを歌った歌手、
スティー・アナセン氏。

第一声を聴いた時、最終日なのでお疲れか? 不調? 
と心配になりました。

ところが、すぐにヴェーヌス賛歌をきちんと歌い上げたので
安心しました。

しかし、ビブラートだけで歌ってる?(変な表現ですけれど)
こういう歌い方なの? こういう声なの? 

と、頭の中が疑問で一杯に…

音量不足って言ってしまうとそうなのですが、
でも2幕のラスト近くの嘆く歌い方などは、すごく上手い!
特に「Weh  Weh mir Unglücksel'gem」の辺りとか、
泣き声で歌っている様に聴こえてます。
すごい歌唱力(演技力)です。

いわゆるワーグナーのヘルデンテノールとは違った、
物凄く個性的なテノールですね。

どう判断していいのか、私にはさっぱり分りません。
一回だけ聴いても判断が付かないので、最終日だけじゃなくて、
やっぱり何度か聞きに来るべきだったと悔やみました。


スティー・アナセン氏が個性的過ぎて、
ヴォルフラム役のヨッヘン・クプファー氏の声を聴いた時、
「そうだよね、普通こういう風に声出すよね」と、再確認し
安堵にも似た気持ちを覚えました。
なかなかの美声で、3幕の夕星の歌等も良かったです。

ヘルマン役のクリスティン・ジグムンドソン氏も
貫禄のある歌い方で良かったです。

エリーザベト役のミーガン・ミラーさんは、期待通りでした。
欲を言えば、2幕の合唱と一緒に歌う所は、もうちょっと声量が
欲しかったです。元々声量のある歌手の様なので、
最終日でお疲れだったのかも?

歌手の中で一番良かったのは、
ヴェーヌス役のエレナ・ツィトコーワさんです。
何年か前の新国立で、フリッカ役を聞いた事があるはずなのに、
その時の印象派あまり残っていません。
今回のヴェーヌス役は、伸びのある綺麗な高音、低音部分も綺麗でした。

それから新国立劇場合唱団も素晴らしかったです。
合唱が上手いと、舞台も冴えますよね。


5日間の日程の内、4日間観に行くつもりで、結局、楽日の1日しか
観に行けませんでした。
でも、なんとか1日だけでも行けて良かったです。

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