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2018年01月28日
NHK大河ドラマ「西郷どん」第4回「新しき藩主」
1月28日午後8時から、NHK総合でNHK大河ドラマ「西郷どん」の第4回「新しき藩主」が放送されました。
この回のみどころというべきシーンは、2つあります。
1つは、西郷・大久保らの恩師・赤山靱負(沢村一樹さん演じる)が薩摩藩のお家騒動のために切腹する(させられる)シーン。
2つめは、鹿賀丈史さん演じる島津斉興と、渡辺謙さん演じる島津斉彬(斉興の嫡男)の命懸けの対決シーンです。
昔の大河ドラマ「翔ぶが如く」で大久保利通を演じ、演劇界でその演技力と圧倒的な存在感広く知られる鹿賀丈史さんと、世界にその名を知られた世界的俳優の渡辺謙さんの対決シーンは、まさに「息詰まる」もので、必見です。
しかも、対決の「方法」がロシアンルーレットとは!
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三船敏郎主演「天下のご意見番罷り通る 彦左衛門外記」
1月27日の夜7時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、三船敏郎主演「天下のご意見番罷り通る 彦左衛門外記」が放送されました。
晩年の三船敏郎さんが大久保彦左衛門を演じています。
そして謎の女「ちづる」(前半は謎だが後半で正体が判る)を田中美佐子さんが演じています。
三代将軍家光(堤大二郎さん演じる)の治世。藤村俊二さん演じる用人・喜内(きない)と二人で余生を送る旗本・大久保彦左衛門。神君家康公のお墨付きをもらった「天下のご意見番」だと言われたのも昔の話。すっかりもうろくした、と周囲の者に噂されるほど、のんきに暮らしている。
そこへ或る日、ちづるという若い娘がやってきて、「亡き母が昔、彦左衛門さまに仕えていてお世話になった。母の遺言でもあるから、わたしがこれから彦左衛門さまに仕えたい」と言う。押し掛け女房的でもあり、ちづるの母の名に確かに覚えがあるから、と一緒に暮らすことになる。
喜内は、ちづるを「(彦左衛門の)隠し子では?」と疑う。
ちづるの母は彦左衛門を慕っていた、というようなことを彼女は言うし、いくら母が昔つかえていたからといっても、隠し子でもなければ一緒に暮らそうなどと言い出すか? と。
ちづるは母に関するものを全て売り払って金に換えてから来たというので、謎めいたところが多い。
のんきに暮らしていた彦左衛門に槍の稽古をさせようと、有無を言わさぬようにけしかけたりする。しかも稽古の相手になったりする。若い女で、槍の稽古の相手になるとは、ただの小娘ではない。不思議な娘だった。
そのころ、幕府を中心に江戸で騒動が起こっていた。
「大御所(おおごしょ)」と呼ばれた二代将軍・秀忠(筆者註:「大御所」と呼ばれたのは徳川家康だけではありません)が亡くなり、それを機に、全国の大名の忠誠心を試すようなことをしようと家光が言い出したのだ。
その「試し」は全国を騒乱の渦に巻き込みかねないものだった。そして、その「試し」に刺激された旗本の若い者たちが外様大名相手に騒動を起こそうとしていた。
家光の思い付きに反対したのは、幕閣の要人の中では、「知恵伊豆」の異名うをとる松平伊豆守(田村亮さん演じる)ただ一人だった。
過激な旗本奴たちは彦左衛門を自分たちの中心人物に仰ごうとしたが、彦左衛門は相手にしない。しかし、騒動を止め「試し」をやめるよう「天下のご意見番」として将軍に諫言してくれ、との松平伊豆守の頼みもきかない。
そうして物語は展開し、ちづるの正体が明らかになるのです。
ちづるは何のために彦左衛門の家に入り、何をしようとしているのか?
騒動はどう決着するのか?
彦左衛門は本当に老いさらばえて気力を失ってしまったのか?
それらが徐々に明らかになり、さわやかなラストを迎えます。
三船敏郎さんが亡くなる前の作品なので、ちづる役の田中美佐子さんが若い!
若い田中美佐子さんのハツラツとした演技と、老いた「天下の御意見番」にふさわしい三船敏郎さんの演技に注目すべき作品です。
2018年01月27日
「必殺仕事人X 風雲竜虎編」最終回「主水ひとりぼっち」
1月26日の午前9時から、テレ玉(テレビ埼玉)で「必殺仕事人V 風雲竜虎編 」の最終話「 主水ひとりぼっち」が放送されました。
ある日、絵馬坊主の蝶丸(桂朝丸さん演じる)のお堂(夜叉堂)へ「仕事の依頼(もちろん裏の仕事)」を示す絵馬がかけられる。しかも中村主水(藤田まことさん演じる)が名指しで書かれていたのです。主水の裏の稼業のことも、仕事の依頼のシステムまでバレバレだと、警戒感を強める主水・お玉(かとうかずこさん演じる・)影太郎(三浦友和さん演じる)・政(村上弘明さん演じる)たち。
「未曽有の大仕事」だと、依頼してきた相手はいう。とにかく会ってみようじゃないか、と主水が指定された場所へ行くと、現れたのは主水の知り合いの元締・雲龍(島田順司)だった。
雲龍が大金を代償として主水たちに依頼したのは江戸城大奥にいる吉野局(三ツ矢歌子さん演じる)の暗殺だった。
お局さまは、自分が子の産めぬ体であるために、将軍の子を産んだ女をひそかに殺し、殺した女の子をひきとって育ての親となっていた。そうして大奥での権勢を誇っていたのだ。
主水たちは雲龍の手引きで江戸城内に潜入する。大道芸人一座の中にまぎれたり、一座の荷物の中に入ったりして。
そうして吉野局と、局の手足となって将軍側室暗殺の実行犯となっていた男二人を殺すのだが、城外に脱失しようとする時、思いがけないことが起こる。お局殺害と同時刻に、江戸城に盗賊が入り「御金蔵」が破られたのだった。
かろうじて逃げた主水たちだったが、お玉や影太郎は戦いの最中、証拠の品を残してしまっていた。
御金蔵破りとお局殺害の実行犯を血眼になって探す奉行所の面々。犯人が残した証拠の品としてあがったのが、影太郎が男との戦いのときに刀で斬られた「南京玉すだれ」の一部。お玉が使った金粉。主水が潜入した時に持参していた弁当の包み。
急ぎ、影太郎らに報せようとする主水だったが、長屋に影太郎の姿はない。そして影太郎は捕り手に追われて……。
仕事人チームが幕閣の要人や江戸城内の大物を殺すという大仕事を終わらせた後、ピンチを迎えるとか、そのために離散するようになる、というのは「必殺シリーズ」ではよくあることですが、この「風雲竜虎編」の最終回もまた「主水ひとりぼっち」というサブタイトルが示すような寂しい展開です。
印象に残るシーンは、主水が雲龍と会った時、雲龍が「主水さん、あんたいい仲間をもったね」と言う場面です。
「主水の裏の顔を知る謎の人物からの依頼?」ということで警戒していた影太郎やお玉、政などが物陰に潜んで、主水になにかあったら主水を守ろうとしていたのです。それを見抜いて雲龍は「いい仲間をもったね」といったのです。
なんだかんだといっても仕事人チームは、命を懸けた仕事を続けていただけに、強い絆で結ばれていた、というわけです。
滝沢秀明主演NHK大河ドラマ「義経」最終回「新しき国へ」
1月25日の午後2時から、CS放送のチャンネル銀河で、滝沢秀明主演NHK大河ドラマ「義経」の第49回(最終回)「新しき国へ」が放送されました。
源頼朝(中井貴一さん演じる)による奥州藤原氏への圧力が強まる中、決戦は避けられないものと、義経たちは戦に備える。
しかし、藤原秀衡(高橋英樹さんが演じた)のような「北方の王者」としての自信と気力を持たない嫡男の泰衡(渡辺いっけいさん演じる)は、とうとう頼朝の圧力に屈してしまい、義経主従を討つ決意を固めてしまうのです。
さらに泰衡は弟たちと決裂。義経の住む「高館」に兵を向けるのです。
それからはもう、歴史上有名な「高館」の戦いと、伝説としてあまりにも有名な「弁慶の立ち往生」の場面です。
源義経を描いたドラマを作る場合、弁慶との出会いと、この「弁慶の立ち往生」をいかに描くが、でドラマの価値が決まってくるといっていいでしょう。まさに必見のシーンです。
そして、伊勢三郎(南原清隆さん演じる)らの戦いにも注目です。
弁慶は豪傑ですが、それ以外の郎党は特に豪傑というものでもありません。そんな彼らが義経の為に戦い傷つき死んでゆくシーンは、ただひたすら哀しい。
鎌倉で領地をもらい名誉を得るではなく、ただ義経を慕い、従った彼らに「理想郷」は見えたのか?
はかないラストシーンが展開されます。
2018年01月26日
「必殺仕事人X 風雲竜虎編」第17回「恐怖の辻射ち!」
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1月24日の午前9時から、テレ玉(テレビ埼玉)で「必殺仕事人X 風雲竜虎編」の第17回「 恐怖の辻射ち!」が放送されました。
二つの対立する弓術の流派(久貝流と大貫流)があります。そのうちの一つ久貝流の師匠の息子(弟子には「若」と呼ばれる)が「辻うち」と称して、夜の闇に紛れて夜鷹たちを弓で射るのです。夜鷹は売春婦で蔑まれた存在ですが、生きた人間です。それを物でも射るように無慈悲に射る。
犯人は誰かということになり、もう一つの流派の大貫の息子の方に疑いがかかります。
藤田まことさん演じる主水がその疑いを掛けられた流派大貫の方へ行き、探りを入れ、父子ともに清廉潔白な人物だということが分かります。
三浦友和さん演じる影太郎は夜鷹射殺事件の目撃者でした。仕事人チームは、対立するほうの久貝流がさまざまなやり方で大貫流へいやがらせをしていることを知り、清廉潔白な方の大貫父子に肩入れし、特に村上弘明さん演じる鍛冶屋の「政」は強弓をひく為に必要な筋力をつけるためのトレーニング機器を(息子の方の依頼により)作ります。
しかし大貫父子は対立する久貝流側の罠にかかり……。
この回で印象に残るのは、講武所の弓術師範という栄誉を得るために手段を択ばない悪辣な(対立する側の)父子と清廉な方の父子との対比でもありますが、「ブルワーカー」という健康器具(筋肉をつけるためのもの)とほぼ同じものを江戸時代の「鍛冶屋の政」が作った、ということです。現代の器具だから「ありえない」と言いたいところですが、「江戸時代の人間が作ったけれども後世に伝わらなかっただけ」と強引にいえば言えるわけで、自由な発想でそういう器具を江戸の人物に作らせてしまうドラマもまた面白い、と言えるわけです。
1月24日の午前9時から、テレ玉(テレビ埼玉)で「必殺仕事人X 風雲竜虎編」の第17回「 恐怖の辻射ち!」が放送されました。
二つの対立する弓術の流派(久貝流と大貫流)があります。そのうちの一つ久貝流の師匠の息子(弟子には「若」と呼ばれる)が「辻うち」と称して、夜の闇に紛れて夜鷹たちを弓で射るのです。夜鷹は売春婦で蔑まれた存在ですが、生きた人間です。それを物でも射るように無慈悲に射る。
犯人は誰かということになり、もう一つの流派の大貫の息子の方に疑いがかかります。
藤田まことさん演じる主水がその疑いを掛けられた流派大貫の方へ行き、探りを入れ、父子ともに清廉潔白な人物だということが分かります。
三浦友和さん演じる影太郎は夜鷹射殺事件の目撃者でした。仕事人チームは、対立するほうの久貝流がさまざまなやり方で大貫流へいやがらせをしていることを知り、清廉潔白な方の大貫父子に肩入れし、特に村上弘明さん演じる鍛冶屋の「政」は強弓をひく為に必要な筋力をつけるためのトレーニング機器を(息子の方の依頼により)作ります。
しかし大貫父子は対立する久貝流側の罠にかかり……。
この回で印象に残るのは、講武所の弓術師範という栄誉を得るために手段を択ばない悪辣な(対立する側の)父子と清廉な方の父子との対比でもありますが、「ブルワーカー」という健康器具(筋肉をつけるためのもの)とほぼ同じものを江戸時代の「鍛冶屋の政」が作った、ということです。現代の器具だから「ありえない」と言いたいところですが、「江戸時代の人間が作ったけれども後世に伝わらなかっただけ」と強引にいえば言えるわけで、自由な発想でそういう器具を江戸の人物に作らせてしまうドラマもまた面白い、と言えるわけです。
滝沢秀明主演NHK大河ドラマ「義経」第48回「北の王者の死」
1月24日の午後2時から、CS放送のチャンネル銀河で、滝沢秀明主演NHK大河ドラマ「義経」の第48回「北の王者の死」が放送されました。
数多くの苦難の道を経て、奥州平泉に到着した義経一行は、藤原氏の館に入り、当主の藤原秀衡(高橋英樹さん演じる)と対面します。サブタイトルにある「北の王者」とは、もちろん、奥州藤原氏三代の秀衡のことです。
秀衡に温かく迎えられ、ようやく、義経一行は安心して暮らせる地を得たのです。
秀衡も、鎌倉の圧力に屈せず、かといって強硬に対抗するでもない態度で余裕を見せつけます。
しかし、そんな平泉にも暗雲がたちこめます。
秀衡が四代目当主として嫡男の泰衡を指名した宴の最中に倒れたのです。
泰衡は奥州の広大な土地を領する主となるには気が弱すぎて、どうも頼りない。鎌倉の圧力にどう対処するのか、不安があります。
そして秀衡の死。安住の地を得たはずの義経らはどうなるのか?
このドラマ「義経」は、滝沢秀明さん、上戸彩さん、石原さとみさんら若い役者さんたちが中心になる中、平幹二朗さん、渡哲也さん、松平健さん、高橋英樹さんらベテラン勢が重厚な演技で大河ドラマという国民的ドラマを支え、落ち着いてみていられました。
48回放送ではこれまたベテランの大出俊さんが佐藤継信・忠信兄弟の父として出演し、二人の息子を失った悲しみを見せず義経に「息子たちはお役に立ったでしょうか?」と訊く、武士の誇りと思いやりとを感じさせる演技を見せてくれました。
大事に育てた息子が二人とも死んで、悲しくないはずはない。しかし、主君の役に立ち、名誉の死を遂げたか、武士として誇りに思える死だったか。それを確かめて、悲しみを誇りの変えて、息子の死を静かに悼むのです。それが武士の父の、男親のこころというものなのでしょう。
2018年01月24日
松本幸四郎主演「父子鷹」第11話(最終話)「薄れいく光の中で」
1月23日の午後8時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、松本幸四郎(現在は改名して松本白鴎)・市川染五郎(現在は改名して松本幸四郎)共演の「父子鷹」の第11話が放送されました。全11話なのでこれが最終話でした。
ラストシーンは勝海舟の父・小吉の死でした。
病の床で妻・息子・娘・甥など身内の者に囲まれて、勝小吉が思うのは息子・麟太郎の立身出世。息子が大きく成長して、器の大きな人物になったと確信した小吉が、安心して死ねると、息子の将来をたのもしく思いながら死んでゆきます。
武士として、大きく立派な人物になるよう、厳しくも愛情深く、あたたかく育てた父親の姿、生き方がそこにありました。
まさに、勝海舟という「鷹」を育てた「鷹」としての勝小吉の活躍する姿と、勝一家のあたたかい家庭を描いた作品でした。
滝沢秀明主演NHK大河ドラマ「義経」第47回放送「安宅の関」
1月23日の午後2時から、CS放送のチャンネル銀河で滝沢秀明主演NHK大河ドラマ「義経」の第47回「安宅の関」が放送されました。
藤原秀衡を頼るため、山伏の姿となって奥州平泉を目指す義経主従は、雪の降りしきる厳しい気候の中、北陸道を行きます。
武士の姿のままだと、義経主従だとすぐに判ってしまうが、山伏の集団だということにすれば追手の目をくらませることもできるからです。武蔵坊弁慶はもともと僧侶ですし、義経もかつては鞍馬寺で修業していた身なので、お経を唱えることもできます。仏教・修験道についての知識も明るいわけです。
北陸道を行くのは、その方が東山道や東海道に比べて近道だし、比較的、鎌倉方の監視の目も厳しくなかろうと思ったからです。
寒さ厳しい加賀国に入った一行は、ある農家の世話になります。そこの農家の女房をみて義経は驚きました(弁慶らは気づかなかったようですが)。木曾義仲(小澤征悦さん演じる)の妻・巴御前(小池栄子さん演じる)だったのです。
巴は木曾義仲や兄の樋口兼光・今井兼平の死後、京で義経に会い、敵意をむき出しにしましたが、義経に諭され、生きる目的を失ったまま彷徨い、加賀国に辿り着き、行き倒れとなっていたところを農家の主人に助けられ、女房となったというのです。
農家の男と結ばれ、子どもを産んで、新たに生きる目的をもった巴の姿をみて、義経も前に進む力を得て、奥州で新しき国を造ろうという気持ちを新たにするのです。
そこから平泉をさして行くには、道は二つしかありませんでした。雪の中、険しい山道を行くか、平地だが役人のいる安宅関を通るか。
関守の富樫泰家(石橋蓮司さん演じる)が信仰心あつい男だという噂を聞いた義経たちは、富樫が山伏一行をすんなり通してくれる可能性にかけて、安宅関を目指します。
そこで起こった出来事は有名な歌舞伎の「勧進帳」の通りですが、ここでは心で泣いて主君・義経を討ち据える弁慶(松平健さん演じる)の姿が視聴者のこころを打ちます。
滝沢秀明主演NHK大河ドラマ「義経」第46回放送「しずやしず」
1月22日の午後2時から、CS放送のチャンネル銀河で、滝沢秀明主演NHK大河ドラマ「義経」の第46回「しずやしず」が放送されました。
鎌倉の頼朝による追討から逃れ、各地をさまよう義経主従。もはや、日本国中には、かつて身を寄せていた奥州平泉しかなくなった。藤原秀衡ならば、かくまってくれる、と、義経主従は決意する。
その前に、捕らわれの身となった静(石原さとみさん演じる)を救い出そう、と、鎌倉へ護送される静の輿を狙うのだが、それこそ、鎌倉による罠だった。
そうとも知らず、静が捕まったことに責任を感じて行方をくらまして単身、奪還の機会を伺っていた佐藤忠信(海東健さん演じる)が護送者たちを襲う。すぐに捕まってしまった忠信を救おうと焦る義経たちだが、姿を現せば義経主従みな捕まってしまう。
義経の身の上に同情する朱雀の翁(梅津栄さん演じる)らの機転で鎌倉方の目をそらし、義経・弁慶(松平健さん演じる)らは捕まらずに済んだが、静といい、忠信といい、犠牲者が出たことを義経は深く悲しむ。
一方、鎌倉ではすでに静相手に詮議が行われる。そのあとで、歴史上有名な鶴岡八幡宮での静の舞が行われることになる。
この鎌倉の鶴岡八幡宮での、義経の愛妾であり白拍子である静御前の舞の故事は、多くの歴史書に書かれていることで、史実と言って間違いないことです。この時代を描いたドラマも、その史実をもとに脚色しつつ描きます。
この故事で、静御前の人間性だけでなく、源頼朝や北条政子の人間性も分かります。
義経にとってはもはや「敵地」である鎌倉で、捕らわれの身でありながら恋しい義経のことを思いながら舞を舞い、謡う静の心情と、ひるまず恐れず愛を貫く姿。
それに対して怒る頼朝。そんな夫に対して女の気持ちはどういうものか、と堂々と伝える政子。
昔の女は立場が弱かったといわれがちですが、そんな女性でも、いや、女性だからこそ、愛を貫きたい気持ちを堂々と表明したかったのでしょう。
また、静に対して怒ったとされる頼朝は、いかにも女の気持ちが分からぬ冷たい人間のようですが、彼自身がかつて、少年の日に平家に捕らわれ時に「反抗心」を押し隠し、秘めた心のまま平家に対し従順な姿勢を示したからこそ、静もそうあるべきだと考えたのかもしれません。
とうぜん、大勢の御家人たちの前で恥をかかされた、という気持ちもあったのでしょうが。
2018年01月23日
妻夫木聡主演NHK大河ドラマ「天地人」総集編 第三回
1月21日の午後9時30分から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、妻夫木聡主演のNHK大河ドラマの「天地人」の総集編の第3回が放送されました。
秀吉に臣従を誓った上杉家は、臣従するまではさまざまな葛藤がありました。戦国最強ともいわれた上杉謙信の後継者(御館の乱で景虎に勝ったからであるが)であり、日本有数の大大名としての誇りを持っていたからですが、臣下の礼をとってからはよく仕えました。
小栗旬さん演じる石田三成と、妻夫木聡さん演じる直江兼続との絆を深まる様子が描かれています。
その豊臣政権の動きの中での名場面だと私が思ったのは、武将同士のやりとりではなく、女同士のやりとりでした。
秀吉の側室・茶々(深田恭子さん演じる)の産んだ鶴松が亡くなり、悲しみに沈む豊臣家。もちろん、いちばん深く悲しんだのは茶々自身だった。その茶々のもとへ、上杉景勝の正室・菊姫(比嘉愛未さん演じる)が訪れて慰める。
茶々は織田信長によって滅ぼされた浅井長政の長女であり、信長の姪でもあります。一方、菊姫は武田信玄の娘であり、信長に滅ぼされた武田勝頼の妹です。
戦国の世で、高貴な身分とされながら、生家が滅んだ悲しみを背負い、かたや茶々は産んだ子が夭折し、かたや菊姫は子が産めない悩みをもつ。そんな姫どうし、「どう生きていくか?」で悩み、意気投合して仲良くなっていくのです。
仲良くといっても現代のお友達同士のような関係・つきあいかたではありませんが、心が通じ合ったことをお互いが感じていくのです。
武将の描き方や時代考証では、戦国史好きの者にとっては「残念」な点が幾つもある本作ですが、このシーンは気に入りました。
また、場面としての面白みとは違いますが、伊達政宗の正室・愛姫(めごひめ)の役を杏さんが演じたのは「絶妙」とはいわないまでも「いいキャスティング」だなと思いました。かつて昭和62年に放送されたNHK大河ドラマ「独眼竜政宗」で伊達政宗を演じたのが渡辺謙さん。その渡辺謙さんの実の娘の杏さんが伊達家の人を演じること自体がおもしろく感じます。