アフィリエイト広告を利用しています
ファン
<< 2020年06月 >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
月別アーカイブ
写真ギャラリー
タグクラウド
最新コメント

広告

posted by fanblog

2020年03月09日

漁師さんの迷信

海が近いせいか、漁師さんの迷信みたいな話を近所でよく聞かされた。 『入り盆、送り盆には漁をしてはいけない』とか、『海川に入ってはいけない』とか。 でも、この話はうちの近所だけじゃなくても一般的みたいだけど。 この話もそんな話。お盆じゃなくて地元のルールのようです。初めてヤバイと思った体験です。 釣りが好きな僕が友達Nを誘って海に行こうとしたら、 船は持ってるけど漁師を引退した友達の爺さんが面白そうに、 「今日から明後日まで、峰ノ州の方に行ったらいかんぞ。助けられんからな」 と、わざとらしく語りかけてきた。だけど目だけは厳しかった。 峰ノ州と言うのは、地元で呼んでる浅瀬のことです。知らない人が見たら只の磯にしか見えません。 友達Nが「わかってるよ、釣れなかったら帰ってくるから」と返事だけして、僕とNは釣りに出かけた。釣り場まで自転車で15分ぐらいで着いた。 ホントは原チャで来たかったのだが、 Nがまだ免許を持っていなかった事と、ガソリンを入れに行くのが面倒だった為チャリにした。 釣り場には4駆と見慣れない大学生風の2人組みが、何か釣りのような事を先にしていた。 ちょうど例の峰ノ州の手前の防波堤で(2〜3百メートル先が峰ノ州)、暇そうにタバコを吸ったりしていた。 僕とNは少し遠慮しながら、横でいつものように釣りをはじめた。 すこし離れてるとはいえ、見慣れない2人組みはこっちの様子が気になるようで、しばらくして話し掛けてきた。 少しパーマのかかった人あたりの良さげな片方が、 「こんちわ、ここ釣れるの?ゼンゼン駄目なんだよね」 警戒させない声だった。 もう1人は、隣のNの仕掛けに興味があるみたいで、ジロジロと竿先や仕掛け入れを観察していた。 それから2人とも色々と面白い話しをしてくれ、缶コーヒーまで貰った。 2〜3分ほど話してみると、その大学生2人組みの仕掛けが、この場所ではまったく不向きだというのがすぐに判った。 僕らはその2人が釣りたい魚が目の前の峰ノ州によくいる事を知っていたのと、 その仕掛けが峰ノ州なら向いているだろうと思った。 だから、良くしてもらった御礼になればと思って、峰ノ州の場所の事を話した。 その時は、もうNの爺さんが言ってた事なんかどうでもよかった様に憶えている。 子供が行くわけじゃないし、大学生といったらもう大人なんだし、と思っていたんだと思う。 その日、僕とNも釣れなければ峰ノ州に行くつもりでいたぐらいだ。 二人はクルマに荷物を積み込むと、「ありがとね、行ってみるわっ」と言い残してさっさと行ってしまった。 僕はあの二人に狙いの魚が釣れるとは思えなかったけど、可能性が高くなった事に少しだけ満足していた。 Nにいたっては、「釣れないようなら手伝いに行くかな?」と言いながら、貰った缶コーヒーをん飲んでいた。 それから2〜30分たっただろうか? 遠く、峰ノ州の磯先に先ほどの二人の姿が見えた。竿を持って歩いている。 さらに、しばらくしてこっちに手を振っているのが判る。「釣れたんだろうね」っとNが手を振る。 それから僕とNも自分達の釣りが忙しかったので、あの2人組みの事は忘れていた。 少し日が傾き始めた頃、気が付くと天気は曇り空に変わっていた。 グレーの空を映す海は、あまり綺麗とは言えない。 僕が紐で結んだバケツで海水を汲んで水換えをしていると、Nが「あれ?みて!見て!」と峰ノ州の方を指差す。 「何?」 僕はバケツの紐を引きながら、峰ノ州を見た。 「!!」 例の二人組みが、僕らから見てありえない場所、海の上に立っている。更にその先に歩いてる様にも見えた。 点の様にしか見えない2人だが、だんだん小さくなっていくのが判る。 遠くに移動していると言うよりも、沈んで行ってるように見える。事実、上半身しか見えない。 点の片方が振り向いたのが見えた。ハッキリしないが、慌てて戻ってるようだ。 もう一人はまだ振り向かない。 僕とNは多分、家を出る前の爺さんの言葉を思い出していたと思う。 僕とNは黙って、手元の道具を片付けながら様子を見守った。 一人はもう頭だけになった。そして潜るように消えた。 Nが「爺ちゃんの言う通りになった」とつぶやいて、放心しているのが感じられた。 僕もNもまだ携帯電話なんか持ってはいなかった。何もできないでいた。 戻っているように見えた男が、何度か海に転ぶのが見えた。 そして僕は、もがく男が波の表面から、複数の白い手のような物に絡め摂られて沈むのを見た。 Nも見えたと言っている。 3回ほど頭を出して、それを覆い引き擦り込む様にして、灰色の波が缶コーヒーをくれた大学生を隠してしまった。 僕とNは唖然としていた。 時間にしてみれば3〜4分の事か、長くても10分ぐらいかもしれない。 とり合えず、僕は自転車で近くの家まで警察と救急を呼びに、Nはその場に残って見守る事に。 その後の事はあまり憶えてないけど、警察と消防署に事情聴取されて、そのまま僕とNは帰った。 消防署の人が、「後で何かあったら電話するから、電話番号を教えて」と言う言葉が耳にまだ残ってる。 実際に1人目の死体が揚がったのが、2日後だったと思う。もう1人は揚がらずじまい。 その日の事は地元でしかニュースにならなかった。 今でも思い出すが、あの『白い手』は絶対に見間違いなんかじゃないと思う。 Nが爺さんに峰ノ州に行ってはいけない由来を聞いてみても、爺さんもよく知らないようで、 「ただ、あそこは昔から、この季節は行ってもいい事がないから、もう行くな」とだけ言われたようだ。 何年かしてNの爺さんが、「普段見えん物が見えると人間、奥まで行くから帰れんようになる」と言っていた。 Nがその後、好奇心で峰ノ州まで行こうとしたが、どうしても途中から足がすくんで動けなかったらしい。 特に言われはないけどそんな場所があって、 ひょっとしたら僕とNの身代わりになったあの2人には、今でも申し訳ないと思っています。 <感想> 迷信とか言い伝えは侮れませんね。
【このカテゴリーの最新記事】
検索
最新記事
カテゴリーアーカイブ
アクセスカウンター
にほんブログ村 本ブログ ホラー・怪奇へ
にほんブログ村
にほんブログ村 動画紹介ブログ ホラー・怪奇動画へ
にほんブログ村
ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村
リンク集
プロフィール
みもんさんの画像
みもん
プロフィール
×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。