シンガポールは熱帯モンスーン帯に位置し、
一年中高温で多湿だが
4月からは乾季に入り雨は少ないと言われている。
街の様子を掴むには巡回バスがあり
小一時間でひとめぐりできる。
太く堂々とした樹木が街のいたるところに育ち、
優しく訪問者を包んでくれる。
新緑の木立から覗く青空は
遠い何処かに心を誘うようだ。
ラッフルズ・ホテルこの街のシンボル・・・・
―「ラッフルズ、その名は東洋の神秘に彩られている」
作家サマセット・モームはこのホテルを気に入り
長期滞在し数々の作品を仕上げたと言う。
―画家 ポール・ゴーギヤンをモデルに書き上げた
『月と六ペンス』もここで描いたのだろうか?
「そんなわけないだろう・・・舞台はタヒチだよ」
「どうしてそう言い切れる?」
「見てごらんよ・・・この街の活力を・・・
チャイナタウン、インド人街、モスク、仏教寺院
いろんな人種が集まり暮らす街・・・
彼の求めた強烈な太陽と自然のイメージとは相入れないよ」
―絵を描くために安定した生活を捨て、
そして家族を捨て南の島に行ったゴーギャン・・・
―題名の「月」は夢を「六ペンス」は現実を意味するとされている
のどかな昼下がりに全ての想いを洗い流すようにスコールが襲う。
「そうだね・・・ゴーギャンの想いはここにはないようだ」
「バケツをひっくり返したように降る雨、いや洪水だよ、これは」
―熱帯特有のスコールはわがままな暴君のように現れるが、
同時に引き際を心得たように鮮やかにカラッとした陽光をもたらす。
―そうか・・・優しさと激しさはいつも隣りあわせなんだ。
ゴーキャンの描いた絵から伝わる熱情や冷たい心・・・
それをシナリオとして伝える、作家サマセット・モーム。
―この優しく拡がる空間に漂い浮遊する
多様な伝統、モノづくりへのこだわり・・・、
イメージを刺激する何か・・・
ここには時を超え、人から人へとリレーされた感動がある。
★eコラボ☆★頑なまでのクラフトマンシップ☆