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2021年05月17日

【進化する】冷凍技術


 暮らしや食生活の変化により、冷凍技術は今なお発展を続けています。冷凍技術を用いた日本の冷凍食品のはじまりは古く、100年前に遡ります。





 冷凍技術の黎明期は、魚の凍結から始まり、戦後の食糧不足や東京五輪を経て、高度経済成長期の三種の神器のひとつ、冷蔵庫の普及と共に発展していきます。





 冷凍食品の開発に大きく貢献しているのが、急速冷凍の技術です。普通の冷凍、つまり、緩慢冷凍だと、ゆっくり凍らせるため、細胞内の氷の粒が大きくなり細胞組織を壊してしまいます。解凍するとドリップが出て、食感が変わってしまうなど味や風味が落ちてしまいました。





 この欠点を補うために開発されたのが急速冷凍です。氷の結晶ができ始めるのは、0〜−7˚Cの間です。この温度帯を急速に冷やすと、氷の結晶の成長を抑えられ、細胞を守ることができます。





 しかし、急速冷凍の技術も、表面から中心に向かって凍っていくため、氷の結晶の大きさは均等でなく、なかには壊れてしまう細胞があり、食材によっては変質を免れないものもあります。こうしたことを克服すべく、冷凍技術はさらなる進化を続けています。





 近年、細胞を生かすCAS(cells Alive System)冷凍という技術が注目されています。CAS冷凍では冷凍庫内に微弱エネルギーを与える磁場環境を発生させ、水分子を細かく振動させながら、食材の中の水分を0℃以下になっても凍結しない過冷却の状態にし、十分に温度が下がった所で弱い振動を与え、食材を均等に一気に凍らせます。冷凍時にできるのは、微細な氷の結晶のため、細胞を傷つけず、解凍してもドリップを防ぎます。





 細胞を守る冷凍技術として、プロトン凍結も注目されています。プロトン凍結は、電磁波と磁束の働きを利用して、一度にたくさんの氷の核を生成することにより、大きな氷の結晶へと成長することを防止します。それにより細胞を壊さず、解凍時のドリップを少なくすることができます。



冷凍食品の歩み


 暮らしや食生活の変化により、冷凍技術は今なお発展を続けています。冷凍技術を用いた日本の冷凍食品のはじまりは古く、100年前に遡ります。





 冷凍技術の黎明期は、魚の凍結から始まり、戦後の食糧不足や東京五輪を経て、高度経済成長期の三種の神器のひとつ、冷蔵庫の普及と共に発展していきます。この頃、冷凍食品は冷凍コロッケなどの油調品が主流で、家庭で食卓を囲むことが多い時代であったことから、おかずとしてよく食べられ、コロッケ、ハンバーグ、シュウマイ、ギョウザ、エビフライといった5大調理冷凍食品が市場に定着していきます。





 1980年代は、ピザ、ピラフ、グラタン、1990年代はうどんなどの麺類、電子レンジ用のフライ、自然解凍の冷凍食品などが開発され、冷凍食品の成長期を迎えます。2000年代に入ると電子レンジで温めるだけのチャーハン、ピザ、クロワッサンなどのパン、半熟卵などできたての食感を楽しめる冷凍食品が次々と誕生しています。



冷凍の仕組み


 冷凍食品の開発に大きく貢献しているのが、急速冷凍の技術です。普通の冷凍、つまり、緩慢冷凍だと、ゆっくり凍らせるため、細胞内の氷の粒が大きくなり細胞組織を壊してしまいます。解凍するとドリップが出て、食感が変わってしまうなどとれたて、あるいはできたてのものと比べて味や風味が落ちてしまいました。





 この欠点を補うために開発されたのが急速冷凍です。氷の結晶ができ始めるのは、0〜−7˚Cの間です。調理冷凍食品の場合、粗熱をとるのにある程度の時間がかかりますが、この温度帯を急速に冷やすと、氷の結晶の成長を抑えられ、細胞を守ることができます。





 しかし、急速冷凍の技術も完全ではありません。表面から中心に向かって凍っていくため、氷の結晶の大きさは均等でなく、なかには壊れてしまう細胞があり、食材によっては変質を免れないものもあります。こうしたことを克服すべく、冷凍技術はさらなる進化を続けています。



最新の冷凍技術


・CAS冷凍





 細胞をいかに保持するかということが、冷凍技術の重要な点となります。近年、細胞を生かすCAS(cells Alive System)冷凍という技術が注目されています。





 水が、0℃以下になっても凍結しない状態を過冷却といいます。過冷却の状態で、衝撃を与えると一瞬にして表面から中心まで均等に凍結します。そのため、CAS冷凍では冷凍庫内に微弱エネルギーを与える磁場環境を発生させ、水分子を細かく振動させながら、食材の中の水分を過冷却の状態にし、十分に温度が下がった所で弱い振動を与え、食材を均等に一気に凍らせます。冷凍時にできるのは、微細な氷の結晶のため、細胞を傷つけず、解凍してもドリップを防ぎます。





 CAS冷凍は、さまざまな冷凍食品に利用されています。なかでもCAS冷凍された産地直送の水産物は、鮮度の違いが明白です。細胞が壊れやすく、冷凍に不向きとされていたウニや白子なども、CAS冷凍なら品質を落とさずに冷凍することが可能です。さらにCAS冷凍であれば、シャリもつくりたてと変わらない味で提供することができます。





 従来の凍結技術では、周囲から徐々に冷され、氷の結晶が成長していきます。外側の氷が内部を断熱するため、凍るのに時間がかかり、内側の水分が毛細管現象により外側に移動するためパサパサになります。氷が解ける時に細胞が破壊され、水分がうま味成分などと一緒に流出することになります。従来の凍結技術による賞味期限は、おおよそ6〜12ヵ月で、解凍後は鮮度が低下してしまいます。一方、CAS冷凍であれば、最長5年の長期保存が可能となり、旬の美味しさを再現することができます。従来の凍結技術では不可能であった解凍後の美味しさの再現を可能にし、解凍後も一定の鮮度を維持することができます。





 一般的に流通している魚介類は、季節や漁獲量によって、価格と在庫が大きく変動します。旬の魚介類を長期保存できるCAS凍結であれは、価格も在庫も安定させることができます。





・プロトン凍結





 細胞を守る冷凍技術として、プロトン凍結も注目されています。プロトン凍結は、電磁波と磁束の働きを利用して、一度にたくさんの氷の核を生成することにより、大きな氷の結晶へと成長することを防止します。それにより細胞を壊さず、解凍時のドリップを少なくすることができます。





 肉や魚介類などの生鮮食材のほか、寿司や調理食品にも対応でき、有名店のお惣菜やお弁当などもこの技術が用いられています。



3981827_s.jpg


まとめ


 暮らしや食生活の変化により、冷凍技術は今なお発展を続けています。冷凍技術を用いた日本の冷凍食品のはじまりは古く、100年前に遡ります。





 冷凍技術の黎明期は、魚の凍結から始まり、戦後の食糧不足や東京五輪を経て、高度経済成長期の三種の神器のひとつ、冷蔵庫の普及と共に発展していきます。





 冷凍食品の開発に大きく貢献しているのが、急速冷凍の技術です。普通の冷凍、つまり、緩慢冷凍だと、ゆっくり凍らせるため、細胞内の氷の粒が大きくなり細胞組織を壊してしまいます。解凍するとドリップが出て、食感が変わってしまうなど味や風味が落ちてしまいました。





 この欠点を補うために開発されたのが急速冷凍です。氷の結晶ができ始めるのは、0〜−7˚Cの間です。この温度帯を急速に冷やすと、氷の結晶の成長を抑えられ、細胞を守ることができます。





 しかし、急速冷凍の技術も、表面から中心に向かって凍っていくため、氷の結晶の大きさは均等でなく、なかには壊れてしまう細胞があり、食材によっては変質を免れないものもあります。こうしたことを克服すべく、冷凍技術はさらなる進化を続けています。





 近年、細胞を生かすCAS(cells Alive System)冷凍という技術が注目されています。CAS冷凍では冷凍庫内に微弱エネルギーを与える磁場環境を発生させ、水分子を細かく振動させながら、食材の中の水分を0℃以下になっても凍結しない過冷却の状態にし、十分に温度が下がった所で弱い振動を与え、食材を均等に一気に凍らせます。冷凍時にできるのは、微細な氷の結晶のため、細胞を傷つけず、解凍してもドリップを防ぎます。





 細胞を守る冷凍技術として、プロトン凍結も注目されています。プロトン凍結は、電磁波と磁束の働きを利用して、一度にたくさんの氷の核を生成することにより、大きな氷の結晶へと成長することを防止します。それにより細胞を壊さず、解凍時のドリップを少なくすることができます。



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