2021年04月23日
【相利共生と寄生】人に常在する細菌フローラ
人体の皮膚と粘膜は、ともに外部環境に接しているため、乳児が生まれると間もなく、表面には特徴的な細菌フローラが定着します。
粘膜は、生まれたときはほぼ無菌ですが、数時間以内に汚染されます。表面に到達した微生物の中で、この環境での増殖に特に適したものだけが定着するようになります。これらの微生物は極めて恒常的な常在フローラを構成します。常在フローラの細菌は、常態では保護されている人体部分に偶然持ち込まれたり、あるいは体の生理的状態が変化したりしなければ、病気の原因とはなりません。ウイルスの感染などによって体の状態が変化すると、常在フローラの一部が病原性となることがあります。
哺乳動物の体の常在フローラは、相利共生から寄生に移行すること、また元に戻ることがあります。菌を組織に侵入させるような状況がなければ、常在菌フローラの菌は、宿主がしばしばさらされる有毒な病原菌の定着を妨げることによって、宿主に利益をもたらします。
人体の皮膚と粘膜は、ともに外部環境に接しているため、乳児が生まれると間もなく、表面には特徴的な細菌フローラが定着します。
粘膜は、生まれたときはほぼ無菌ですが、数時間以内に汚染されます。表面に到達した微生物の中で、この環境での増殖に特に適したものだけが定着するようになります。これらの微生物は極めて恒常的な常在フローラを構成します。常在フローラの細菌は、常態では保護されている人体部分に偶然持ち込まれたり、あるいは体の生理的状態が変化したりしなければ、病気の原因とはなりません。ウイルスの感染などによって体の状態が変化すると、常在フローラの一部が病原性となることがあります。
体の各部分は、特徴的なフローラを選択的につくりあげるような特色ある生態的地位を提供します。皮膚に生息する細菌には、コリネバクテリウム、ミクロコッカス、ストレプトコッカス、ミコバクテリアが含まれます。皮膚の湿潤部には、酵母やそのほかの菌類が常在しています。皮膚のフローラは、栄養条件と皮膚により分泌される脂肪酸のような物質の両方によって選択されます。皮膚の微生物は、汗腺や皮脂腺、毛嚢に住み着いているので、入浴や丁寧に洗ってもすべては除去されません。
咽喉や口腔には、大部分の通常真正細菌群の代表株を含む多種の微生物が維持されています。ミクロコッカスやストレプトコッカスを含むグラム陽性球菌が通常の咽喉常在菌です。グラム陰性球菌では、好気性のNeisseria属と嫌気性のVeillonella属の菌種が代表的です。咽喉と口腔には、多数のグラム陽性及びグラム陰性の桿菌が常在しています。前者は主に乳酸桿菌とコリネバクテリウムで、後者はBacteroides属とSpirillum属の菌種です。スピロヘータや酵母、放線菌も口腔フローラの普通の構成菌です。これらの菌は、正常ではすべて無害ですが、粘膜が損傷すると、その多くは体内に侵入し、病気を引き起こすことがあります。
同じ種類の生物は、鼻咽頭にも生息し、少なくとも潜在的には肺に到達することができます。しかし、一連の防御機構によって、気管と気管支は比較的無菌に保たれています。大部分の細菌は、鼻咽頭の粘膜上皮に固着しており、気管を覆う絨毛上皮細胞が絶えず粘液を上方に押し出すために、容易には肺の方へ移動できません。肺は非常に活発な食作用の場であり、その食作用により異物粒子は特殊なアメーバ状細胞によって、破壊されます。
胃と小腸は、細菌の増殖には不適な環境ですが、大腸には莫大な常在フローラが存在します。腸内ではフローラの性状は、食事と年齢によって変化します。母乳を栄養とする乳児では、ほかでは普通見られない菌であるBifidobacteriumが常に優占的な腸内フローラ構成菌です。なお、この菌は離乳後、間もなく消失します。
成人の腸管の優占細菌は、Bacteroides、大腸菌、Streptococcusです。ミクロコッカスのようなほかの属の菌も、数は少ないですが存在します。酵母では、CandidaとTorulopsisが代表的で、原生動物では、Entamoeba、人のみに見られる繊毛中のBalantidium、Trichomonas属の鞭毛虫が代表的です。種々の微生物の全微生物に対する割合は、主に食事によって決まります。抗生物質などの薬剤の経口投与によっても、腸内フローラには著しい変化が起こります。
普段は宿主に害を与えずに生息している細菌が、治療中などで重大な感染を起こすことが多く見られます。このような内因性感染の最多となる感染源は、一般に腸内内容物で、これは糞便1gあたり1010〜1011の細菌を含んでいます。防御機構を損なう病気にかかっている人、薬剤による治療によって同様な影響を受けた状態の人では、通常は腸に存在する細菌が血液中に侵入することがしばしば起こります。防御機構を妨げる病気の例としては、循環白血球の数と種類を著しく低下させるような白血病、抗体産生細胞の病気となる多発性骨髄腫などがあります。コルチゾンのような薬剤も、常在腸内フローラの菌による侵入を受けやすくすることがあります。
哺乳動物の体の常在フローラは、このように相利共生から寄生に移行すること、また元に戻ることがあります。菌を組織に侵入させるような状況がなければ、常在菌フローラの菌は、宿主がしばしばさらされる有毒な病原菌の定着を妨げることによって、宿主に利益をもたらします。
複雑な装置や巧妙な技術によって、無菌動物を分娩させ、無菌環境で飼育することが可能となりました。このような環境下で成熟した動物は交配し、無菌の仔が生まれ、無菌動物の集団を維持することができます。
このため、宿主の成長や発達における常在フローラの役割や感染に対する抵抗性に関する実験が可能となります。
無菌動物の発育は、いくつかの点で異常が見られます。無菌動物の盲腸は著しく肥大し、リンパ系の発達は貧弱で、無菌動物の免疫グロブリン産生量は正常の動物よりもずっと少なくなります。
正常動物と無菌動物を比較した結果、宿主の感染症に対する抵抗性、または感受性に著しい影響がみられました。
人体の皮膚と粘膜は、ともに外部環境に接しているため、乳児が生まれると間もなく、表面には特徴的な細菌フローラが定着します。
粘膜は、生まれたときはほぼ無菌ですが、数時間以内に汚染されます。表面に到達した微生物の中で、この環境での増殖に特に適したものだけが定着するようになります。これらの微生物は極めて恒常的な常在フローラを構成します。常在フローラの細菌は、常態では保護されている人体部分に偶然持ち込まれたり、あるいは体の生理的状態が変化したりしなければ、病気の原因とはなりません。ウイルスの感染などによって体の状態が変化すると、常在フローラの一部が病原性となることがあります。
哺乳動物の体の常在フローラは、相利共生から寄生に移行すること、また元に戻ることがあります。菌を組織に侵入させるような状況がなければ、常在菌フローラの菌は、宿主がしばしばさらされる有毒な病原菌の定着を妨げることによって、宿主に利益をもたらします。
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