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2021年03月02日

【説明が難しい】食べ物の「コク」


 日常の食事で、コクがあって美味しい という言い方をよく耳にします。コクという言葉は、日常的によく使われるにもかかわらず、その意味はあいまいです。





 コクは熟成した食べ物を口にしたときの豊かな味わいを指し、お酒などの深みのある濃厚さに対して使われることが一般的のようです。しかし、コクがあるとなぜ美味しいのかと聞かれて、適切に説明できる人はほとんどいません。





 時間をかけてじっくり熟成している間、あるいは調理をしている間に、食材からさまざま成分が溶け出して、その成分が口内の味蕾などの受容器を刺激 するところにコクの原点があると考えられます。また、香りや食感もコクの発現に大きく関与しています。





 コクの表現には、厚み、広がり、芳醇性などがあります。また、先味、すなわち立ち上がりの速さ、奥深さ、持続性、後味、嫌な味を抑えて好ましい味を強めること、バランスのよさ、まろやかさも含まれます。





 コクをきちんと説明することは確かに難しいですが、言えることとしては、口の中の味蕾が刺激されること、その刺激が持続することが、コクを認識する条件となります。粘性を高め滞留時間を延長して作用時間を長くすること、すなわち、とろみのある ものはコクを出す要因の ひとつとなります。そして、このような味覚の情報は、香り、テクスチャー、辛味、温度などほかの情報とともに脳で統合的に処理され、その結果、コクとして認識されることになります。





 このような要因の揃った食べ物のひとつは、カレーです。コクのある食べ物に含まれる成分を分析することにより、コクを生じさせる可能性のある成分が、近年明らかとなりつつあります。グリコーゲン、脂肪、にんにくや玉ねぎに含まれるアリインやグルタチオンなどの含硫化合物、ペプチド各種、 遊離アミノ酸の混合物といったものがその成分です。





 食べ物のコクや味は、温度によって感じ方が変化します。塩味は、温度が低くなるほど強く感じます。甘味は体温に近い 35℃前後で、一番強く感じられます。体温から遠ざかるにしたがって弱く感じます。温度によって変化がしないのが酸味です。どの温度帯でも、酸味を感じることができます。苦味やうま味は、温度が下がると感じにくくなります。食事をするときに、人は視覚、触覚、味覚などを使いながら、コクなどの美味しさ感じとって、食べています。食べ物からコクや味を感じ取り、美味しいと判断する温度は、温かいもので60〜70℃、冷たいもので5〜10℃が適温と言われています。



コクの概念


 日常の食事で、コクがあって美味しい という言い方をよく耳にします。コクがあってキレがいいといったテレビコマーシャルもあります。コクという言葉は、日常的によく使われるにもかかわらず、その意味はあいまいです。





 コクは熟成した食べ物を口にしたときの豊かな味わいを指し、お酒などの深みのある濃厚さに対して使われることが一般的のようです。しかし、コクがあるとなぜ美味しいのかと聞かれて、適切に説明できる人はほとんどいません。ある調査で、コクがある食べ物は何ですかという質問をしたところ、カレーと答えた人がもっとも多く、ラー メン、スープ、シチュー、乳製品と続きました。次にコクとは何ですかという質問には、深みが多く、濃さ、うま味、まろやかさ、煮 込む、食材の味が出ているなどが続きます。





 食のプロフェッショナルは、コクをどのように捉えているのでしょうか。一例としては、 1年熟成したチーズは 1ヵ月熟成したものに比べてコクがある、熟成期間の長いワインはボジョレー・ヌーヴォーのようなワインよりコクがある、12 時間煮込んだスープは 、1時間煮込んだスープよりコクがあるといったものです。時間をかけてじっくり熟成している間、あるいは調理をしている間に、食材からさまざま成分が溶け出して、その成分が口内の味蕾などの受容器を刺激 するところにコクの原点があると考えられます。また、香りや食感もコクの発現に大きく関与しています。



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コクの表現


 コクの表現には、厚み、広がり、芳醇性などがあります。また、先味、すなわち立ち上がりの速さ、奥深さ、持続性、後味、嫌な味を抑えて好ましい味を強めること、バランスのよさ、まろやかさも含まれます。





 甘い、塩辛い、酸っぱいといった明確な味とは違って、このような概念的な表現は漠然としていて、あいまいなため、客観的にきちんと評価することができないところにコクの難しさがあります。



コクの認識


 コクをきちんと説明することは確かに難しいですが、言えることとしては、口の中の味蕾が刺激されること、その刺激が持続することが、コクを認識する条件となります。この味蕾をより効果的に刺激するうま味成分などが、コクの発現に関与し、味蕾を長く刺激することになります。また、強い刺激ほど後味が持続することも知られています。より多くの味蕾を刺激することは、より多くの脳細胞を興奮させることにつながります。





 一方、粘性を高め滞留時間を延長して作用時間を長くすること、すなわち、とろみのある ものはコクを出す要因の ひとつとなります。そして、このような味覚の情報は、香り、テクスチャー、辛味、温度などほかの情報とともに脳で統合的に処理され、その結果、コクとして認識されることになります。





 このような要因の揃った食べ物のひとつは、カレーです。コクのある食べ物に含まれる成分を分析することにより、コクを生じさせる可能性のある成分が、近年明らかとなりつつあります。グリコーゲン、脂肪、にんにくや玉ねぎに含まれるアリインやグルタチオンなどの含硫化合物、ペプチド各種、 遊離アミノ酸の混合物といったものがその成分です。 熟成や調理時間の短い食べ物に、このような物質を添加することで、てっとり早くコクを出すことも可能となります。



食べ物のコクや味と温度の関係


 温かいみそ汁を飲んだ時には、コクがあって美味しいのに、時間がたって冷めてから飲むと、単に塩味のある汁と感じることがあるかもしれません。 食べ物のコクや味は、温度によって感じ方が変化します。





 塩味は、みそ汁のように温度が低くなるほど強く感じます。そのため、あらかじめ料理ができ上がってから食べるまでに時間が経過して温度が下がるようであれば、塩分を控えて料理をつくると、比較的好ましい呈味となります。冷たいスープをつくるときには、塩分を控えてつく、冷やしたあとで味見をして、調整します。





 甘味は体温に近い 35℃前後で、一番強く感じられます。体温から遠ざかるにしたがって弱く感じます。そのため、ジュースのように冷やして飲む物は、甘味を感じられるように強めに調整されていることがあります。冷えていないジュースは、冷たいときよりも甘く感じられます。一方、果物の中に多く含まれている糖質のひとつの果糖は、温度が低い方が甘味を強く感じられるので、果物は冷蔵庫で冷やしてから食べる方が、より甘味が感じられ、美味しく食べられます。





 温度によって変化がしないのが酸味です。どの温度帯でも、酸味を感じることができます。ホットレモンなど温かいものであっても、冷たい酢の物であっても酸味は変わらず感じることができます。





 苦味やうま味は、温度が下がると感じにくくなります。





 食事をするときに、人は視覚、触覚、味覚などを使いながら、コクなどの美味しさ感じとって、食べています。その中で味覚は、食べ物の温度によって感じ方が変化します。





 食べ物からコクや味を感じ取り、美味しいと判断する温度は、温かいもので60〜70℃、冷たいもので5〜10℃が適温と言われています。そのため、よく冷えたビールや温かいみそ汁は美味しいのに、生ぬるいビールや冷えたみそ汁は、あまり美味しくないとされます。



まとめ


 日常の食事で、コクがあって美味しい という言い方をよく耳にします。コクという言葉は、日常的によく使われるにもかかわらず、その意味はあいまいです。





 コクは熟成した食べ物を口にしたときの豊かな味わいを指し、お酒などの深みのある濃厚さに対して使われることが一般的のようです。しかし、コクがあるとなぜ美味しいのかと聞かれて、適切に説明できる人はほとんどいません。





 時間をかけてじっくり熟成している間、あるいは調理をしている間に、食材からさまざま成分が溶け出して、その成分が口内の味蕾などの受容器を刺激 するところにコクの原点があると考えられます。また、香りや食感もコクの発現に大きく関与しています。





 コクの表現には、厚み、広がり、芳醇性などがあります。また、先味、すなわち立ち上がりの速さ、奥深さ、持続性、後味、嫌な味を抑えて好ましい味を強めること、バランスのよさ、まろやかさも含まれます。





 コクをきちんと説明することは確かに難しいですが、言えることとしては、口の中の味蕾が刺激されること、その刺激が持続することが、コクを認識する条件となります。粘性を高め滞留時間を延長して作用時間を長くすること、すなわち、とろみのある ものはコクを出す要因の ひとつとなります。そして、このような味覚の情報は、香り、テクスチャー、辛味、温度などほかの情報とともに脳で統合的に処理され、その結果、コクとして認識されることになります。





 このような要因の揃った食べ物のひとつは、カレーです。コクのある食べ物に含まれる成分を分析することにより、コクを生じさせる可能性のある成分が、近年明らかとなりつつあります。グリコーゲン、脂肪、にんにくや玉ねぎに含まれるアリインやグルタチオンなどの含硫化合物、ペプチド各種、 遊離アミノ酸の混合物といったものがその成分です。





 食べ物のコクや味は、温度によって感じ方が変化します。塩味は、温度が低くなるほど強く感じます。甘味は体温に近い 35℃前後で、一番強く感じられます。体温から遠ざかるにしたがって弱く感じます。温度によって変化がしないのが酸味です。どの温度帯でも、酸味を感じることができます。苦味やうま味は、温度が下がると感じにくくなります。食事をするときに、人は視覚、触覚、味覚などを使いながら、コクなどの美味しさ感じとって、食べています。食べ物からコクや味を感じ取り、美味しいと判断する温度は、温かいもので60〜70℃、冷たいもので5〜10℃が適温と言われています。



posted by Kaoru at 06:30| Comment(0) | TrackBack(0) | トピックス
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