でもそう思うのも何か偏見のような気がします。
4月公演「新・正午浅草 荷風小伝」の主人公、永井荷風が浅草で足しげく通ったストリップ劇場。
劇中では「外国で本物を見たから日本のまがい物は見られたもんじゃないが、裸踊りは本物だもの。(要約)」という台詞があり、その真意を知るには生を体験するしかないので小倉で思い切って行って来ました。(東京ではちょっと二の足を踏むので…。)
A級小倉劇場。
九州で一つだけのストリップ劇場だそうです。
13時までに購入すると早割で4000円。それ以降は6000円。
開演は13時。5人が各自4,5曲踊り、23時半頃までの4回公演。途中入れ替えはなく、外出も出来ます。(公演は10日間)
劇場内はこじんまりとしていて、観客は20人くらい。幅広い年齢層でした。
まず踊り子さんの踊りのレベルの高さに驚きました。基礎が出来ていて、足もしっかり伸びて難しい体勢でもしっかりキープする体幹の良さ。
その反面、闇を抱えている表情。
身体は綺麗な人もいたけど、腕に傷や痣が沢山ある人もいたり。
その姿に僕は魅了されました。
汗を流し、局部もさらけ出し全身全霊で踊る凄さ。まさに生身の芸術。アートでした。
そしてそれぞれ選曲、テーマも趣向を凝らしていました。ロック風、酔拳風、和風、アニメの主人公に扮したり、囚人になったり…。
1回目を観て、「同じ事やるんだろうなぁ」と思いつつ試しに2回目も観たら違う演目を皆さん用意していました。前回可愛い系だった人はクールに踊ったり、その振り幅も面白かった。大体の人は2演目だったようですが、3演目の人もいました。常連さんとお話する事が出来て伺うと「ベテランは7演目持ってきている人もいるから2度来ないといけない」と教えてくれました。
終わった後、1枚1000円のポラロイド撮影コーナーがあるからファンを飽きさせない配慮も当然あるのでしょう。落語家さん同様、相当な努力を積まれていると思う。
ここにやっと居場所を見つけた踊り子、
ここに全てを捧げる観客。
その真剣勝負は凄まじかった。
荷風もそこに魅力を感じていたのではないだろうか。
最初、僕は端の方で遠慮して観ていましたが、それも僕のいけないところだと気がつきました。
まわりを気にせず、目の前に没頭する大切さ。
それに気付いたので最後には一番前でかぶりつきで観て、必死に拍手を送りました。
生きる道を見つけた踊り子、
ここに来る事でストレスフリーになれる観客。
この方々はダメな人間達でしょうか。
低俗でしょうか。不潔でしょうか。
この構造はどのジャンルでも一緒だと思うんです。
アイドル、バンド、スポーツ、そして演劇…。
僕も思い切って並んで1枚ポラロイドを買い、撮らせてもらいました。
この必死な方々の姿を忘れずに、僕も何も飾らず舞台に立つ為のお守りとして。
化粧前(メイク道具を入れる箱)に入れて、これからも僕も旅を続けます。
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