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2017年09月24日

声についての今

この稼業に足を踏み入れてから、養成所や劇団、ボイストレーニングなど様々な方から発声を教わってきた。


良い声とは何か?
舞台で通用する声は?
映像に出た時にも対応出来る声は?
ボーカリストの良い歌声は?
ミュージカルでの良い声は?

この辺りを考えて日々取り組んでいて、正解も答えもないから毎日「これかな、あれかな」とやっています。

役者としては低い声が出ればいいなぁと思いやっていましたが、なかなか出るようにならない。ミュージカルでお世話になった先生は「あなたは高音が出るから低音も出るはず」と仰って頂いたけど、出ないまま時が過ぎていました。

だけど最近、ボイトレに通い、そのトレーニングを自宅でもやるようになってから低音が出るようになり、音も掴みやすくなりました。
その教室の師匠が書かれている著作がこれ。
「カリスマボイストレーナーりょんりょんのボイス・トレーニング」


僕はこの本をだいぶ前に買って読んでいて、自分なりの解釈でやっていましたが、思うような成果はありませんでした。

ボイトレはそのお弟子さんがやっている直営のスタジオで初日のガイダンスの後、ちょっと習っただけで劇的な変化がありました。

とても歌いやすくなりました。

その先生のピアノの上にあった本がこれ。

「医師と声楽家が解き明かす 発声のメカニズム」



先生はこの本を僕に勧めた訳ではなく、説明もなかったのですが、気になったので読んでみるとスタジオで習っている事とは違う部分もありました。

これは良くある事。

僕は一人の先生を信じ過ぎない事が芸事には大事だと思っています。

それは芸事の頂上に登るには色んな道があるし、その頂上は僕にしか描けないから。

例えば前者の本には重心は「前寄り」と書いているけれど(だいたいの指導は前寄り、合唱部の歌い方になる)後者は「踵」と書かれている。その理由はバレエポジションがそうだから。
僕は今のところ後者を選択します。
それはバレエを習っても安定感があるのが分かるし、どうしても表現しよう、歌おう、と思うと前のめりになる。だから踵を意識する事によってちょうどまっすぐ立つ事になるのではないかと思っています。
力まずニュートラルな状態じゃないと良いパフォーマンスは出来ないはず。
それはスポーツでもなんでもそうだと思います。
そしてその状態をキープする事によって客観的に自分を見られて「醒めて踊れ」の状態になる。


そしてどの本にも共通するのが「どう身体を共鳴させるか」。

僕は今まであまり考えていませんでした。
上京当初ボイトレを習った時に頭部共鳴を習ったけれども、あまり必要性を感じませんでした。
役者としても日々「外郎売」などの発声訓練で声量はあり声も枯れず、声帯は筋肉だと言うから声帯を強くすればいいと思っていました。

しかし久米明さんの「朗読は楽しからずや」にも長く朗読するには頭部と胸部の共鳴が必要と書いてあり、プロとして安定感のあるステージをやる為には必須であると今更ながら気付きました。

前者の本には軟口蓋を上げて舌根を下げるよう書かれていて、後者の本には舌根だけ下げるよう書かれています。
それはオペラ歌手向きに書かれているという事もあると思いますが、日本人はイタリア人に比べて高音で頭部、鼻腔共鳴が多いそうで、胸部を意識したらイタリア人に近づけるそうです。
本には日本人は畳の音を吸う空間にいる事が多いから高音の傾向が強いのでは、と指摘しています。
という事で役者的には後者を選択し、胸部共鳴を頑張っていると少しずつ低音が出てきて響くようになってきました。

今まで渋滞していた車がスーっと高速道路を走り出した感じ。


音階の訓練だけならボイトレはいらないと思っていましたが、いい教室に出会えました。

役者としては木場勝己さん、歌手としては玉置浩二さんの響きを目指したいです。


自分はまだ磨けば光る原石だと信じたい。

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