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2019年07月06日

ウイグル自治区 教育機関の実態はこれだ!

ウイグル3.JPG収容施設の規模

ニュース 社会 2018年AFPBBおすすめ
中国・ウイグル強制収容所の内側─催涙ガス、テーザー銃、教本【再掲】
2018年12月30日 16:48 発信地:北京/中国 [ 中国 中国・台湾 ]

【12月30日 AFP】(編集部付記)中国の新疆ウイグル自治区でウイグル人、カザフ人、キルギス人ら少数民族のイスラム教徒が大量に拘束され、過酷な環境の下で思想改造を強制されているとみられる問題に、国際的な批判と懸念が高まっている。現地での取材が厳しく制限される中、AFPは2018年10月24日、中国政府の公開文書を基に収容施設の運営実態に迫ったベン・ドゥーリー記者の記事を北京発で配信した。以下、当ウェブサイトで同25日に掲載した抄訳にカット部分の訳を追加した全訳版を、図解とともに公開する。

■楽しげに学ぶ研修生?

研修生たちが楽しそうに標準中国語を学び、職業技能を磨き、スポーツや民族舞踊といった課外活動に熱心に取り組んでいる──。国営の中国中央テレビ(CCTV)が10月中旬に放送した映像を見ると、中国の最西部・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)にある「職業訓練センター」は、あたかも近代的な学校であるかのようだ。

 ところが、自治区南西部ホータン(Hotan)地区のある地方政府でこうした施設を管轄する部署は、今年、数度にわたって次のような物品を調達していた。警棒2768本、電気棒550本、手錠1367個、それに催涙スプレー2792缶。いずれも、教育と関係があるようにはとても思えない品目だ。

 これらは、2017年初め以降、自治区内の地方政府が「職業技能教育訓練センター」の建設や運営に関連して発注した物品の、ほんの一例にすぎない。自治区全体では、センター向けの調達要求が計1000回以上行われている。

 こうした施設に対して、今、国際社会から厳しい目が向けられている。国際人権団体は、施設の実態は政治的な「再教育キャンプ」だと批判し、ウイグル人やほかの少数民族のイスラム教徒が最大100万人収容されているとみている。

 中国政府は、以前はこうした施設の存在自体を否定していた。しかし、国連(UN)や米国をはじめとする国際社会からの批判を受けて、施設が存在することは認めた上で、批判に反論する宣伝戦に転じている。

 中国政府の主張はこうだ。センターは「自由な」教育と職業訓練を通じて、分離主義、テロリズム、宗教的な過激主義の拡散を防ぐためのものである──。

 だが、AFPが入札や予算関係の文書、業務報告書など、公に入手できる中国の政府文書1500点以上を検証したところ、施設は学校どころか刑務所のように運営されていることが分かった。


■「つながりを壊せ、出自を壊せ」

 政府文書が示すところによれば、こうした「職業訓練センター」の周囲には有刺鉄線が張り巡らされ、赤外線カメラも設置されている。内部では、催涙ガスや、テーザー銃などのスタンガン、「狼牙棒(ろうげぼう)」と呼ばれる、とげの付いたこん棒などを与えられた大勢の警備員が、「研修生」を厳しく管理している。

 ある文書には、自治区トップの陳全国(Chen Quanguo)共産党委員会書記の次のような発言が引用されていた。いわく、センターは「学校のように教育し、軍隊のように管理され、刑務所のように警備され」るべきだ。

 また、別の文書にはこう記されている。より優れた中国公民を生み出すために、センターではまず、入所者の「血筋を打ち壊し、基盤を打ち壊し、つながりを打ち壊し、出自を打ち壊さ」なければならない──。


■収容所数は180カ所超

 AFPのまとめによると、新疆ウイグル自治区内にはこうした施設が少なくとも181か所存在する。

 中国中央テレビの報道では、センターへの参加は自由意志に基づくものと紹介され、そこでは、そろいの制服を着た「研修生」たちが、標準中国語を学習したり、編み物や織物、パン焼きといった職業技術の研修を受けたりしていた。

 ウイグル自治区にセンターが登場するのは2014年にさかのぼる。自治区内で死者を出す暴動が起きたことを受けて、地元当局が「テロリズム」に対する「厳打」と呼ぶ厳しい取り締まりに乗り出した年だ。

 ただ、施設の建設に拍車がかかったのは2017年初めになってからだ。この時期に、ウイグル人が住民の大多数を占める自治区南部で、複数の地方政府が「焦点集団を対象とした集中教化センター」の建設加速を命じている。「焦点集団」とは、信仰を持つ人、貧しい人、教育を受けていない人、軍隊に入るのに適した年齢の男性ほぼ全員などを含められるあいまいな表現だ。

 ほどなくして、新疆ウイグル自治区政府は「宗教的な過激思想」の管理に関する条例を公布した。

 当局は、過激派はどこにでも潜んでいる可能性があると警告し、幹部らに対し、25の違法な宗教活動のほか、禁煙やテントの購入といった無害と思える行動を含め、75の過激主義の兆候に目を光らせるよう指示した。

 「拘束すべき人物はできる限り拘束せよ」。幹部らはそうも命じられている。


■「虎椅子」も発注


 2017年4月ごろには、各地方政府が施設関係のさまざまな入札の公告を始めている。調達品目を見ると、確かに、机や椅子、エアコン、2段ベッド、食器といった、中国の一般的な大学の備品として違和感がないものもある。

 だが、それだけではない。高度な監視システム、「研修生」の室内の様子を記録するためのカメラ、有刺鉄線、電話盗聴器、赤外線監視装置など、刑務所で使われるような機材も含まれているのだ。

 センターはほかにも、警察の制服、暴動対応用の盾やヘルメット、催涙スプレー、催涙ガス、網を発射するネットガン、スタンガン、電気棒、警棒、やり、手錠、狼牙棒などを購入している。


 さらに、少なくとも1カ所のセンターは、中国の警察が尋問対象者の身体拘束に用いる器具、通称「虎椅子」も注文していた。

 自治区の区都ウルムチ(Urumqi)の党機関は、センター向けにテーザー銃の調達を緊急に要望する文書の中で、これらの機材は「職員個人の安全を確保する」ために必要だと訴えている。非殺傷武器については「通常の火器を使わなくてもよい状況で、偶発的な事故が起こる可能性を減らす」上で重要だとも指摘している。
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