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2019年03月28日

経済的貧困ではない「関係の貧困」が招く    〜子供の読解力〜

最近、子供の読解力が弱い事に気が付きました。
その理由を調べていて、こんな記事が目につきました。

経済的貧困ではない「関係の貧困」が子どもの読解力に影響

市岡ひかり,小柳暁子,柿崎明子2018.4.16 07:00AERA#教育

 国立情報学研究所の新井紀子教授の著書、『AI vs.教科書が読めない子どもたち』の中では、「就学補助率が高い学校ほど読解能力値の平均が低い」という気になる調査結果も指摘されている。言い換えれば貧困が読解力にマイナスの影響を与えているかもしれないということだが、貧困家庭の子どもたちの学習支援の現場では何が見えているのか。

 東京・八王子で経済的に苦しい家庭の子どもたち向けに無料塾を運営しているNPO法人八王子つばめ塾の理事長、小宮位之(たかゆき)さんは、こう話す。

「つばめ塾でも、数学の連立方程式なら解けるのに文章題になったらできない。これは応用力ではなく読解力の問題だね、と話題になっています。また、主語、述語があるひとつの文章の形で話すことができず、『先生』『授業』など、単語のブツ切れで話したりLINEをしたりする。文章を構築できない子もいます」

 八王子つばめ塾は、90人の生徒が在籍、社会人や学生のボランティア講師70人が指導に当たっている。生徒は、中高生が対象だが、9割は中学生。中でも、中3、高3の受験期の子どもたちが多い。

 小宮さんは「これはあくまでも推論ですが」と前置きしつつ、もし貧困と関係があるとしたら、親をはじめとする他者との関わりが少ないことに原因があるかもしれないと言う。

一般家庭と貧困家庭では、親とのコミュニケーション量が違います。親と過ごす時間が少ないと、ユーチューブで好きなコンテンツをずっと見続けるなど、自分の世界にこもりがち。未知の世界に触れる機会が少なくなり、そうすると何かを読み解くという要素が日常生活から減るのではないでしょうか」

 そしてこう続ける。

家族の中での会話量が大事。親の長時間労働が問題ということです

 一般的な塾は「先生─生徒」という「タテの関係」だが、無料塾には「近所のボランティアのおじさん、おばさんや学生が教える」という「ナナメの関係」が存在する。それは未知の世界に触れる機会にもなるという。


共働きは仕方がない。
所得が追い付いて行かないのだから・・・。
だとしたら、「ナナメの関係」でもあるように、地域の協力が必要になります。

ひと昔前なら「近所の家で、ご飯を食べた」なんてことは
ざらにあって、「地域で、子育て」をしていたように思います。

「無料塾では、現役時代、世界中を飛び回っていた元商社マンが英語を教えていたり、人生経験を語るおばさんがいたりする。多種多様な人材がいて、その人なりに子どもに関わる。マニュアル的ではない、カスタマイズした関わりがあるんです。それは子どものコミュニケーション能力や読解力によい影響を与えると思います

 自分とは異質なものと触れ合うという刺激があると、そこから何かを読み解こうという知的好奇心が芽生え、読解力の向上につながる。小宮さんが考える読解力向上のポイントは、「子どもに手間ひまをかけること」。単純な結論だが、これに尽きるのではないかと言う。

 では、なぜ学校教育の中でこの問題が可視化されてこなかったのか。

単純な話で、学校の先生になるような人は読解力があるからです。そうすると自分がどうやって基礎的読解力を獲得したかが思い出せない。ここに狭いけれど深い溝がある」


頭のいい人は、勉強ができない子の悩みが判らない。
と言う事らしいが・・・。

無料塾ではボランティアとして教えに戻ってくる卒業生が出てきているという。学びが好循環を生み、結実した例だろう。無料塾はそもそも学力向上という目的以前に「貧困が貧困を生むという連鎖を止める。そのためには教育が重要だ」という問題意識を背景に始まっている。

「ひとつの理由ならなんとかなりますが、二つの要素がかけあわさると一気に問題は深刻化します。よく、『貧困家庭でも頭のいい子はいるじゃないか』というような意見がありますが、ひとつの理由、ある部分だけを見ていても、問題は解決できないんです。低学力でもコミュニケーション能力があれば都立高の推薦入試に受かる可能性がある。不登校でもお金があればフリースクールに行ける。何かひとつでも解決できたら、先が見えるんです」

 子どもの読解力の低下には、教育現場での問題の前に、社会の崩壊が影響している。基本的な人間関係は乏しくなったがテクノロジーだけは発達し、人間関係を持たずとも好きなことを一日中できる環境が整った。そのふたつが同時進行していることによって、より深刻な事態が引き起こされている。


要は、便利になるほどコミュニケーションが減る。ということか?

「貧困家庭からは人間関係が急速に奪われているが、スマホは誰でも持っている。テクノロジーは同じ普及率なのに、人間関係の濃密度が違いすぎる。しかもテクノロジーによって余計に人間関係を持たなくてすむようにされている。これは酷なことです」

 現代の貧困の特徴として、「経済の貧困」に加えて、人間関係を持つことができず社会的に孤立する「関係の貧困」があると言われる。

 読解力の低下に影響を与えているのは「関係の貧困」であると言えるのではないか。

「無料塾は、学習という一つの軸を中心として新たなコミュニティーを再構築しています。貧困家庭へのアプローチとして有効だと思います」 (編集部・市岡ひかり、小柳暁子/ライター・柿崎明子)

※AERA 2018年4月16日号より抜粋


経済的貧困から生まれる「関係の貧困」。
便利さゆえに生まれる「関係の貧困」。

これらが子供たちの読解力を奪っているとしたら、それは
大人の責任です。


これと同じ取り組みをしているのが「カタリバ」です。
「カタリ場」とは、主に高校生の将来への可能性を引き出し、将来への行動へと動機付けることを目的とした、キャリア学習プログラムです。

授業を行うのは、大学生を中心としたボランティア・スタッフです。
利害関係のある“親”でも“先生”でもない、毎日付き合う“友達”でもない、少し年上の「先輩」だから、高校生たちも本音を話しやすいのです。

このような「ナナメの関係」によって生まれる“憧れ”や“刺激”、
そして対話のなかで引き出される“自己理解”や“意欲”を最大限活用するため、
カタリ場の授業は、「座談会」「先輩の話」「約束」の主に3つのパートで構成されています。

「座談会」では、生徒にスタッフが質問していくことで、生徒が好きなこと、嫌いなことを言語化するとともに、未来の夢や漠然とした不安などを引き出していきます。生徒の自己理解を促します。
「先輩の話」では、スタッフ数名が、「部活」「進路」「友人関係」などのテーマで、紙芝居形式のプレゼンテーションを行うので、高校生は興味のある話を聞きにいきます。内容は、今打ち込んでいることや夢、進路選びの失敗談や、高校生のときの失敗談や自分への後悔などさまざま。
「約束」では、これまで見つけた憧れや、見えてきた自分の興味関心などを行動につなげるために、今日からできる小さな行動をカードに書き込みます。
スタッフと「約束」をすることで、授業の興奮を日常生活につなげます。

|高校生の心に、火を灯す授業|キャリア学習プログラム「カタリ場」



      BY いいとこどり



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