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2019年07月25日
融合篇〈くるみ割り人形〉四章
一節
「そういえば、お前達とは
いつからの付き合いだったかのう……」
「ソンナ事も忘れチャイましタ?」
「ワタシも忘れマシタけどネ」
「忘れるほど長いという事か」
「イッソの事、
お役目モ忘れレバいいノニ」
「その方が可愛いノニ」
「そう上手くいかぬのが、
お話と言うもの」
「……ナルホド」
「役割を果たす気、マンマンですカ」
「呆けてたと思った老人が大活躍!
これは展開として美味しかろう?」
「全ク美味しくないデス」
「美少女寄越せ!」
2019年07月05日
融合篇〈くるみ割り人形〉三章
一節
ライブラリの中にビルが
増えていきます。
道はコンクリート
と化し、
その上には猛スピードで走る車が
転がっています。
一息の間に周りの木は消え、
一歩の間に川は堤防に埋まります。
「止めるべき……べき……」
老人はぶつくさと呟きながら、
変わる世界の中を歩き続けます。
その丸い目は、まるで全てを
観察しているかのようでした。
融合篇〈くるみ割り人形〉二章
一節
重い空気が漂うライブラリの中では、
くるみ割り人形が一人
ぶつぶつと呟いておりました。
「始まる……
始まるか……。
ならば仕方ない……」
老人が深い溜息をつくと共に――
なんという事でしょう!
ライブラリの景色が変わっていくでは
ありませんか!
空も、木々も、地形も――
ああ、どんどん違って!
「これからが本番よ」
ノイズ混じりの景色の中で、
老人はカチカチと顎を鳴らしました。
融合篇〈くるみ割り人形〉一章
一節
――さてはて。
その頃、ライブラリでは一人の
老人が、相変わらず
ぶつぶつと呟いておりました。
「……また、始まったのか」
あらあら?
いつもよりもシリアスさを
帯びるそのお声。
何だか雰囲気がちょっと違うような?
「ならば行こう。この目で確かめるべき」
老害と罵られる人形は、
カタカタと笑いながら歩きだしました。
2019年07月04日
融合篇〈いばら姫〉四章
一節
「あ、速報が入った」
「ニュース番組にして」
「アニメ見てるのにぃ」
「今、世間が大変なの!我慢しなさい!」
親に叱られた子がリモコンを握る。
ニュース番組には、日が落ちた都内の
一角が映し出されていた。
「これからSATによる
突入が行われます!」」
興奮したレポーターの遥か後ろに、
武装した警察の特殊部隊の姿が映る。
彼らが銃を向けるその失には――
「対象は、突然死の感染源となっている
病衣の少女です!」
虚ろな目をした少女がいた。
融合篇〈いばら姫〉三章
一節
騒乱と爆発が街を
包んでゆく。炎と煙の中、
出会うのは二人の少女。
一人は見たこともない武器を持った
女子高生。
もう一人は眠ったまま
空中に浮いている奇妙な少女。
眠っている少女の心の声が聞こえる。
「私は存在しちゃいけない……殺して。
殺して。私を殺して……」
その悲鳴に近い思念を無視し、
女子高生は興味無さげに通り過ぎる。
何かに取り憑かれた
ようにバケモノを切り刻みながら。
融合篇〈いばら姫〉二章
一節
ずっと眠っていたかった。
永遠のまどろみの中で、
楽しい夢をみていたかった。
その為に死んでしまうのなら、
それはそれで有りかな……と思っていた。
けれど、これは違う。
今、私は起きている。
起きて、現実の街を歩いている。
――いえ、いいえ。それも違う。
起きているのは意識だけ。
体は……眠ったまま……!
二節以降を読む...融合篇〈いばら姫〉一章
一節
「――はい。それでは次の曲を……。」
え?ニュース?これを読むんですか?
えーと……えー……?」
「速報です。現在、都内各地の
病院で原因不明の
突然死が発生しています。
感染症の疑いもありますので、
緊急の用が無い方は病院に行くのを
控えてください」
「――との事なんですが……
本当に……?
リスナーの皆さんも、
気を付けてください。
爆発騒ぎといい、
物騒な事が続きますね……」
2019年07月03日
融合篇〈アリス〉四章
一節
6時のニュースです。東京、大阪、
名古屋などの大都市圏で発生している
一連の騒乱について、今朝
早く政府は「特殊な能力
を持った複数のテロリスト
によって引き起こされている」
という正式な見解を発表しました。
同時にテロの容疑者の写真も
警視庁から公開され、その多くが
未成年である事が確認
されています。公表について警視庁は
「係る一連の事案の危険性
の高さと、社会騒乱の
早期沈静化の為公開に
踏み切った」としており、容疑者を
発見した場合でも、接触せずに速やかに
警察に連絡をするよう
広く呼びかけていくとの事です。
融合篇〈アリス〉三章
一節
騒乱と爆発が街を
包んでゆく。炎と煙の中、
出会うのは二人の少女。
一人は見たこともない武器を持った
女子高生。
もう一人は眠ったまま
空中に浮いている奇妙な少女。
眠っている少女の心の声が聞こえる。
「私は存在しちゃいけない……殺して。
殺して。私を殺して……」
その悲鳴に近い思念を無視し、
女子高生は興味無さげに通り過ぎる。
何かに取り憑かれた
ようにバケモノを切り刻みながら。