融合篇〈くるみ割り人形〉四章: 【シノアリス】シナリオ

2019年07月25日

「そういえば、お前達とは
　いつからの付き合いだったかのう……」
「ソンナ事も忘れチャイましタ？」
「ワタシも忘れマシタけどネ」

「忘れるほど長いという事か」
「イッソの事、
　お役目モ忘れレバいいノニ」
「その方が可愛いノニ」
「そう上手くいかぬのが、
　お話と言うもの」
「……ナルホド」

「役割を果たす気、マンマンですカ」
「呆けてたと思った老人が大活躍！
　これは展開として美味しかろう？」
「全ク美味しくないデス」
「美少女寄越せ！」

「くるみ割り人形と別の２体のお人形は
長い付き合いみたいね」
「お友達なの？」
「うーん……ちょっと違うみたい」

ライブラリが変わる様を、
ワガハイは観察する。

逃してはならない。
世界の隅々まで。
登場人物も、景色も。
観察し、記録し、記憶する。

全てをこの目で、この足で、
この体で、この頭で。
余す事なくライブラリを『留める』。

ライブラリ世界の記録。
それがワガハイの役割。

ワガハイの記録によって、
元の世界を出来るだけ維持するべき……

「貴方ノ目はウルサイ」
「ワタシ達を見ルな」

「貴様ハ」
「世界ヲ見るナ」

そうはいかぬ。
言っただろう？ワガハイの役割だと。

「監視スルモノめ……」
傀儡達は冷たい目で老人を見ました。
それに、老人はカタカタと笑います。
「そうだ、そうだ。
　ワガハイはお前達を
　監視するモノだ」
「こたびの事も見ておった。
　全てを見ておったぞ」
「登場人物達の業も嘆きり生き様も。
　全てをこの目に収めたわ」

笑い続ける老人に、傀儡達は言いました。

「デモ、もう止メられナイ」
「世界は――融合スル」

「くるみ割り人形は、このお人形達を
見張るのが役目なんだって」
「お人形達は悪者なの？」
「さあ……まだそこまでは判らないわ」

傀儡達の言葉通り、
ライブラリと
現実世界が混じり合います。
それはもう、誰にも止められません。

ノイズが走り。
世界が喰われ。
溶けあい。
溶け……
……これは。
何度目？

「４５度目の融合である」
「さて……ワガハイは観察を続けよう」
「……傀儡達を殺す方法を、
　探さなくては」

「夢の世界と現実は融合しました。
その融合は４５度目でした……」
「？　良く判らないね？」
「変なお話だったわね。さあお休みなさい」

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