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2019年07月04日

融合篇〈いばら姫〉二章

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一節

ずっと眠っていたかった。
永遠のまどろみの中で、
楽しいをみていたかった。
その為にんでしまうのなら、
それはそれで有りかな……と思っていた。

けれど、これは違う。
今、私は起きている。
起きて、現実の街を歩いている。

――いえ、いいえ。それも違う。
起きているのは意識だけ。

体は……眠ったまま……!


○月×日。
院内で奇妙な噂を聞いた。あの子が化けて
出たという噂だ。空中を浮きながら移動して
いたのだという。まったく馬鹿らしい。


Normal

  • 【 いばら姫 】待って。待って、待って!
  • 【 いばら姫 】判らない。何が起きているの?
  • 【 いばら姫 】パパ!ママ!先生!看護師さん!
  • 【 いばら姫 】みんなどこ!?私はどうしちゃったの!?

Hard

二節

私は寝ているの?
起きているの?
生きているの?
死んでいるの?

三節

どうして意識だけが覚醒しているの?
どうして体は眠っているの?
それなのに、どうして移動できるの?
なにこれ?なんなのこれ!?

四節

怖い。怖いよ……。
助けて、パパ、ママ。
体が言う事を聞かないの……!

五節

お願い、そこの人。
私を……助けて……
お願い……お願い……

六節

少女の嘆きが届いたのか、
一人の老人が近づいてくる。
そして、老人は……息絶えた。

七節

少女を心配して、若者が近づいてくる。
だが、唐突に胸を押さえてうずくまり――
そのまま動かなくなった。

八節

「どうしました!? 苦しいんですか!?」
駆け寄った女性が咳き込み、大量の血を吐き、
そして、動かなくなった。

九節

眠れる少女が通り過ぎていく。
その後に築かれるのは死体の山。
突然の病で奪われた命が、
肉の塊となって転がっている。

十節:前半

「今日は予定を変更して、リスナーの
 皆さんにニュースをお届けします。
 昨日から発生している
 突然死ですが、
 感染症の疑いが、
 強まりました。現在、その
 感染源と
 思われる少女
 都内を彷徨っている模様です。
 少女は見た目13から14歳。
 入院していた失で身に付けていた
 病衣のままとの事です。
 緊急性を考え、テレビでは顔写真を
 公開しています。
 少女を見かけた方は近寄らず、
 すぐに警察に連絡してください」


○月×日。
あの子の情報を求めて警察が来た。
「あの子が生きていて、
しかしウィルスを振りまいている……?


Normal

  • 【 いばら姫 】私の傍にいた人は、みんな動かなくなる。
  • 【 いばら姫 】みんな……死んじゃう……。
  • 【 いばら姫 】なんで……なんで!?

Hard

十節:後半

少女の意志に反して体が移動する。
その後を示すように、人が倒れていく。
頑強な青年は酷い頭痛を起こし、
運ばれた先の病院で数時間後に死亡した。
病弱な中年女性は心臓発作
起こし、その場でこの世を去った。
「やめて……駄目……」
少女の周りに居た者は、
ことごとく病を発症していく。
「私、こんなこと望んでいない……
 こんな力、欲しくない!」
心の中の叫びは、最早誰にも届かず。
病衣の少女は、病を運ぶ
死神としていた。


○月×日。
突然死の感染源があの子だというのなら、
担当医師として、何が起きているのか
確かめなくてはならない。

posted by 白の書 at 02:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 融合篇
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