マニュアルに載っている例題が面白かったので書いておく.
例: 複素数の内積
3 つの力の平面ベクトル
\begin{align*}
\newcommand{\Ar}[1]{\mathrm{Ar}(#1)}
\newcommand{\ar}{\mathrm{ar}}
\newcommand{\arop}{\Opp{\mathrm{ar}}}
\newcommand{\Func}[2]{\mathrm{Func}(#1,#2)}
\newcommand{\Hom}{\mathrm{Hom}}
\newcommand{\Id}[1]{\mathrm{id}_{#1}}
\newcommand{\Mb}[1]{\mathbf{#1}}
\newcommand{\Mr}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\Ms}[1]{\mathscr{#1}}
\newcommand{\Ob}[1]{\mathrm{Ob}(#1)}
\newcommand{\Opp}[1]{{#1}^{\mathrm{op}}}
\newcommand{\Pos}{\mathbf{Pos}}
\newcommand{\q}{\hspace{1em}}
\newcommand{\qq}{\hspace{0.5em}}
\newcommand{Rest}[2]{{#1}|{#2}}
\newcommand{\Src}{d^{0,\mathrm{op}}}
\newcommand{\Tgt}{d^{1,\mathrm{op}}}
A &= 185 \,\mathrm{N} \,\angle 62^{\circ} \\
B &= 170 \,\mathrm{N} \,\angle 143^{\circ} \\
C &= 100 \,\mathrm{N} \,\angle 261^{\circ}
\end{align*} を考える. ここで, $\mathrm{N} =$ ニュートン $= \mathrm{kg} \cdot \mathrm{m} / \mathrm{s}^2$ である.
これらの合力を求め, ベクトルの内積を使用してこの合力の $175^{\circ}$ 方向の成分を求める (2 つの平面ベクトル $a$, $b$ に対して $a \cdot b = \lvert a \rvert \lvert b \rvert \cos \theta$ であることを利用する).
これを求めるために, $A$, $B$, $C$ を極座標モードの複素数
\begin{align*}
A &= 185 \,e^{i \cdot 62^{\circ}} \\
B &= 170 \,e^{i \cdot 143^{\circ}} \\
C &= 100 \,e^{i \cdot 261^{\circ}}
\end{align*} と考えて次のような処理を行う.
MODES DEG MODES POLAR ; 度・極座標モードの指定.
185 ENTER 62 COMPLEX ; ベクトル A を複素数として入力.
170 ENTER 143 COMPLEX ; ベクトル B を複素数として入力.
+ ; ベクトルの和 A + B を計算.
100 ENTER 261 COMPLEX ; ベクトル C を複素数として入力.
+ ; ベクトル A とベクトル B の和にベクトル C を加える.
$\quad \Rightarrow 178.9372 \,\angle 111.1489$
つまり, 3 つの力 $A$, $B$, $C$ の合力は大きさ約 $179$ ニュートン, 方向約 $111^{\circ}$ の力である.
この合力の方向 $175^{\circ}$ への成分は, 大きさ 1 ニュートン, 方向 $175^{\circ}$ の力のベクトル
\begin{equation*}
D = 1 \,\mathrm{N} \,\angle 175^{\circ}
\end{equation*} を考えたときの, 合力 $A + B + C$ と $D$ との内積に等しい.
この計算は HP-42S の行列機能に含まれるベクトルの内積計算を使用することにより求まる.
1 ENTER 175 COMPLEX ; ベクトル D を複素数として入力.
MATRIX DOT ; 合力 A + B + C と D の内積を計算する.
$\quad \Rightarrow 78.8586$
したがって, 合力の $175^{\circ}$ 方向の成分は約 $79$ ニュートンの大きさを持つ力である.
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