SOPA Images via Getty Images先週末にアップルとGoogleは新型コロナウイルスの世界的感染拡大を受けて、濃厚接触の可能性を検出する技術の開発で協力することを発表しました。
そこでは「両社のOSに、Bluetoothを使い接触履歴を検出する技術をシステムレベルで組み込む」「公衆衛生当局が提供するオプトイン式の接触履歴追跡アプリに対して、iOSとAndroid間での相互運用を可能にするAPIの提供を目指す」との方針が述べられていました。(いずれもユーザーの同意で有効化されるオプトイン方式)
今回はアップルがそうした技術の詳細について、海外テックメディアThe Vergeに明かしたことが伝えられています。まず最も疑問とされるのが、Bluetoothの信頼性です。The Vergeの説明では、Bluetoothの強い信号が届く範囲は約30フィート(約9m)ではあるものの、衛生当局が人々に求めている社会的距離は6フィート(約1.8m)。しかもBluetoothの検出では「6フィートの近さにいます」ではなく「これら2つの端末が近くにあった」ことしか分からない。これにより、誤検知の多発が懸念されると述べられています。
アップルはまだ調査中としつつも、どれが濃厚接触かを判定するうえで、近接した時間も含められると指摘しています。たとえば5分と設定した場合は、同じバスの車内に感染者がいた場合は警告が表示されますが、路上でジョギングしてすれ違った程度(すぐに離れるため)はカウントしないという具合です。
なおBluetoothの規格としては信号強度の測定も可能なはずですが、それだけでは距離が特定できるとは限らないため、時間もパラメータに含める...という意図かもしれません。
また第2フェーズに当たるOSレベルでの対応に関しては、より具体的なあらましが述べられています。すなわち、スマホを最新バージョンのOSに更新し、接触履歴追跡APIをオプトインすると、その端末は近くの端末にBluetooth信号へ送信するとともに、他の端末から送信された信号を記録します。これがオプトイン、つまりユーザーの同意を必須としているのは、両社が掲げる「プライバシー、透明性、同意が何よりも重要」という原則からでしょう。
本システムが優れているのは、過去にさかのぼって検出できるということです。このシステムに関連付けられた接触履歴探知アプリをダウンロードすると、過去14日間の「濃厚接触」情報が分かると述べられています。
そしてOSの違いを乗り越えてほぼ全てのスマートフォンが互いに検知して情報をやり取りし、アップデートに伴って追跡アプリのインストールを呼びかけられるのは、まさにアップルとGoogleが協力するからこそ可能なことです。
ハイテク巨人2社が提携した大がかりな取組みといえども、完璧さは保証されていません。誤検知も完全に排除されるとは限らず、また無症状で衛生当局にも捕捉されていない陽性者が恐るべき速度で感染を広げる場合も考えられます。
そうした制約がありつつも、感染者が見つかりしだい感染の疑いある人たちを特定しやすくなり、経路不明が減る効果は期待できます。人類の叡智がウイルスの脅威を封じ込め、一日も早く世界各国のロックダウンが解かれて日常が戻ることを祈りたいところです。
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