本日はこちら「ライム」のレビューです。
よくある綺麗な景色だけが取り柄の雰囲気ゲーかと思って舐めてたんですが、良い意味で裏切られました。全体を通して美しいBGMと環境音、好きな人にはたまらない心ときめく廃墟感、文字として語られることはなくともしっかりと骨のあるストーリーで、終盤には柄にもなくじんときてしまいました。
特にラストの雨の遺跡は独特の雰囲気を醸し出しており、心の洗われるようでした。
素晴らしいゲームだと思いますよ。
ネタバレがあるので詳しくは語れないのですが、ステージ名はある有名な、ヒトの心情整理のセオリーですよね。
(最初にまず、「嘘だ!」から入るんですよ。でもだんだんそれが怒りに変わっていって、どうして自分だけがこんな目に、ってなるんです。結構人に当たったり、物に当たったり、精神的に不安定な時期です。そして現状を変えるためにあの手この手で打破しようとしますが、それが叶わないと自覚すると、やがて無気力になっていきます。最終的に、仕方のないことだったんだとか、その障害や喪失も自身の一部として受け入れるわけです。
たとえば自分が末期ガンを宣告されたり、あるいはとても親しい人を突然失くしたり、もっと身近でも、自分が大事にしていたものが壊れて直せなくなったり……。
私の場合XboxとかPCが壊れると、だいたいこの過程を辿りますw
このような過程を経ることで多くの人間は現実を受け入れ、未来に歩んでいくのです)
ステージのレベルやマップデザイン、あるいはそこでのシナリオがこのセオリーとリンクしているかと問われると、私にはその関係性が全然見えなかったのですが、このステージの連名が表すものと、このゲーム全体のデザインを考えてみると、RiMEの、一つだけ小文字の i の、鍵は、心に重く閉ざした記憶の錠を開けるための旅、儀式だったことが伺えます。
言語から見てこの作品の舞台、あるいは開発陣は、英語圏でも当然日本でもないと思います。ヨーロッパ……なのかな、わかんないんですけど、Brothersとか、欧州のセンスともいうべきか、アメリカ的でも日本的でもない、どっちかというとかなり救いのない展開に対する美意識は……嫌いじゃないぜ!
っていうかねー。
この主人公の少年の服装といい、舞台となる島の景観といい、船のデザインといい、なーんか、どっかで見たことある気がするんですよね。間違ってたら恥ずかしいけど(笑)
最近頻繁にあちこち旅してて、なんかコスモスがどうとか、アテナイとスパルタでバチバチやってるあの世界観と、よく似てる気がするんですよね(笑)
さて、実際のゲームプレイはどうかというと、可もなく不可もなく、いや結構いい感じでした。
というのも本作はパズルアドベンチャーなので、3Dマップを探索して集め物を探したり、パズルを解いて先に進むのがメインコンテンツです。
このパズルの難易度がほどよく頭を使い、かつ詰まってる感じがしました。パズルの次にすぐパズルがあり、登れる足場を探したり、さっき使ったマップを再利用したり、あれもパズル、これもパズルといった感じでとても楽しいですよ。
ただ、この「足場を見つける」という感覚が曲者で、特定のコレクティブルは「そんなんわかるかー!」っていうものもちらほら。ネットで答えを見ちゃえばなんてことないのですが、ノーヒントだと本気で探し回ってもなかなか見つからない難易度に感じました。
あとは、本作がOne初期のゲームだからなのか、映像はとても綺麗ですが、とても重いです。具体的には画面がかなりカクツキます。
同時にカメラの動きも重いので、相殺されて酔いには発展しませんが、この手のゲームに慣れていると、結構もっさりに感じることでしょう。
最近のコロナ禍で錆びついたココロによく効くゲームだと思いました。
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