おはようございます。あるへです。
ちょっと考えて空恐ろしくなったのですが、テキスト型のアドベンチャーゲームのレビューってよく考えたら難しくないですか? 特にレビューする時期。
プレイした後すぐにレビューするなら内容が頭に入っている分簡単ですが、ストーリー主体のゲームですからレビュー内容も当然ストーリーに焦点が当たります。自分の頭の中ではすでに知っている情報なので、それを当然ととらえてしまうと、読者には伝わらない文章になってしまいそうです。
逆に頭を冷やすつもりでしばらく時間を置くと、しだいに記憶があやふやになっていき、特にキャラクターの名前や特殊な造語などを忘れるとなんとも抽象的なレビューになってしまいそうです。
本作品は比較的最近にプレイしたのでなんとかなりそうですが、過去にプレイしたアレとかコレとか、ちゃんとレビューできるか心配になってきました……。(とか言いつつ、どのゲームのレビューもかなり抽象的です……。うは)
駄文は置いといて、レビューに入ります。
今回はこちら「しゃりんのくに、ひまわりのしょうじょ」のレビューです。
結論から申しますと、これはとても良いゲームだと思います。攻略できるキャラクターは少ないものの、彼女たちの内面を掘り下げるためにあえて切り詰めたと思われ、その目論見は十分に成功しています。
一見してわかりやすい伏線と、淡白すぎて分かりにくい伏線が混在していますが、十分に許容範囲だと思います。終盤は「あっ」と驚かせてもらいました。
公式サイト
ただし、個人的には終盤の(具体的には第五章から)展開にはついていけず、悪く言えばご都合主義、よく言っても(?)竜頭蛇尾のような印象を受けました。
インターネットでそれなりのレビューを拝見しまして、本作品は全体的にとても評価が高いのですが、ストーリーの始めから終わりまでを俯瞰して見た場合、個人的に評価は下がります。
とはいえ、レビューを投稿した方々が賞賛されるゲームですから、その良い部分もわかってはいるつもりです。
本作品の肝となるのはやはり「義務」というこの世界独自の要素であり、これが「キャラ」「ストーリー」「世界観」の三本柱にとても絡んできます。
そしてその義務ゆえに等身大で描かれる彼女たちの葛藤や、受容、反発、また主人公の介入の仕方はとてもリアルで、とても説得力に溢れています。
実際、彼女たちの「義務」や葛藤はどれも普遍的な要素を持ち合わせていまして、まるで我がことのように、というか、過去の自分に照らし合わせて読める部分が何度もありました。
そして、主人公のそれら「義務」に対する解答は多くの人が納得できるものであり、その解決策はゲームならでは驚きに充ちたものであり、やはり同時に「これでいいんだ」と納得できる作りになっています。
このあたり、シナリオライターの底力を感じますね。若干の問題は残るけれども、未来に向かって進めるだけの十分な結果は得られた、という感じのベストではないものの、ベターな結果に落ち着く、というのが非常にリアリスティックで、面白い、と感じる要素です。
ただし、そんな風に等身大のキャラクターを描いてきたためか、盛り上がるはずの最終章にて、「なんじゃこりゃ?」と思わずにいられない展開が続きまして、テンションが徐々に下がっていったのを覚えています。
最終章で、街を巻き込むような大きな事件が勃発するのですが、その盛り上げ方は期待をあおりますし、問題はそこじゃないです。
竜頭蛇尾、ご都合主義、と申したように、幕引きの仕方に個人的に納得がいきませんでした。
あまりにあっさりしすぎています。あれだけの大事件を起こしておきながら、後に展開されるエピソードにおいてなんら問題がなかったかのように表現されているのが不思議でなりません。
かといって、最終章には今まで溜めてきた伏線の回収や、ストーリーの裏のテーマについても締められているため、安易に切り離すこともできません。
ま、ちょっとだけネタバレすると「守破離」のことでして、追加エピソードを読むことでこれが二重構造になっていることにはとても感心しています。
今まで等身大の心理の描き方や、設定頼りのぺらぺらなキャラ付けにならないよう丁寧に描かれていただけに、もう少し終盤の表現がどうにかならなかったものかと、残念でなりません。
これも、その作品が好きゆえの悩みですね。クロスチャンネルのアスターストーリーというやつが、黒歴史にも載せたくないほど無様な出来(本編は傑作の部類です)だったので、本作品の追加ストーリーも若干引きつつ身構えていたのですが、杞憂でした。本編の余韻を引き継ぎ、補完する、いいシナリオだと思っています。
ではでは。
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