本日はこちら「バレー」のレビューです。
昔、本作をプレイしている動画を見て面白そうだなぁと思い購入。
しかし、今になって実際に遊び始めてみると、あれぇ? もしかしてクソゲー?
いやいや、たぶん遊び方が間違ってる、でもね……。
事情があってちょっと感じた通りに遊んでみる。
やっぱ面白れぇじゃねーか!
てな感じで評価がふらついた作品でした。
インディーゲームなので大作に及ばないところはたくさんありますが、それでも頑張ってると感じました。
さて、本作は強化外骨格を身に纏うことで生身の体ではありえないようなダイナミックなアクションを体験する、一人称視点のアクションアドベンチャーゲームです。
このL.E.A.F.スーツをアップグレードしながら、超速で駆け抜けたり、めっちゃ大ジャンプしたり、スイングしてみたり。
これがね、すっごく気持ちいい。
ただし、一周目で感じた残念な点が、この気持ちのいいゲームコンセプトと噛み合ってないんですよね。
一つ目はコレクティブルの存在。
本作は跳んだり跳ねたりを楽しむためのアクション要素なので、切った張ったのアクション要素はかなり薄いです。
広大な土地を風に乗って駆け抜け、段差と見るや勢いをつけて宙に舞う、そのための広大なフィールドなんですが、こいつがね。
いざ、実績やピラミッドの扉を開けるためにメダルを探そうとすると、必然的に周りをぐるぐる見回しながらゆっくり歩いて、時に立ち止まって、探索することになるじゃないですか。
こうなった時に、周りには本当に何もないんですよね。
何もないわけではないんですが、インディーゲームゆえにゲーム自体がかなりシンプルな作りになっており、たとえばアサクリ並みにヘリを掴んだり、木に登ったりとか、そうでなくてもミラーズエッジのようにトリックを決め、スライディングしたり壁を駆けたりといったアクロバティックなアクション、いわゆるパルクール的なアクションが用意されてるわけではないので、決して、操作しているだけで楽しいわけではない点。
また、インディーゲーとしてシンプルなゲーム性という観点から、多様なアップグレードやギミック(あるにはありますけど)、お金の存在などもないので、そもそも集めるものがないという点から、何かありそうな行き止まりや場所には、やっぱり何もなかったり。
集めるべきメダルの総数は多いけれど、わかりやすい場所がある一方でこんなの絶対わからんだろ的なえぐい隠し方のものまで。
さらにマップ機能やカウント機能など探し物をするときに便利な機能が備わっていない点から、どうにもステージの隅から隅まで走り回って集め物をするモチベーションに欠けるところがあります。
もう一点が、明るさと暗さの割合。
本作はValley=谷と銘打つ通り、ある谷での冒険がメインで、ステージ進行ごとに昼夜が進んだりと意外と凝ってるんですが……。
タイトル画面とか、見るからに谷を駆け抜けよう、美しい自然を堪能しようっていうイメージ(あくまで私が勝手に想像したイメージ)とは裏腹に、かなり長い時間暗くて人工的な屋内を走らされました。
というのも、なんとなくざっくりと外、内、外、内、外……とステージが続くのですが、そのうちの内のステージは廃墟ということでかなーーーーり暗いです。で、ようやく外に出られたと思ったら夜のステージで、やっぱりすげー暗い。で、また内に潜ってと、感覚的には初めだけ奇麗な昼の自然を見たらあとはずっと屋内という感覚でした。
さらに集め物も意識しなきゃでしょ?
このValleyという作品、「走る」がメインなんで、開幕からゴールまで走りまくってちょうどいい時間で1ステージなんですよ。
だもんで、歩きで攻略するとめちゃくちゃ広い。だだっ広い。
だからこそ屋内ステージは余計に「暗いなぁ」「ってかステージなっがいなぁ」っていう印象が強くなるんですよね。
この「走り抜ける」というゲームそのもののコンセプトと、ノーヒントでステージに散らばるコレクティブルを探し回る、というコンテンツがかなりミスマッチで、初見はクソゲーじゃねーか? と感じた次第です。
でも、本作のゲームコンセプト「走れ!」という意思はたとえ初見だろうがしっかりと伝わってくるので、きっとコレクティブルを無視して走り抜けたら、あるいはこれらを全て集めきった後にもう一周してみたならば、きっと気持ちいいんだろうなぁとは常々感じていました。
それが後の感想です。
実は道中、探索のためにあちこち回り変な進み方をしてしまったせいか、攻略上必ず遭遇するはずのイベントをスキップしてしまったんですよね。
ライフシードをゲットする、っていう、なんていうか、このゲームのお話の中で一番重要な部分がすっぱ抜けてしまって(笑)。
最終盤になって主人公がどこからともなくライフシードを取り出したんで、「あれ? いつの間に!?」ってなってしまいました……。
まぁ、明らかに変なところから侵入してしまった私が悪いんですけど、本作はそんな感じで結構いろんなところに無理矢理行けてしまうんですよね。
でもって集め物が意外と、そうやって無理矢理行けっていう感じのものだったり、かと思えば突然床が抜けて裏世界が見えてしまったり。
そのあたりが集め物に関して不親切でモチベーションの上がらない一因だったり。
で、このライフシードを取り直す(ライフシードをゲットしたっていう実績を解除する)ために集め物無視でニューゲームからやり直したのが二週目。
道順などはわかっていたので颯爽と走り抜けたのですが、これが実に気持ち良かったです。
で、気づいたんですけど、本作のステージデザインはかなり良質だと思います。
どういうことかというと、攻略中に明示されることはなくとも、なんとなく直感で、次にどの方向へどう行ったらいいのか、それがピンとくるんですよ。
多くは、エネルギー回復などに使う「オーブ」がふわふわしてるんで、それに向かって走ればいいんです。
薄暗い屋内ステージでも、ちょっとあたりを見回せば、なんとなく明るかったり、通路の上に電灯がちらついていたりして、さくさく次の部屋へ行ける。この物言わぬガイドの連鎖がすばらしく、足を止めずにステージを駆け抜ける快感につながっていて素晴らしいと感じたのです。
広大な世界にぽつんと自分ひとり。とか、廃墟探索。とかいうワードにぴんと来る、現実に疲れた人にお勧めしたいところですが、やっぱり作品としては練り込みが甘く、探索部分には空虚感が強いです。
走る快感に従って走ったらそら面白いし気持ちいいんですけど、それだとちとボリュームが……。
グラフィック面や足音など頑張ってるところは頑張ってるなぁと気付けるくらいには作りこんであるんですけどね。
総評としては、楽しいゲームでした。
Blue Isle Studios、良いゲーム、作ったじゃねぇか。あのクソゲーで有名なSlender: The Arrivalの会社だってのは、名誉のために黙っておこう。
↓Valleyといったらこのステージっていうくらいインパクトあるステージだと思います。マッハで走って特大ジャンプってのは、結構ゾクゾクします。もちろん、足を止めてゆっくりのんびり散策しながらスタートからゴールまで行けますよ。道中にそれなりにコレクティブルも落ちてます。暗いけどな!
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