おはようございます。あるへです。
今回はこちら「W.L.O. 世界恋愛機構」をレビューしようと思います。Aボタンをぽちぽちしながらテキストを読み進め、たまに選択肢を選ぶ、ビジュアルノベル……? テキストアドベンチャー? こういうジャンルのゲームも嫌いじゃないんですが、未だにこのジャンルをどう呼んだらいいのかわかりません(笑) ADVとでもしておきましょうか。
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さて、本作品ですが、結論から申しますとお勧めは出来ません。
まず、何といってもお話が面白くないです。企画段階の一番最初に、「世界恋愛機構って面白くね? 世界規模でモテない男子の恋愛のお世話するのってヤバくね?」みたいなノリでぽっと浮かんできたアイデアを、きちんと吟味もせずに勢いだけで作ってしまった。そんな情景が浮かんできます。
そのため、タイトルに「世界」の名を冠している割にはちっぽけな街中での普通の人々の営みの中で、やたらうっとうしい数人が茶々を入れてくるだけのストーリーになってしまいました。
おそらく、世界規模の大組織が、一人の少年に全力を注ぐという設定は、世界と日常のギャップとしてあえて取り入れているのでしょうが、その対比の仕方がうまくいっておらず、大きな組織なんだよー、とただ設定を読み上げているだけのような印象を受けました。そのため少年の日常と、恋愛において都合の悪いことは全て組織が人員とお金の力で片付けてしまいます。
「萌え」にこだわった、と書いてあるのですが、果たしてそれはどこなのでしょうか。キャラの造詣でしょうか。作中にいくつか出てくるメイド服や私服のことでしょうか。物語を創るにおいて、複数のキャラクターを出すということは、複数の視点を作り、複数の考え方や生き方、信条を開示してその違いやそれぞれの主義などを見比べて楽しみ、またそれぞれ一人のキャラクターからでは生み出せない新しい考え方や答えなどを導くための手段の一つです。
これを「正反合」の考えといい、専門学校の先生から教わったことなのですが。
まあ、つまり何が言いたいかというと、「全部同じ人が考えたんだなー」と、思いました。ライター一人が複数のキャラを生み出すのですから、普通はどのキャラもそのライターの何かしらを持っています。そこを感じさせないようにし、あたかもそれぞれのキャラが独自の生き方を持っているように魅せなければ、意味がないと思うのです。
それがすなわち「キャラが立つ」ということですが、コスチュームはあくまでコスチュームであり、キャラが立って初めてコスチュームがそのキャラの魅力を引き立てます。
なんだかんだ言って、一応物語の体はなしていますし、起承転結も分けられており、ストーリーを読み終えた後は後腐れも余韻もなにもなくさっぱりと終われます。このゲームの特徴を強いてあげるならば、それは話がべらぼうに長いことであり、普通に読み進めたら実績コンプまで100時間はくだらないでしょう。
このテキスト量を、しかもあやふやで大雑把なテーマであるにも関わらず書ききる体力は、素直に感嘆し、見習うべき点かと思います。
悪い点はゲームプレイにも及びます。誤字脱字誤植が山のようにあるのです。毎日二時間、このゲームをやったとします。その二時間のうちに必ず一箇所以上は「ん?」「ここは○じゃなくて●だよな」「今良いシーンなんだから空気読めよ!」となることでしょう。冗談じゃないです。
先も述べたとおり、Aボタンを押してメッセージを送るモチベーションに欠けるテキストですから、いくら実績のためとはいえ、読んでいるのが辛かったです。いったい何度、初見テキストをスキップしようとしたことか。
今までのレビューを読んでいただければ何となくわかると思うのですが、私はゲームにおいてもとりわけストーリーやその流れを重視します。ですので、たとえネトゲだろうと、ソシャゲだろうと、ストーリーなんか関係ない格ゲーだろうと、初見のテキストは一切スキップせずきちんと読む癖があります。
そんな私の性癖と、セリフをスキップして一刻も早く苦痛から逃れたい欲求に挟まれ、苦しみましたが、実績をコンプリートするまでについぞその欲求に負けることはありませんでした。読みきりましたよ、私。よく頑張った!
さてさて、ゲームって言うとストーリーはおまけ、みたいな風潮が蔓延する中、ゲームのストーリーについてとなるとマジレスしたくなる私ですが、そんな中でも「微かに」興味と関心を持っていたキャラがいました。名を「蛍」といいます。
世界恋愛機構という組織に属し、主人公の住まう地区の班長を、高校生と言う若さで任される知的でクールな少女です。
そのためストーリー序盤から主人公と知り合い、彼の恋愛を助けることとなります。
図書委員だとか、生徒会長、みたいな肩書きが良く似合う子で、表情もあまり表に出さず、自分の仕事に邁進しているせいか、少し彼女の内面を読みきれない部分がありまして、他のキャラクターに対してさほど興味を持てなかった私は、消去法的に、攻略するならこの子かな、などと考えていました。
この蛍が、生徒一同が集まる中で演説をし、意志を束ねるシーンがあるんですよね。それはそれは素晴らしい演説だったと表現されているんですが……。
このシーンで、蛍はテキスト文に「重複」と書いてあるのを、「じゅうふく」と読みました。夢から醒めました。
なんらかの意図があってそう読んだのかと、後の文章を目を凝らして読みましたが、普通に流れていきました。どうやら素で、そう読んだようです。
もしかしたら皆さんは、私の言っている意味がわからないかもしれません。あるいは、そんな小さなことでと笑うかもしれません。
私にとってはあまり笑えません。「重複」は「ちょうふく」と読みます。試しに今キーボードで「じゅうふく」と打ってみたら、案の定「重複」と出てきました。ですので、これは辞書にも明記されているのでしょう。
こういった、「間違いではあるが広く一般的に使われている語句」というのは多岐にわたります。「役者不足」「煮詰まる」「重複」「憮然」「○○模様」然りです。固執も本来は「こしゅう」と読みます。
せめて間違った読み方、使い方をするなら、それが間違っていると認識した上でそうして欲しいところです(といっても私自身気付かずに誤用している可能性は十分にありますが)。
残念なことにソフトを紹介するにはまったく相応しくないレビューとなってしまいましたが、何卒ご容赦願います。
もしもこのタイトルが大好きだという方がいらっしゃいましたら、どうか怒らないでください(汗)。
声優さんのことはさっぱり分からない私ですから、好きな声優さんが演じているというだけで幸せな人もいるかもしれません。
BGMは特定のフレーズをメインテーマとして、様々な曲にアレンジされて入っていますから、統一感があります。これはGOODポイントです(神ゲーといわれる、そして私もそう信じているシュタゲには、BGMの統一感はありません。残念!……とは言ってもタイトルBGMをアレンジした勝負曲は、大事なシーンで計画的に使われているので、あまり意識はしませんよね)
何でもいいからとにかく何かをだらだらとプレイしたい人、実績が目的の人、私のレビューに敵愾心を燃やした人……そんな少数の人たちに、こそっと「じゃあとりあえずこれはどうでしょう?」と差し出す程度の作品です。
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鼻血少女「優梨子」とそのサポート役「依那」のことです。
「優梨子」ルートについては、特に起伏も感じられずご想像通りの展開で終わりますが、その直後にプレイした「依那」ルートにて、話の都合上、必然的に優梨子はフラレてしまうわけですが、その描写が、ちょっと「お?」と思わせる良い雰囲気というか、若干心を動かされたことを思い出しました。
あまりの質の低さに辟易するわけですが、それを我慢してよくよく目を凝らしてみると、ぽつりぽつりと良い部分は隠れているんですね。
良くも悪くも、かなり時間が経ちましたが未だに強く印象に残っているソフトです。
私もこのソフト(敢えて「作品」とは呼んでいないのですが)は、
正直、結構な苦痛を感じながらプレイしていました。
大抵のノベルゲーは、たとえ肌に合わなかったとしても
まあそれなりに楽しめたりするものだと思うのですが、
この作品は読み物としてはあまりに退屈でした(泣)。
それなのに、常軌を逸するほどに、無駄に長いという・・・。
私にとって唯一の魅力?といえば、各キャラが時々発する、
「ピンポイントな魅力」だけでしょうか。
同じキャラなのに「どのシーンでも魅力的」というわけではなく、
「いくつかのシーンでは面白かったけど、そこ以外はなぁ・・・」
というような印象を受けました。
まあ、声的な意味ではそれなりに収穫はあったんですけれど・・・。
残念ながらそれだけで擁護しきれるほど、生易しいシロモノではありません(笑)。
同じような、或いはもっと酷い体験がお望みでしたら、
『code 18』とかなんとかいう「ソフト」をプレイしてみることをオススメいたします(泣き笑い)。