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2016年09月08日

269.Shadows of the Damned

シャドウ オブ ザ ダムド【CEROレーティング「Z」】



 おはようございます。あるへです。
 本日はこちら「シャドウオブザダムド」のレビューです。

 はい、いつかロリポップチェーンソーで「もう須田ゲーはやりたくない」と語った須田ゲーです。
 今回も間違いなく須田ゲーでした。

 ただし今回は予め、どうせ馬鹿ゲーなんだろうなと覚悟してからプレイしたためかなりすんなりゲームに入り込むことが出来ました。むしろ一周目は結構楽しかったです。

 本作を何も知らないままパッケージを手に取ると、よくあるアクションシューター、ゲームの雰囲気もグロ系ファンタジーで、これだけ見るとあまり「馬鹿ゲー」「須田ゲー」というイメージは湧かないかもしれません。
 まぁ、キラーイズデッドなども蓋を開けるまでわからないという点では、これこそが須田51のなせる業なのかもしれませんが、申し訳ありませんが個人的には割と彼を敵視しちゃってる感があります……。

 たしかにもう須田ゲー、グラスホッパーマニファクチュア製のゲームはやりたくないですが、でももしGonDでノーモアやキラーイズが100円とかで投げ売りされたらたぶん買っちゃうかもしれません。
 彼の作品はゲーム内容としても、ゲームの作りとしても周回プレイに耐え得るものではありませんが、ゴテゴテと装飾されたメッキ風味の味付けは、一周目だけは面白いんですよね。

 さて、本作もそんなゲームです。
 高名なデーモンハンターなるガルシアが、攫われた恋人ポーラを助けるために単身(+相棒)魔界に乗り込み大暴れするお話で、カプコンの名作魔界村シリーズをふんだんに意識したステージ作りとなっています。
 パッケ裏には豪華制作陣の名で大々的に喧伝されていますが、たしかに雰囲気は良くてもゲームとしてのクオリティはあまり良いとは言えませんでした。

 ただ、須田氏以外にも気を配る大物がいたせいかどうかわかりませんが、ロリポップやブラックナイトソードのような意味不明なストーリー、意味不明な世界観は、「やや」鳴りを潜めていて割とまともで理解できる世界観、ストーリーにとどまっていると感じました。
 ここはもしかしたら評価が分かれるかもしれませんね。
 あの意味不明なトリップ感が良いんだとかいう意見もありそうです。
 個人的にはストレートにまとまっていて、本作のような作りの方がまだ好感も持てると思うのですが。

 初めに申しましたがお馬鹿でギャグな要素も盛り込まれています。耽美的な悪魔世界や絶望感の漂う魔界をイメージするとやっぱり泣くことになります。
 ただ、このギャグ感の出し方はなかなか面白かったです。
 ストーリーは硬派なシリアス風味で、あまりとぼけた様子はないのですが(シリアスですがペラペラで、当然狙ってやっているのですが、寒いです)、道中で見つかる看板や絵本などを調べると、主人公と相棒の感想が聞けたりします。その中でお茶目な魔界の様子が知れたりするので、意外とシリアスストーリーでも違和感がないんですよね。
 そんなお馬鹿な魔界の様子を知っていると、ラスボスの見方が変わるかも!?

 ゲーム自体はジェットコースターのような作りで、後ろは気にせずどんどん前に進むゲームです。一周目だけは初見の好奇心が勝って意外とあっという間にクリアしてしまいました。実績も一周こなすだけで7割解除できます。ポコポコ解除されていくの楽しいwww
 問題は二周目以降です。
 本作は実績コンプのためには難易度を変えて三周する必要があるのですが、そのモチベーションを阻害する大きな障害があるのです。

 それは、ムービースキップが不可能であること。
 ムービー中はポーズ画面すら開けません。二度も三度も観たいと思えるムービーではない上、ゲームプレイの半分はムービーなので。
 スキップさえ出来たら文句はないし、プレイ時間もかなりあっさりで終われるのに……。

 また、回避動作や当たり判定もまったく洗練されておらず、ゲームの理不尽な挙動に翻弄されることも少なくないです。
 踏みつけやスペシャルキルなどの特別なモーション中は無敵かと思いきや、そうだったりそうじゃなかったり、この辺もイマイチ信頼が置けなかったり、確信犯(誤用)的初見殺しシーンが、そこにあるとわかっていても避けきれないくらいエグかったり。
 須田シリーズの残念な特徴としてロードが非常に長い点も挙げられます。
(ACT5-3開始時のロードが不安になるくらい長いけど、ゲームのせいか、本体のせいなのか……)

 本作にはボイスが日本語と英語の二種類があり、なんと二つの言語では表示される文章も違ったニュアンスで表示されるなど、ローカライズとしてはかなり見習うべき点が隠されていました。
 雰囲気的には英語ボイスの方が世界観が壊れずにしっくり来るし、キャラクター達の口も英語発音の形ですが、実は日本語ボイスも一押しだったりします。
 序盤こそどうしようもないくらい三文役者、大根役者感を彷彿とさせて投げてしまいそうになるのですが、これをぐっと堪えてもうしばらく進むと、意外とこの三流加減が癖になってくるんですよね(笑)

 特に絵本や看板での相棒との会話が英語バージョンと日本語バージョンでかなり違うし、本作の商人キャラ・クリストファーは性格まで違っちゃうので頑張れば二周目も楽しめなくもないです。
 本作には正規ルートとアップグレードアイテムのある分岐ルートが複数あって、もちろん分岐でアイテムを取ってから正規に進むのが良いのですが、正規ルートはほぼ間違いなく後戻り不可の一方通行ルートでもあるので、取り逃しの発生が非常に多いです。
 ただ、金(シロダマ)さえ確保できればアップグレードアイテムは道中に落ちているもの以外でも店での購入でいくらでも賄えるので、実績や攻略的に詰むことはあまり考えられません。
 こういった行きそびれたルートを覚えておいて二周目で確認するのもそれなりに意味はあると思います。

 つまり……。
 二周目までは大目に見てやるが、三周目は完全に蛇足だ。

 ほんとにもうだらだらと続く飛ばせないムービーが辛かったです。エンディング、スタッフロールすら飛ばせない。
(スタッフロール後にちょっとしたおまけがあるのですが、こちらも英語と日本語で雰囲気が違うので、せっかくだから見ようと思うと、やっぱりスタッフロールも見ることになります)

 そうそう、須田ゲーのアクの強さに隠れてしまいがちですが、ヒロインがウザいという意見は置いといてもストーリーは伏線や盛り上がりなどは割と良い目で、BGMもかなりセンスがあると思います。ボス曲など格好良いですし、ボス戦自体がパズルのようなものなので解き方を考えるのもスパイスになります。
(ヒロインのウザさも、男性視点での作り物めいた女性像に対するアンチテーゼ、もっと簡単に言えばリアルな女性像を描いていると好意的に見ることも出来ます。したたかで不二子ちゃんみたいな女性キャラは須田氏のこだわりですね)
 BGMはB級ホラーテイストではあるのですが、逆にこの世界観ではよく合っている気がしますし、BGMに悪魔のうめき声とかが含まれていたりすると、思わずキャラの背後を確認して奇襲に身構えたりと、意外とホラー感が出ていると思いました。

 攻略情報は特に必要ないでしょうが、豊富ともいえないので気づいた点を少々。

・銃を構えず素のRT長押しでダッシュになります。
 方向転換は右スティックで行うので慣れないと壁に激突しがち、かつ短時間なので使い勝手が悪そうですが、実はダッシュ距離はRTを押すたびにリセットされます。
 速度が落ち始めるころにRTを引き直せば、無限にダッシュすることが可能です。これであのウザい女からも逃げやすくなるんじゃないかな。

・本作は無限湧きを利用してシロダマを稼がないと全アップグレードは厳しいですが、強化項目は攻略にほぼ必要ないものもあるので、厳選すれば稼ぎなしでも十分に攻略可能です。
 以下それぞれの項目の所感を述べておきます。

・ハンドガンタイプの赤銃
 癖が無く非常に扱いやすいです。こいつをフルアップグレードしておけば間違いないです。リロード速度は優先度低めなので、最高難易度では威力と装弾数を強化したら別の項目に振るといいと思います。
 ただ、難易度が高くなると敵も硬くなったり、総弾薬数の関係で武器一本に縛ると弾切れを起こしがちです。

・マシンガンタイプの青銃
 ハンドガンの強化が終わったらこちらの強化を始めるといいでしょう。
 ハンドガン以上に弾切れが早いのでメイン武器には向きません。
 アオダマで強化されきって「デンティスト」になると、ロックオン性能がつき、レーザーポインターがふらふらし始めますが、弾はノーロックでも真っすぐ飛んでいるので、時間がない、距離が短い場合は目算で捉えて撃ちまくることも可能です。
 ただし、射撃中はロックオンが完了しないので気を付けましょう。
 動きの少ないタフな敵、フラフラ動く敵など、終盤のボス戦にも活躍するのでこちらも破壊力と装弾数は強化推奨です。

・ショットガンというよりマグナムタイプの緑銃
 アップグレードは必要ないと思います(笑)
 理由は、まず無強化でも十分に強いこと。最高難易度で無強化でも雑魚なら1、2発で倒せるくらい破壊力は高いです(溜めナシ+近距離)。もちろんメインとしての使用は厳しいですが不測の事態の奥の手としては十分な性能です。
 二つ目の理由は、この銃が必要とされるのはパズル解きであり、求められるのは破壊力ではなく特徴だからです。
(ラスボス戦ではもしかしたら破壊力が影響するかもしれない。強化しなくてもなんとかなりましたが)

・ライトショット
 本作のフィーチャーであるライトショット強化項目。連射速度、命中範囲、ピヨリ時間延長の三種類。
 連射速度とピヨリ時間延長はお好みで取っても役に立ってくれます。このゲームに慣れてくるほど優先度が落ちるお助け機能ですね。
 命中範囲は正直効果がわかりません。多少外しても当たり判定が大きくなる感じでしょうか。範囲化で複数同時に、とかは夢物語です。

・Bボタン攻撃(ジョンソンボッコ)
 強化されるのはBボタン長押しの溜め攻撃の、溜め時間のみ。
 もちろん最大強化すれば一瞬で溜めが完了しますが、本編でこの攻撃が必要なシーンは一切ありません。
 また積極的に使おうとしても、使い勝手は劣悪の部類です。こんなことするくらいならライトショット当ててからのスペシャルキルの方がよほど優秀です。

・体力
 あれば便利ですがなくてもなんとかなります。
 最高難易度では被ダメがきついので保険で少々程度でもいいかもしれません。
 あと、体力アップグレードを施すと体力が全快します。エナジードリンクの節約になるのでアカダマを残しておくのもかなり有効な戦略です。

・本作の敵の攻撃範囲はかなり狭く、軸をずらすだけで当たらないことがほとんどです。ただ、敵は想像以上に踏み込んでくるのできちんと避けないと当たることもよくあります。
 Aボタンでの前転回避は無敵時間がついて優秀ですのでしっかり使いましょう。
 余談ですが前転した時のトーチが敵に触れると打撃音がして敵が怯みます(笑)。敵集団に向かって転がるのも意外と強力。

・2Dスクロールミニゲームは理不尽かついじわるです。しっかり心構えしておきましょう(笑) 本編の武器の強化具合は一切関係ありません。
 シロダマ集めきるとちょうど50になるはずが、たまに51になったりします(笑)

・無限湧き稼ぎ以外でのシロダマ稼ぎは、足を撃ち抜いて這いずりにしてからの踏みつけが一番だと思います。ヘッドショットやスペシャルキルだと、何も出ないか、弾薬か、シロダマの三択になりますが、踏みつけるたびに必ずシロダマが出現するので確実性があります。
 ただし、踏みつけは無敵時間がアバウトで(体感としては踏みつけるモーションのみが無敵で、Xボタンを受け付け次の踏みつけに移行する瞬間は無防備なのかも)、高難易度だと這いずり本人と相打ちになったり、周囲の悪魔に食われたりで、無理して狙うほどの価値はなくなります。
 ただ、這いずりになると移動速度、攻撃速度が遅くなり、この状態で放置しておけば敵の湧きも止まるので、戦術自体は有効です。

・バグの一種ですが、敵が攻撃しようと跳びかかった瞬間に攻撃を加えるなどして動きを止めると、敵の見えない霊体(笑)が攻撃してくることがあります。
 間一髪攻撃を止めたはずなのにダメージを負ったりして理不尽ですが諦めましょう。



 すごくどうでもいい注釈。
 本記事での「確信犯」は、「絶対わかってて、狙ってやってる」的な意味で使いましたが、本来の意味は、「自分の信奉するものを絶対の正義と信じて疑わず、その念により罪を犯すことおよびその犯人」です。
 ……不安になったので辞書引きました。

(三省堂国語辞典より)「政治上・思想上などの信念にもとづいて、正しいと信じておこなう犯罪」
(岩波国語辞典より)「政治的・思想的または宗教的信念に発して、それが(罪になるにせよ)正しいことだと確信して行う犯罪」
 だそうです。だいたい合っててほっとした(笑)

 通路の曲がり角にバナナの皮を設置し、来た人が滑って転ぶのを見て「あ、ごめーん、誰も来ないと思ってそこに置いておいたのー」というのが現在主流の使い方ですが、本来は、「この宇宙にとって貴様ら人間など害虫でしかないのだ、故に我は地球を滅ぼす……」というのが正しいわけです。
 わ、わかりやすいでしょ(汗)
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