今晩は お越し頂きありがとうございます
「うちの娘とは とりあえず
1年間会わないで欲しい」
あいこのご両親との約束
相手は大きな会社の社長
そしてあいこは その家の長女
僕と付き合うなんて‥反対しますわね。
「夜の飛行機で 田舎へ帰ります
最後に顔が見たい」
灘波の喫茶店で食事
「1年間したら
また戻って来るからね
待っててね」
伊丹空港までの電車の中
話しも進まない中
あいこは
両手で僕の手を 握りしめてくれていました。
空港のロビー
搭乗が始まります
あいこが 入り口の方へ進みます
しかし すぐ振り向いて
駆け寄ってきて
僕の口に キス(長く感じました)
「迎えに来てよ 絶対来てよ!」
泣きながら 入って行きました。
ご両親との約束通り
会う事も無く 連絡も 無くなってしまいました。
何ヶ月か過ぎた頃
僕達の共通の友達夫婦から
電話があり
「あいこちゃん 大変な状況なんだけど」と
昼間は会社の仕事を手伝い
夜は 花嫁修業で お花とか 編み物とか
行って、先々は 取引先の息子さんと
お見合い話もあるとか。
それより 毎晩 泣いてばかりで
ご飯もあまり
食べていないと言う状況だそうで‥。
心配だけど お父さんとの
約束もあるし どうすることも。
それからだいぶ過ぎて
僕のバイト先に電話がありました
あいこの 女性の先輩。
「いま、あいこと 一緒なんですが
仕事終ってから わたしの部屋で会える?」
出て来た あいこが
先輩の部屋で 少し話をして
「海岸へ行こうか」
色々話しました
花嫁修業のこと
両親と山に登った事
話はつきません
でも、やはりびっくりしたのは
ガリガリに 痩せていること
「いま、何キロあるの」
「計ってないけど
37キロぐらいかな」
「明日、帰るだろう?」
わたしの中では
一緒にいる人は心に決めています
家には帰りません
一緒にいて下さいと。
「ご両親には
電話しといた方がいいよ」
あいこの手作りセーター
下手だけど、あなたの事考えながら
一生懸命 編んだの これが励みだったの 着てくれる